「兄貴さー、ちゃんと食べなよって言ったじゃん」
実家に一泊して東京の遥と二人暮らしをしている部屋に戻ったら、出迎えてくれたはずの遥がその場にしゃがみこんだ。
「え⁉︎」と慌てながら、とりあえずリビングまで支えて歩いて、帰ってきたばかりで着替えてもいないけれど、冷房の効いていた部屋で床に座り込んで遥の頭を膝に乗せて休ませれば、少しの後、ようやく落ち着いたようだった。
体調が悪いのなら病院に行こうかと尋ねれば、けれどそれに遥はいらねぇと首を振る。
「なんで?」
そして返ってきた答えは、少しばつが悪そうだった。
「……昨夜から飯食ってなかったんだよ」
そして冒頭に戻るのだけれど、一人で飯食いに行く気にもなんなかったんだよと言われたら、ほんの少しだけこそばゆい気持ちになった。