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    hoof4yagi13

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    hoof4yagi13

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    今までのまとめです

    #140字SS
    140-characterSs

    5秒タイトル「人権ニギニギ」
    オンライン上で個人情報をすぐに売買できるようになった世界。収入の少ない若者はすぐさま自分の血液情報と名前と生年月日を売り渡し、僅かな金を手に入れるような生活を送っていた。
    名前をなくしてから三年の主人公のもとに現れたのは不思議な老人。
    「他人になりたくはないか」

    「離別の青」
    「もう少しで天国に帰るんだ」
    友達の天使はそうやって笑った。人ならざる者たちが生活にあふれるようになって10年。人間たちはおかしな生活にもなれ、新たな文化と技術を享受していた。主人公の親友である天使は留学期間を終え天界に戻ると告げたが主人公の胸中には一抹の不安がある。

    「孤独の鶏」
    鶏が絶滅したといわれて早く300年。主人公たちの研究所はブロイラーを保存されていた細胞から培養して作り出す研究をしていた。完成し生まれた鶏は何一つ歴史と変わらない、はずだったが……。
    「夕方六時に必ず鳴くんだ」
    たった一匹の雄鶏を巡る壮大な物語。あなたの番はどこにいる。

    「沼のそこまで」
    「愛してるって500回言ったら結婚してあげる」
    三回目の告白の末に言われたセリフは突飛なものだった。彼女が求めるたびに愛を囁やけばカウントはみるみるうちに増えていく。残りのカウントは3。あなたは彼女と旅行に出た。買った指輪と花束の行方は。そして彼女の真意とは。

    「紫のレシピ」
    「全ての食材には色があるんだ」
    共感覚を持つ患者の担当医師になったあなた。紫色の食べ物しか口にしたくないと青年はいうが、彼の言う紫は決して見た目のことではなくて。ヘンテコな組み合わせの食材で美味しい料理を作りましょう。最後の一口は、決して美味しくなどないのですが。

    「わたしのごはん」
    食料難に晒された我が国では奇跡とも言える発明がなされた。なんとかけるだけで何でも食べることができるようになる魔法のソース。そのおかげで食料難は解決、と思われたが……。人間の欲に対する痛烈な批判が胸をすく一作!
    強烈な欲に晒されてもなお、残るものとは一体何。

    「にんにくパラダイス」
    最もにんにく臭い食べ物を食べられた人には賞金一億。そんな煽りで全国から集められた五人の男たち。彼らに立ちふさがる驚きの料理とは一体。涙あり、青春あり、嘔吐ありの問題作。これは余談ですが、にんにくを食べすぎると腸内細菌が死滅します。

    「硝子と針」
    余命を告げられて早数月。あなたはもう幾ばくもない命を余らせて日々を過ごしていた。そこに現れる一匹のモルモット。「僕と命を交換しませんか」二つ返事で交換したあなたが目覚めた場所はケージの中。名も知らぬ老婦人に大事にされるうちに思い出すのは暖かな感情で……。

    「レトルトカレーうどん」
    半年で30キロ痩せる。そう目標を立てたはいいが全くやる気の出ないあなた。流行りのダイエット法も効き目はなく……。ネットで見つけた注目の記事「食べるだけで痩せる魔法のレトルトカレー!」本当に痩せていくけど、この魔法のレトルトカレーの材料って一体……?

    「スノードロップ」
    突然人類みんなが魔法を使えるようになって四年。主人公は魔法で生み出すことのできる氷を売りながらいつも通りの生活を送っていた。「何も言わずについてきてください」そこに現れた一人の少女。言われた通りのついていけばそこは魔法の使えぬ人たちの避難所で……。

    「プリンとフォーク」
    付き合ってまだ半年なのに喧嘩が絶えないあなたたちカップルは今日もくだらないことで諍いをしてしまう。脱ぎ捨てた靴下の行方、目玉焼きにかける調味料、果てには耳の形まで。どうにも噛み合わない二人が送る、喧嘩の原因とその行方についてまとめました。全く犬も食わない。

    「君は花泥棒」
    イタリアの片田舎、船の上で歌うことで生計を立てる二人の少女がいた。片方は前世の美少女、もう片方は気立がよく朗らか。二人は夜になると同じベッドに潜り込みながらその日のことを語ります。
    「今日も運命の人は来なかったね」
    そういった次の日現れたのは二人が思う通りの人物で。

    「未来証明書」
    「時間旅行ができたら来世に行きたいな」
    そう語る彼女とはあと二ヶ月で違う進学先に通うことになっていたあなた。自分だけ志望校に受かった心苦しさを抱えつつも過ごす新学期だったが、そこに飛び込んできたのは彼女の突然の訃報。葬式の後に渡された彼女の日記には驚きべき秘密が。

    「破滅の饅頭」
    「64乗ってどれくらいなんだろう」
    高校生天才発明家の親友はいつものように意味のわからないことをテレビに取材中にも述べた。世間はそれに首を傾げつつも発明品を大々的に騒ぎ立てる。発明した技術は画期的で、斬新で誰もが驚くものだったが。
    「そういえばどうして饅頭?」

    「滴るような真夜中の底で」
    失踪した友人の行方を追ってアメリカまで飛んだあなた。その片田舎ではとある奇祭が開かれていた。魔法のジュースと呼ばれる飲み物を飲んだあなたは夢をみる。夢の中での邂逅、対話、そして逃亡。友人の行方は、正体とは。どこまでしてあげられることが友情なの?

