あらしのおと 屋根を叩く雨音で、沈みかけていた意識がうっすらと戻った。そういえば夜中すぎ頃から豪雨だと天気予報アプリから通知が来ていた気がする。意識は浮上したもののまだ微睡みの中にあって、もう一度眠りたいと手放そうとした瞬間、隣の気配が動いて再度目が覚めた。
隣、つまりユキも目を覚ましたのか、身じろぐ気配があった。このアパートは全体的に安普請だから、屋根を叩く雨音はものすごくうるさい。この豪雨ならそりゃ目も覚めるだろうってくらい激しく叩きつける音が部屋を覆っていた。
むくりと起き上がって、ユキは枕元を探った。小さなノートがあって、作曲のためのメモがぐちゃぐちゃ書き込まれているやつだ。
「電気つける?」
オレは枕元に置いてあったスマホをつけて、ノートが見えるように明かり代わりに差し出した。
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