冥土の土産はその手の中に「……キミ、やっぱりちょっとおかしいんじゃないの?」
着替えがすんだのだろう。ガチャリとドアの隙間から顔を覗かせた狛枝が、呆れたとでも言うような声でさ開口一番、鋭く言い放つ。
「俺がおかしいんだったら、俺のことを自分に似てるって言ってたお前も大概おかしいってことでいいよな?」
ベッドに腰掛けたまま、勝気に言い返せば、狛枝の顔がぴくと歪んだ。
「……昔はすぐに言い負かされて、可愛げがあったのに」
「なんだ、お前。俺のこと可愛いなんて思ってたのか。俺は、お前に言い伏せられてもずっと可愛いと思ってたけど」
はぁ……という深いため息と共に飛び出した惚気のような言葉に、応えるように惚気てやれば、「……本当に、頭どうかしてるんじゃないの、キミ」なんて拗ねた声が一つ。
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