    「独奏歌なら一人で歌え」
    実力を試すために一人イタリアに飛んだ主人公。そこで出会ったのは世界最古の一人だと魔法使いだと宣う男。彼の話は荒唐無稽。それでも放っておくことはできなくて。夢を追いながら彼と触れ合うたびに知らない気持ちが膨らんでいく。
    人は一人でしか生きることはできない。

    「表裏一体」
    全人類二重人格になって30年。世界は人格にも戸籍を与えたために人口が二倍になってしまっていた。多重人格の男子高校生であるあなたは進級してクラス替えを目前に控えていた。そこで出会ったのは人格が一つしかないあの子。あの子の心を射止めるのは「僕」か「俺」か。

    「口を使わなくても」
    口語のない国に訪れた旅人のあなた。ここは口で話す言葉が存在しないらしい。背中に指で書いて話す彼らの生活を見るあなたの脳裏に浮かぶはかつてのこと。あの地獄の日々のこと。風に流され根無草になったあなたの心を癒すたった5文字の言葉とは。その言葉に心を透かせてみれば

    「ランナウェイ」
    どんな女の子でも落としてきた最強モテボーイであるあなたのふった女がいる。ただの文学少女である彼女を落とせないはずもないのに今日も彼女に振られてしまった。そこで考えた方法は一つ。「付き合ってから考えてみるのはどう?」提案はうまくいき、付き合うことはできたのだが……

    「届かぬ星」
    ピアニストであるあなたには目標がある。天才ピアニストである従姉妹よりコンテストで高評価を取ることだ。それを胸に夜遅くまで練習をしていたあなたの前に現れた一人の青年。「僕は宇宙人なんだ」訝しみながらも彼のいう通りに引けば何もかも上手くいく。星を掴んで失うものとは。

    「爪の先」
    病床で目を覚ましたあなたに待ち受けていたのは残り四ヶ月の余命宣告だった。覆されるはずのない運命を前にあなたは思う。「せめて綺麗なところで死にたい」移転先の病院は聞いたこともない名前だが、そこはどこまでも美しく暖かい。終わりを迎えるには素晴らしい場所だ。……本当に?

    「朽ちた林檎」
    人類が滅びたと言われてから15年。残りわずかな人類の一人のあなたは放浪の先に一つの街を見つけた。清潔なベッドに豊かな食料、おまけに住民まで優しいときた。私は一体“どこ”にきてしまったのか。住民の視線を縫って秘密と言われる果実を盗み出せ。最後に味わう果実は甘い。

    「香水と共に」
    晴れて完璧と噂される芸能人の恋人となったあなた。今まで培ってきた技術とこれまでの努力を全て注ぎ込んできたあなたの顔は、それこそ芸術。指の先まで美しいあなたを彼は愛する。それは理で、道理で、必然で。ある日あなたは彼に告げる。「三ヶ月後に別れましょう」これは復讐なの。

    「紫陽花と向日葵」
    あなたには好きな女の子がいる。隣のクラスのマドンナであるあの子。綺麗で、優しくて、とびっきり笑顔が可愛いあの子。私には不釣り合いだと身を引いたある日、あの子に呼び出される。「私と一緒に私の実家にきて」連れて行かれた豪邸には秘密がいっぱい。女の子は何でできてるの

    「重い手遊び」
    あなたの手の内にあるのは婚約者の首。ひどい暴力の末に犯してしまった罪から逃れるためにあなたは悪魔と契約した。「ボクのことを好きになったらキミのことを食べちゃうから」少年の姿の悪魔はあなたの居候になった。よく食べる彼は確かに可愛いが……。無邪気は善悪とは無関係。

    「零れたワイン」
    三年目の浮気。あなたは夫のことを忘れ、若い男に溺れていた。社長業に精を出しあなたを蔑ろにし続けた夫のことが許せず、あなたはまた彼を家に呼ぶ。「今夜はずっとこの鈴をつけていてね」彼に言われたことを律儀に守るあなたの前に現れる夫の顔は、どこかでみたような表情で……。

    「食物連鎖」
    あなたはカブトムシ。今日も木の幹の蜜を吸って、あの子へのアピールのために一回り大きくなろうとしていた。クワガタさんが言いました。「向こうの森の話聞いた?」「燃えたんだって」ぼくたちの住むところまで“それ”は届いてしまうのだろうか。羽を広げて、一飛び……なんてできるわけ

    「あなたの影を踏ませてよ」
    とある女王の影武者として選ばれた者はもちろん女性……と、言われているが実はただの青年だった。つい先日まで機織りをしていたあなたの周りはその日をきっかけにガラリと変わる。豪華な食事は嬉しいが、はてさて。あなたによく似た彼女に渡すドレスは、きっと赤い。

    「雲を掴むような話」
    「お前ならできるって」親友はあなたの突拍子もない作り話を聞くたびにそう言って笑う。彼の3回忌の際に受け取った日記にも同じ内容が記されていた。押し入れから取り出した教科書を手に挑むは最難関と言われる大学。あの約束は7年経っても有効だろうか。とある博士の半生。

    「花よ嵐よ」
    自ら命を絶った恋人の葬式であなたは一人決心した。彼女の写真とぬいぐるみを連れての世界一周だ。中国からインドを抜けてイギリスへ。膨らむアルバムには写真が詰まっていく。君の匂いが消える前に、ぬいぐるみよ、どうか川の向こうまで連れて行って。この地にはもう、どこにもない。

    「茶色のシミ」
    父親の死体を裏山に埋めて三ヶ月。偽装工作にもボロが出て、調査のために市役所や警察が我が家に訪れた。血の跡を隠したはずのカーペットの下はなぜか真っ白。それどころか掘り返された裏山からも死体が忽然と消えている有様。消えたしたいの行方と、自身のルーツを巡る偏愛の物語。

    「薬指の骨」
    かつてあなたを支えてくれた彼女が国を支えるAIの人格に選ばれてはや二年。街を歩けばどこでも彼女の声が機械音声として聞ける日々はなんとなく味気なく、いつまでも寂しさを引きずるような心地がすしていた。そんなある日、腕時計のAIがあなたを呼ぶ。「またここに連れて行って」

    「トリガーハッピー」
    少年兵に志願したあなたは仲間である少年たちと共同生活を始めることとなった。素晴らしい教育を受けたあなたとは違い、彼らは箸の使い方も知らない始末。仲間達の教師役も板についたある日、あなたは戦場に送られる。命を燃やして、大義を成し遂げよ。あなたの育てた花は燃える

    「ロリータメトロカスタード」
    人は二種類に分けられる。かじると甘い人間と血の味のする不味い人間だ。血の味のするあなたは運命の相手とも言えるカスタードの味のする彼女を手に入れた。……もちろん非合法的な手段によって。幼気な彼女はどこを舐めても甘い。味以外で人を分ける必要なんて。

    「ガチンポパンパンファイトクラブ」
    性欲を筋力に変えることのできる装置が開発され、世界は様相を変えた。今地球上にあるのは暴力と性と精のみ。草食と呼ばれたあなたには特別な力があった。そう身を焦がさんばかりの性欲だ!すけべ力(すけべぢから)で世界を救え。ただあの子を守れよ、愚息諸君。

    「霞ヶ丘」
    引越し祝いの酒を片手にあなたはとあることで頭を悩ませていた。備え付けの鏡に自分の顔が映らないのだ。代わりに映るは母の顔。父の顔。そして、見知らぬ女性。彼女はいつもあなたとは違う表情を浮かべては驚くあなたをみてニコニコ笑った。俯いた時、鏡に映るのは本当にあなたの顔?

