楽しい秘密。 季節はもうすぐ夏、という頃。
バーソロミューは、タブレットを手にして真剣に画面を見つめていた。その目が映すのは、夏の装い。夏らしくカラフルなもの、落ち着いた色合いのもの……指先が画面をなぞり、時々、気になるものをタップし確認する。暫くその動きが続き、バーソロミューの目が輝いた。
(今年は、これにしよう……)
満足げに笑い、カートへ。確認画面を経て、すぐに購入手続きが済んだ。アマゾネスからの注文完了メッセージを確認し、安堵したように息をついてウィンドウを閉じた。
それから、数日後。
「……え」
自室のカウチでタブレットを操作していたバーソロミューの表情が強張り、指が止まった。
『強度の宇宙嵐の発生により、配送に遅れが出ております』
注文した商品の配送予定が遅れる、というアマゾネスからの知らせだった。いかに戦闘力も機動力も高いアマゾネスといえども、自然現象まではどうにもできない。時期は改めて連絡するということで、実質、未定である。
「……どしたの?」
溜息をついたバーソロミューに、隣でゲームをしていた黒髭が声をかける。
「先週、アマゾネスで買い物をしたが……宇宙嵐で配送が遅れているそうだ」
「そーなの。で、なに頼んだん?」
「ふっふっふ……来てのお楽しみだ」
タブレットを抱えて笑うのを見て、黒髭はゲームを中断し、ほんの少しだけ考える素振りをする。
「もしかして、えっちなオモチャとかいやーん♡楽し」
「ちーがーうー!……でも秘密だ」
食い気味に否定しながらも、バーソロミューの顔は不機嫌にはならない。『ふーん?』と言いながら黒髭がバーソロミューの肩を抱き、頬を寄せる。
「え〜違うの?でもなんか、拙者と楽しもうとしてない?」
「ふふ……内緒」
頬に髭が当たる擽ったさに笑いながらも、言おうとはしない。
「え〜なんか気になるぅ……」
「あっ、ダメだ」
黒髭がバーソロミューの腕の中から、タブレットを取り上げる。内容を見られると思ったのかバーソロミューが止めようとしたが、タブレットはテーブルへと置かれた。
「へっへっへ。身体に聞く方が早ぇかな〜」
「……言わな、いぞ……あ、っ……ふふ」
カウチに押し倒され、シャツ越しに胸を撫でられて、バーソロミューが笑いながら身体を捩る。その頬に触れて黒髭が唇を寄せると、笑いを収めたバーソロミューがそれを受け入れる。キスをしながら、バーソロミューも黒髭の頬へ触れ、片腕を首に回した。
「……言わないが……するなら、ベッドがいいな」
「……へいへい。じゃぁ、何頼んだか楽しみにしとくわ」
黒髭が仕方がないというように笑い、赤みを帯びた頬へ口付ける。体を起こし、バーソロミューを抱き上げて、ベッドへと移った。