    「愛と呪いと喜劇」
    あなたは奴隷商人にさらわれた少女。世界は物語より数奇で、しかしやっぱり色がない。いつものように仕事をこなし、降り注ぐ暴力に耐えてから寝床についた。途端、開け放たれた窓の向こうにいたのは輝くような少年の姿。「迎えにきたよ、きょうだい」チェンジリングって知ってる?

    「falling down」
    あなたには体を重ねるだけの仲の女がいる。対して綺麗ではなく、要領も悪い薄幸そうな女だ。彼女は僕の肌をなぞっては呟く。「今日も私を氷のように扱って」言葉の真意などわかるはずもない。ただ確かめるだけのその行為に落ちたのは僕の方。もちろん奈落にも。

    「烏滸がましき愛へ」
    白百合の君、それがあなたの文通相手の名前だ。彼女のことは名前以外はなんでも知っている。筆跡、口癖、好きな食べ物、家族構成、住んでる街。……あの言葉までは確かにそう思っていた。「本当のことを探して会いにきてよ」彼女の足跡を追って東へ西へ。捕まえた暁には張り手を

    「ヒーターとメモ帳」
    冬の間は日の登らない地域に住むあなた。地獄のような極寒の中でもできることはある。例えば温かい屋内で日記を書くこと。いつものように日記帳を開いたあなたの前であなたのペンが勝手に踊っては文字を紡ぐ。「お話をしましょう、レディ」ペンの紳士はあなたのことが知りたい。

    「流し込めない」
    あなたには目に入れても痛くないほどの可愛い弟がいる。……正確にはいた、去年まで。下校中に惨殺された弟の死体の前で泣いたあなたの胸に宿るは一つの決意。「弟をそっくりそのまま取り戻すこと」手に入れた魔術書は確かなもので様々な願いが叶った。……残りは人体錬成、ただ一つ

    「チョコレートマウンテン」
    口に入れればほっぺたが落ちるような美味しさのチョコレートを売る専門店ができたらしい。あなたはチラシを見ながらその店の扉を開いた。開かれた先にあるのは楽園。あなたは何を食べても舌鼓を打ち、胸を躍らせ、感嘆の息を吐いた。こんな美味しいものを作る人は一体。

    「長靴の底」
    人の靴を磨いて生計を立てるあなたには一つの夢がある。立派な革靴を買ってその足で教会に行くのだ。今日もパンを買った残りの銀貨を靴の中に入れた。もうすっかりこの靴もボロく、重くなったもんだ。そんなある日、あなたの前に現れたのは一匹の子犬。全く、腹も膨れない

    「喉元過ぎれば」
    相続争いに負けた次男のあなたに残されたのは、ただ古いだけの家と父の大事にしてたよくわからない壺だけだった。壺の中には何もなく、覗けば青い底が見えるばかり。腹いせに中に悪口を叫んでみれば女性の声で返事が返ってきた。「蔵の後ろを掃除なさい」彼女の言うことは正しいの?

    「ヤンデレ君と王子様ちゃん」
    あなたには素敵な彼氏がいる。「どこにも行かないで」「ずっと一緒」「離れたりなんかしたら死んでやるから」彼は少しだけ過激だけどやっぱり素敵で可愛い。「死んでやるから」とこぼれた涙を拭ってキスを落とせばいつもの笑顔に早変わり。彼と過ごす日は暖かく煌めいて

    「創星記」
    枯れた世界に生きるのは、あなたとたくさんのロボットたちのみ。降り注ぐ放射能の雨の中あなたは思う。「僕ほど天才ならば人間も作れるのでは?」いくら励んでもできるのは高性能ロボットばかり。「バイオ方面にも手を伸ばせばワンチャン?」生まれた子につけた名前が物議を呼んで……。

    「がしゃどくろ」
    誰が呼んだか妖怪横丁。次元の狭間のその街には名もない闇たちが形を得て重い思いの日々を過ごしていた。あなたは探偵、あやかし探偵がしゃどくろ。今日もあなたの元には少しヘンテコで、少し妖しい依頼がやって来る。最初の物語のキーパーソンは小さな猫又の又三郎。

    「ぽんぽこぽん」
    狸と呼ばれる男がいた。そう、変装名人であるあなたのことだ。姿だけではなく、歩く様子、食べる動作、果てには声まで真似ることのできるあなたに変装できぬものはない、と思っていたが。「私と対決してみませんか」そう言ってきたのは一匹の狸。さんにいちでぽんぽこぽん。

    「……え?」
    急に人の声が認識できなくなったあなた。病院に行っても原因はわからずじまい。精神的なものだと思い休職して療養するため訪れたのはとあるお宿。奇妙な生活を強いるお宿の女将はそっと告げる。「ここで聞こえる声には反応してはいけません」信じると決めたのはあなた自身でしょ。

    「ちょこみんとギンガム」
    女子校にも王子様はいる。艶のある短い黒髪に、すらりとした手足。まるで森にひっそり住む妖精のような彼女に私は恋をした。みんなに優しくて、少しだけ寂しそうな彼女。「ボクのことなんて誰もみてないんだよ」そんなことなんてないのに。どうして淋しそうに笑うんだろう。

    「特等席はありません」
    少しだけ先の未来。人口は7000億人を超え全てが機械化された世界。自分の住居であるカプセルから出てあなたは役所へ出勤する。セレブになってこの苦しい生活から脱出したい、そう思った矢先に自身の階級が上がることを知ったあなた。労働だけが自由を叶える世界にようこそ。

    「沈む。」
    魔法学校へ進学したあなた。現実と思い描いていた学校生活とは程遠く、毎日毎日疲弊していく日々。寮を飛び出し飛び込んだ湖にはあなたの全てがあった。冷たい水に足先を浸せば足が軽くなり、青い空気を吸えば胸が晴れる。おばあさまの言葉が過ぎる
    「人はそんなにいいものではないのよ」

    「にんじんハリケーン」
    ぼくはうさぎ。きゅうきゅう鳴けば家来が飯を運んでくる。この悠々自適な日々にやってきた一匹の黒い猫。「おみゃあはもう用無しだがや」なんて意地悪で重くて臭いやつ!図体ばかり大きな魚喰らいめ、覚えていろよ。浮気する家来にお仕置きを。これは罰のうさぎキック。

    「弦月の君」
    一人でピアノを練習していれば必ず現れる青年がいる。ピアノの妖精だという彼の言うことはいつだって面白くて、少しだけ切ない。「いつだって君の音色を聞いてきたんだ」このピアノは購入して三年だと言うのに、彼は鏡のように私の心を見抜いてくる。コンクールの前に消えたのはなぜ?

    「神鳴」
    昔、村は飢饉になった。食べ物を探して迷い込んだ森の外れで少女は一人の青年に出会う。「これを埋めたところに生えた木にお前の名前をつけなさい」一晩で大きくなった木には見事な柘榴が実った。それが母さんたちの馴れ初め。あなたは半神、この村の守り神だ。さあ、今日も雨を降らせよう。

    「おどろおどろどんどろどん」
    大きく開いた目に目薬を一滴。それがあなたの新しい習慣。最近人間界に越してきた一つ目のあなたには夢がある。もう一度人間どもを大きく驚かせる事だ。ギターを片手に今日もカフェへ。「マスター、いつものを頼む」この味に誓ってデカイことを成し遂げてやる。

    「力加減」
    とっくに連絡の届かなくなったチャットルームを消去して、昨日の男の名前をタップした。新しい男にもこのタバコの匂いを覚えてもらわなきゃ。もらったばかりの香水を一吹きして唇に色を乗せる。こんな爛れた生活に慣れたあなたに一通の手書きの手紙。「あなたの声を思い出させてください」

    「マイボイス」
    キーボードで叩かれた通りに発声して、ディスプレイに表示され通りのメロディラインで歌った。あなたは電子の歌姫だ。しっかり心も戸籍もあるあなたには一人のご主人様がいる。歌詞が素敵で、メロディが美しくて、調整が丁寧なあの人。でも、あなたはあの人の顔も見たことがない。

    「夕暮れ日記」
    おばあちゃんのおうちはいつだって美味しいものがある。記憶を失ってもそれだけは忘れなかった。あなたは二年前交通事故に遭い、このおばあちゃん家に住むことになった。今日もおじいちゃんの膝上で同じように新聞を読んでお昼寝をする。
    あなたは記憶と知性を無くした17歳の男子だ。

    「欠けた月」
    左目の視力を失ってあなたの生活は一変する。あれだけ絶賛されていた写術的な絵を描くことがでいなくなったあなたは毎日泣いて荒れた生活を送っていた。「起きなさい、若人よ」朝枕元に現れた爺さんは一体何者?一枚で自分の全てを表すためには何ができる?

    「紙の舟」
    世間に叩かれ芸能事務所をやめたあなた。あなたを酷評した評論家は今日も根も葉もないゴシップで私腹を肥す。握ったペンに刻まれた文字を胸にあなたは小さな事務所を立ち上げた。狙うはてっぺん、もちろんアイツのどてっぱら。踊る文字に血を練り込んで。さあ、復讐なら紙面でどうぞ。

    「覆水不返」
    「あの人はもう戻ってこないんだよ」周りに何度言われてもあなたの心は決まっていた。あの人を、あなたを振ったあの男を振り向かせる事。床に零したミルクを舐めて、階段では振り返る。どこまでも強欲で、どこまでも美しいあなた。どんな祭りでさえも奪ってみせて。その手に掴むは、血液

    「指先」
    世紀の大発明がなされた。指先を触れさせるだけで感情を伝える方法だ。指切りは新しいコミュニケーションとなり、言葉はどんどん廃れていく。そんな時代の学生たちに流行ったコミュニケーションツールというと、指先と背中、それだけだった。あの人の背中の上だとたった二文字も書けないね。

    「ランチ・ボックス」
    あなたには毎日の楽しみがある。最近仲良くなったマダムとお茶会をする事だ。名前も知らぬマダムの美しいバラ園の中心であなたたちは二人微笑む。あなたの作ったケーキとマダムの淹れたお茶はぴったり合う。「今度はお昼ご飯にしませんか」マダムのお誘いから人生は変わる。

    「嫉」
    長身からすらりと伸びる手足に、絹のように柔らかい黒髪。血のように赤い唇に、雪のように白い肌。何をさせても満点をとって、何をしても賞をもらった。全てをかね揃えたようなあなたにはたった一つの欠点があった。その身を焦がすような激烈な嫉妬心だ。全てを手に入れないと私ではいられない

    「白夜に還る」
    学生服に腕を通さなくなって5年。あなたは疲れたOLとして毎日毎日電車に揺られて通勤してた。睡眠不足でまわらない頭の片隅によぎるはかつてのこと。あの子と過ごした学校生活のこと。ついた駅のホームであなたは運命の再会をする。結婚の約束っていつまで、幾つまで有効なんだろう。

    「海岸のイス」
    家のまえに広がるこの海岸にはいつだって不思議なものが流れ着く。ブイに、流木に、壊れたベンチに、異星人。彼の名前は『?????』。発音できない彼の名前を何度も聞き出そうとしてあなたは眠る彼の体を揺すった。彼が気になるとはいえ……家まで連れて帰るのはやりすぎなんじゃ?

    「レベル99」
    完全没入型VRゲームに熱中するあなたのレベルは堂々の99。全世界で一番強いあなたの前に立ち塞がったのは運営すら知らないバグデータで。あなたが倒さないとこの世界は壊れてしまう!みんなの期待を背に立ち上がれ!掴んだこの剣は決して離さないとあの子に誓ったんだ。

    「溶ける配線」
    おやつのカップケーキにはたっぷりキャラメルをかけたし、お布団のシーツは真っ白にしたし、洗濯物も終わらせた。最後にしっかりとドアに鍵をかける。これが毎日の習慣。大好きなルーティン。あなたの家には一人、監禁してる恋人がいる。今日はその恋人の誕生日だ。

    「とても運命を感じます!」
    あなたには夢がある。『運命の恋人と結婚する』というものだ。ある日天使様が枕元に現れてからずっと信じている運命の相手は、まだまだ現れる気配はない。運命の相手を探して今日もいろんなところに足を運ぶあなた。ぶつかった男の人にあなたは驚く。だって彼こそ運命の人

    「夜明けの遮光カーテン」
    痛む頭を押さえながらカラカラの喉に薄いコーヒーを流し込んだ。新人作家のあなたには悩みがあった。納得できる作品がある日を境に書けなくなってしまったのだ。思い出すのはもちろんあの日のこと。あの不思議な男性と一夜をともにした時のこと。「今、君は一瞬死んだんだ」

    「割られた茶碗」
    結婚して40年の熟年夫婦であるあなたには一つの習慣があった。週末、妻に一輪の花を買ってくることだ。実はそれは妻への労いではなく、むしろ贖罪でもあるのだが……。とある夫婦の半生と反省を紡ぐ一本の物語。この物語はフィクションでありますがあなたに芽生えた気持ちは本物です

    「真夜中のレントゲン」
    あなたの勤める病院には一つの噂がある。遊びたがりの男の子の霊が出るというものだ。怖がる新人看護師の代わりに仕事をこなすあなたの前に現れるのは小さな男の子。「お姉さんはお母さんじゃないもんね」この子の言うことは意味がわからないけど、どこかで聞いたような気が

    「腹の中」
    古本屋を営むあなたには特殊能力がある。どんな大きさのものでも丸呑みして後から取り出せるというものだ。曰く祖先に蛇神様がいたとかなんとか。そんなことを知らないあなたは今日もそっとその能力を使って日々を過ごしている。この物語であなたはこの星を飲み込んでしまうのだ。

    「夜の街灯」
    夜の散歩が趣味のあなたには一つのストレス発散方法があった。誰もいない通りで大声で歌を歌うというものだ。今日もいつも通り真っ暗な道に調子外れの歌声が響く予定だった。が、歌声に突然美しいハモリ声が混ざり始めた。深夜の大合唱はきっと怒られちゃうんだろうけどね。

    「彼岸の病院」
    『入院した大病の患者は必ず死んでしまう』という病院に転院したあなたは一つの問題があった。死ぬこと、ではなく「庭の椿の木を誰が世話をするのか」というものだ。そこに現れたのは一人の夫人「恩人であるあなた様のお世話をしに参りました」という夫人は見たことはないのだが……

    「探してください」
    失踪した恋人の行方を求めて、あなたはとある水族館に訪れた。そこには彼女の足跡がたくさん残されていて。飼育員さん曰くあの子は「自分が絶対に来ないところ」にいるらしい。ならばと腹を括ってあなたは飛んでイタリアへ。あなたとその子が出会った海へ。生まれ変わった時は君と

    「お前の羽は何色だ!」
    全人類に翼が生えるようになった西暦5000年の冬。若い鳥人たちの間で流行ってるおしゃれがある。いろんな友人からもらった羽を翼に刺して羽をカラフルにするというものだ。すれ違う時には独特の挨拶がある。目があったらお辞儀、そしてその後背中を向けて、いっせーのせで!

    「晴れ時々カオス」
    ここ最近の天気は悪化の一途を辿っていた。それこそまさに異常気象。晴れ、曇り、雨、雪、台風、槍、炎、果てには猫まで降ってくる。そんな天気も当たり前になったある日、世界には星が降った。金平糖のような星たちは歌うように語る。「お疲れ様でした、次はスタッフロールです」

    「悲愴」
    ピアニストであるあなたには一つの悩みがあった。とある曲が突然全く弾けなくなったのだ。あなたの代表曲でもあるその曲を弾けなければ仕事すらままならない。ある日泣きながらピアノの前に座っていると突然見知らぬ白髪のおじいさんが現れてあなたを叱る。「泣くのはおよしよ、お前さん」

    「後ろを曲がって雨をくだると電話が白く笑っているよ」
    散歩をしている時に転んで頭をぶつけてしまったあなた。起き上がってみれば世界は一変していた。何もかもあべこべな異世界から抜け出そうとしているときに現れたのは一人の少年。ヘンテコな彼の言うことにはなんとなく一貫性があって。

    「ビターチョコレート」
    女子中学生であるあなたには好きな男の子がいる。イケメンで優しくていつも笑顔のクラスの人気者。話しかけることもできない毎日がとある一言で変わる。「僕の日記、どこかに落ちてなかったかな」私が届けてあげたいな。想う気持ちはホワイトチョコ、失う瞬間はベリージャム。

    「凶の雨」
    あなたは雨の日にしか会えない人物に想いを寄せていた。バス停でほんの数分だけ話すことのできる彼は、いつだって暗い顔をしている。ただ話すだけでよかったのに、あなたは欲を出してしまった。触れてみたいと思ってしまった。ハンカチ一枚を残して消えた彼に会うためあなたは湖に沈む。

    「春」
    妖精界にも春が来ました。春を告げる妖精であるあなたはたくさんの花の種をカゴに入れて向山の丘まで飛ぶ……予定だったのですが。大変、カゴをツバメさんに取られてしまいました。急いで取り戻しても、お次は強風、さらには大雨まで。それでも、何があっても。絶対に春は届けてくださいね。

    「52Hzの叫び声」
    元刑事、現在探偵であるあなたはとある事件を追っていた。自殺と片付けられた殺人事件だ。謎が謎を呼び、調べるほどに糸は絡まり身動きが取れなくなっていく。最後に出会った青年の正体は。全ての始まりである事件とは、一体。この叫びは、必ず届ける。

    「永久糖度」
    「私、あなたのことが大好きなの」
    スクールカースト一位のあの子は、そう言ってクラスの中心で私にキスをした。恋人になるように言われ渋々付き合い始めたはずなのに、あなたの脳内はどんどんあの子に侵食されていく。フリルで隠された女の子の胸にはぽっかり穴が空いてるものよ。

    「ワンツーステップはたおやかに」
    「貴族の生活って退屈なのね」
    あなたの姉はそう言いながら結婚し家を出て行ってしまった。綺麗で優しくて誰よりも聡明なお姉様はもう帰ってこない。あなたは母の形見の姿見に誓う。あの憎き王子からお姉様を取り戻すことだ。魔法のステッキはいつだって綺麗だから

    「ワンツーダンス」
    すべての対立はダンスバトルで解決するようになった西暦3050年。全人類素晴らしいダンサーになった世界ではより高いヒールで踊れることがステータスになっていた。15cmのヒールで踊れるあなたは恋をする。お相手は23cmのヒールを履くトップダンサー、あなたの幼馴染だ。

    「雪模様」
    冬は赤いマフラー、夏は赤いリボン。それがあなたのチャームポイントだ。車もあまり通らないこの田舎町に都会から一人の男の子が引っ越してくる。彼はここの子たちと雰囲気が違い静かで洗練されている。彼はあなたを神社の前に連れ出してそっと聞いた。「あの日の約束、覚えてる?」

    「相手が言うまで待つ」
    あなたは凄腕の暗殺者だ。最近の悩みは拾った子供の育て方、だ。気を抜けば口にタバコを入れ、目を離せばベランダから飛び降りようとするこの子を無事に育てたい。あなたは一人の男に銃を突きつける。「お前がこの子の父親か」狙うは命とこの子の親権。

    「コンビニ事件」
    あなたはこの事件を担当する特殊警察だ。バディはこの熊のぬいぐるみ……に見える妖精のトムだ。口は少し悪い。今日も二人でパトカーに乗り込む。目指すは市内のとあるコンビニ。「テメェがちんたらしてっからこうやって面倒見てやってんだ」訂正、こいつは口がめちゃくちゃ汚い。

    「砂の王冠」
    ここはとある砂の楽園。何もかも手に入れられるが、水だけに苦労する王国だった。民は水を求めて東へ西へ。常に渇きに喘ぐ民草を救うため、若き王であるあなたは決心した。全ての民を本に入れて遥か遠い水の王国まで一人で旅する、というものだ。月よ、ラクダよ。僕にだけ嘘をつかないで。

    「猫の額の箱庭」
    ここは多重世界、全てが重なる何もかも確証の得られない不安定な庭。あなたはたった一人でこの世界を支えている孤独で寂しい王様だ。そこに落ちてくるのは一人の少女。目の見えないその子はあなたの手を引いて笑う。「手の温かいあなたは誰よりも美しいの」彼女だけは裏切りたくない。

    「輪の国」
    「手を繋げば言葉はいらないのよ」見つけた彼女はそう言ってあなたの手を取った。あなたは旅人、さまざまな国へと足を伸ばしてきた。訪れた超能力が溢れる国では、人々はただ静かな日々を過ごしていた。彼らは旅人に告げる。「あなたに彼女を救って欲しいの」出会った少女には腕がない。

    「剣山とふうせん」
    「お前っていつものんびりだよな」「そういう君はせっかちだよね」友人のコイツはいつだって鈍臭くて、いつだって性格の悪さから友人をなくすあなたの側にいる。「どうして俺から逃げないんだよ」彼は笑う。「君は僕に隠してることがあるんでしょ」彼にはいつだって敵わない。

    「観察者カメレオン」
    あなたは凄腕のスナイパー。30時間後には必ずターゲットは死んでいる。そんなあなたには趣味がある。下階のマンションの部屋で繰り広げられる他愛ない生活をこっそり覗くことだ。今日も一日ターゲットを狙ってスコープを覗いていた……のだが。視界端には落ちそうな赤子が。

    「蛇と兎」
    あなたは肉食系女子と名高いクラス一のビッチ。男の間を渡り歩いて、浴びた罵倒は数しれず。昨日だって隣のクラスのあの子と熱い夜を過ごした。そんなあなたが出会った男の子があなたの人生を変える。「君って蛇を飼ってたことがある?」彼の言葉であなたは必ず泣いてしまうのだけど。

    「999本のバラと1本のダガーナイフ」
    一人の男に全てを奪われた。家は燃え愛する家族は炭となった。あの男に近づくためにあなたは生まれ変わる。容姿、声、身長、果てには過去まで塗り替えたあなたにもちろん男は恋に落ちる。受け取ったバラは抱えられないほどに増えた。そのキスで殺して、銀のナイフで愛して。

    「接点極薄」
    あなたには好きな人がいる。顔が可愛くて、声がキュートで、笑うと歯が見えるその笑い方がたまらなくて、髪をいじるその仕草がいじらしいあの子。あの子にどうにかして想いを伝えたい。伝えて二人でお出かけしたい。触れて愛を囁きたい。彼女との接点は日本国民ということ、ただその一点。

    「忠誠の剣」
    王国の騎士長であるあなたには一人の想い人がいる。王の娘、つまりあの可憐で麗しい姫様にあなたは懸想してしまっていた。王に傅いたあの日からあなたの心は王、ただ一人のものだというのに。湖に秘密をこぼせば囁きが。「願い、聞き届けたり」その日から世界は様相を変える。

    「北斗七星」
    「あの星の向こうに楽園があるんだ」そう言っていた兄は奴隷商人に攫われてしまった。あの優しい兄を追ってあなたは一人大陸を歩いて横断する。東へ西へ、全てはあの言葉の真意を知るため。全ての楽園を横断して知る感情とは。兄の行方、正体は。もし星になれるとしたらあなたは。

    「夜明けを告げる一本」
    衣ずれの音、リップ音、密やかな囁き声。それだけがあなたの全てだ。名も知らぬ男に監禁されているあなたは足についた鎖のせいでどこに行くことも許されない身だ。そんなある日、あなたの元に一筋の光が差す。部屋に現れた知らない女はあなたに囁く「あの男、私にくれない?」

    「HE  IS WATCING  US」
    あなたたちは普通の人間。そう、本当にただの人間だ。いつも通りに出勤して、いつも通りに食事をとり、いつも通りに就寝する。そう、全てが空に浮かぶ大きな目に監視されてること以外は至って普通。三年前突如現れたあの目は全てを見つめている。もしあの目に見覚えがあると言ったら?

    「塩の山にて」
    この世界の人は全て死ねば塩の塊になる。葬儀は海に遺塩を撒く、ただそれだけ。あなたはこの世界で生まれたはずなのに不思議な記憶を持っていた。違う世界の自分自身の豪華な葬儀の記憶だ。自分は確かに死んだはずなのにどうしてここにいるんだろう。あなたの名前は誰もが知っている。

    「棘の女」
    文武両道、才色兼備。あなたを彩る言葉は数多にあるが、全ては的外れ。あなたはそう、棘の女。全てを魅了し、全てに傷をつけるために生まれたの。今日もまたあなたの毒牙にかかる哀れな男が一人。「僕の全てを差し上げます」このチープな言葉であなたの人生は変化してしまうのだけど。

    「飛べない鳥人」
    世界の人類の7割に翼が生えている。それは周知の事実だが最近判明した事実もある。翼のある人間には心や感情と呼ばれるものが欠如してる可能性だ。あなたは翼のある鳥人として生まれたが一つだけ世間とは違う。飛べないのだ、少しも。もし、あなたが空を飛ぶときに触れる青が心なら。

    「あなたの心は私のもの」
    眠る姿まで美しいあなたにはお気に入りの存在がいる。弱くて情けない人間の雄だ。彼はいつだって育てたものだという白薔薇をあなたに差し出し傅く。「相応しいのは僕だけです」身の程に合わぬその男の傲慢さが心地よくて……。もし全てを投げ出すなら、まずは何からにしたい?

    「蜜蝋」
    暗い部屋と冷たいご飯と窓から差し込む月の光。それと一冊の本。それだけがあなたの全てだ。あなたには一つの夢がある。蜂蜜をお腹いっぱい食べることだ。あの甘い雫で胸を満たしたい。そんなある日、あなたは気づく。壁がなんだかサクサク、ぬるぬるしてるのだ。この黄色い液体は一体……?

    「世界がトランプで出来てたら」
    世の中は金と酒とギャンブルでできている。それが持論であるあなたは今日も酒場に入り浸っていた。いつものつまらない日々を酒で誤魔化していたあなたにマスターは耳寄りな情報を寄越す。「命を賭け金にする賭場があるらしい」勇んであなたは向かうのだが……。

    「蹄のヒール」
    人間は二つに分けられる。蹄のあるヒトと足の柔らかい人間だ。美しい蹄を持つあなたは今日もダンスホールに向かう。あなたの踊るポールダンスはこの小さな世界を魅了する。今日も全ての視線を集めるはずだが……。「あなたの爪は硬くてつまらない」毛高き蹄で鼻っ柱を折ってやれ。

    「チューベローズを君に」
    ニオイスミレに薔薇のエキス。蜂蜜、チョコレート、にんじんジュース。全部全部飲み込んだ。全てはあの子より綺麗になるために。美しくなったあなたにあの子は声をかける。「私、あなたのことが好きになっちゃった」甘くて可愛い劣等感いっぱいの花束をどうぞ。

    「ランタンに明星」
    星座の守り人であるあなたには忘れてはならない役目がある。銀河に落ちてしまった星を夜が来るまでに元の場所へ案内することだ。今日の見回りで見つけた星はなんだか様子がおかしい。「パパが、パパが来ちゃう」その声を合図に星がコロコロと落ちていく。始まりはいつだって綺麗。

    「日のない街」
    常に夜の街に訪れたあなたは今晩の宿を探していた。どこか暗く静かな大人たちに合間を抜けて駆け寄ってくる少女が袖を引く。「お兄ちゃんは月の歌が聞こえる人?」言葉の意味を知ろうと見上げた先には衝撃的な光景が広がっていた。もし人が星に恋をした場合、独占するにはどうしたら。

    「彼方の星に手を伸ばす」
    新人バレエダンサーのあなたは血の滲むような練習を積んでいた。才能もない、センスもない。でも努力だけはできると今日も遅くまで残って特訓をしていたあなたの耳に飛び込む噂。「妖精さんにお願いすると上手くなるって話本当らしいよ」ダンサーにとって最も重い代償って?

    「空色インクの日記」
    あなたにはたった一つの趣味がある。日記を綴ることだ。今まで書いてきた日記帳は宝物。32冊目の日記帳に触れた途端、あなたの名前を呼ぶ声が。「清き人の子、我をここから出してはくれんか」過去の自分と友達なら、どっちの方がより自分のことを知ってるんだろう。

    「ガンギマリワールド」
    毎日の習慣。朝のコーヒー、ストレッチに、この気持ちよくなれる薬。これを飲むことが我が社の決まりだ。これを飲んで出社すれば気持ちは晴れやか、仕事も進む。……が、ある日飲み忘れたまま出社してしまった。見れば何もかも違う。社員もデスクも、世界さえも色を変える。

    「かつらむき星人」
    とある星が地球と星間フレンドシップ条約を結ぼうとした。その星の住民の頭は全て何かのオブジェクトで、毎日その日の気分によって変わるらしい。外交官であるあなたは対話のために駆り出される。目の前の彼はとても紳士的で相手として完璧。頭にトイレを乗せてること以外は。

    「ビビットピンクの受話器」
    世界各地に登録されていない異常な電話ボックスが出現するようになった。あなたの家の目の前に現れた電話ボックスには一つの噂がある。「死んだ人間と話ができる」というよくあるものだ。暇つぶしに耳に当てた受話器から聞こえたのは自分の声で。「お母さんを探して」

    「だてまき」
    今夜のご飯は和食。だしは鰹節と煮干しをたっぷり使ったものなので風味がいい。味噌汁にはお豆腐をたっぷり。しっかり炊いたお米はツヤツヤで香り豊か。彩りにも気をつけて多くの野菜を取り入れた。二人分よそって手を合わせていただきます。たくさん食べてくれる君はもういない。

    「泊めてあげるのに」
    ただの女友達だと思っていたのに、たった一言であなた達の関係は変わってしまった。友達でも恋人でもない彼女との関係は一体なんと表そう。連絡を取ればすぐにあえて、通話をすれば寂しい夜は無くなってしまう。そんな時に通知が。「また泊まりにくる?」言葉だけが全てじゃない

    「as know as」
    あなたの背中には翼があった。三年前天界から追放されてからあなたは人間に混じって生活している。戻るためにはあることを成し遂げなればいけない。とある尊いお方の弟君を探し出すことだ。かの人物は自分と近い人物だというが、はて。あなたは自分のことすら覚えてないというのに

    「その日、君は。」
    あなたはただの陶芸家だ。毎日毎日窯と語って火を見つめてきた。そんなある日のこと。いつものようにろくろを回していたら声が聞こえてくる。「彼女をここから出してください」窯の中の声は何度もそう言うが声の主のいう「彼女」があなたにはわからない。いつだって運命は唐突。

    「誘うプリーツスカート」
    すこしだけ赤い髪に薄い唇。向こう側が透けて見えるような白い肌に落ち着いた声。同じクラスの彼女のことが大好きなあなたは今日も思う。「彼女の瞳を舐めてみたい」気味の悪い想像を押し殺していたある日声をかけられた。「今度一緒に海に行こうよ」彼女の目は雄弁。

    「俺の命日」
    寿命すら可視化された西暦3030年の今日、あなたは寿命が残り一年となった。国から支給された資金を使い切るためにあなたは決心して車を買った。小さな車であなたは東へ西へ。美味しいものをはちきれんばかりに詰めてから思う。ま、寿命なんて国が決めているもの、あなたが守るわけ。

    「tRicK ANd TrICk‼︎」
    ここは子供だけが住める国、ドリームランド。そこでは今日もお菓子パーティが繰り広げられていた。お菓子は食べ切れないほどあるのに喧嘩は絶えない。そこで立ち上がったのはあなたたち「なんでも委員会」お菓子の分け方から靴の並べ方まで、委員会が決めるようになって……

    「青い宝石の世界」
    「全ての人の瞳には宝石が埋められているんだって」彼女は生前よくそう言っていた。彼女の遺品は滞りなく片付けられ、私の手元に残ったのはたった一つのかんざしだった。かんざしの頭に埋め込まれた装飾に私の顔が映る。彼女の瞳によく似た色の大きなガラス玉が。戻れば地獄。

    「短い街」
    とてもとてもせっかちな住民が住む街にあなたは訪れた。紅茶は一分で注いでしまうし、待ち時間は10分も待つことができない彼らは毎日毎日忙しそう。曰く、彼らの生態に秘密があるようで……。実は神様が配ったギフトには偏りがあるんです。

    「梟喫茶と怪奇なお客」
    古書店の向かいに構えるクラシックなカフェに務めるマスターのあなた。あなたと話をするために人々は訪れる。全ては常連の謎の解決するために、あなたは夜の街を一羽飛ぶ。好きなものは夜空とコーヒーと少しの嘘。

    「そしてお姫様は言いました」
    フリルのように美しくレースのように儚いあなたは一国の姫である。豪華な食事に煌びやかなドレス、何もかも手に入った。それでも足りないあなたは思う。「うるさくない王子様が欲しいの」王に溺愛されたあなたのもとに届けられた王子は望むものではあったのですが……。

    「どうして咬むの」
    やりがいのある仕事、優しい家族、多くの友人。恵まれたあなたには恋人にまつわる一つの悩みがある。ひどい噛み癖があるのだ。愛し合えば必ず首に夥しいほどの咬み傷を残す彼の癖をなんとかしたい。勇気を出して彼に告げれば、彼は途端に笑い出す。「本当に何も覚えてないんだね」

    「私を殺してください」
    たった一人の家族を失ったあなたは今日も殺し屋の元へと足を運んだ。どれだけ金を積んでも凄腕だという殺し屋は頷きやしない。痺れを切らしたあなたは刃物を首に当てた。殺し屋に邪魔をされたせいで死ぬことはできなかったが。全てを知った時、あなたは死んでしまうのかも。

    「やんごとなきヤギ」
    あなたは王の姿を見たことがあるか。それはそれは素晴らしい毛並みのやぎの姿を。あなたは王の望むままに働き、王の望むままに生きてる。それは何よりも素晴らしいことなのだ。……さて、ここまでが本文です。ここから先は後日談。誰かの後悔を綴る長い長い物語。

    「肌色と青」
    肌の色で人が区別されていた時代は終わりを告げた。人間の肌が突然七色になったことによって。青色の肌を持つ女子高生であるあなたには好きな人がいる。薄いオレンジ色の肌を持つ図書委員だ。彼に告白すれば彼はこう言う。「赤い肌の人が好きなんだ」肌の色に法則性などはないのですが。

    「貴方はお隣さん」
    とあるマンションの一室に住むOLのあなたには好きな人がいる。隣の部屋の男性だ。分けてくれる肉じゃがはとっても美味しいし、毎回挨拶をしてくれるところが好ましい。そんなある日、あなたは彼の正体を知ってしまう。「星に帰るために協力してほしいんだ」もし羽衣を捨てたなら。

    「錆びた撃鉄」
    昔、人間は地面の上で銃を打ち合って戦っていたらしい。考古学者のあなたは人間の戦争の歴史について研究をしていた。当時から何もかも進んだ未来でも分からないものが最近発掘されたのだ。一人の異能力者の頭蓋骨から『あなたと遺伝子学的に全く同じ個体である』形跡が見つかっている。
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