善友の手を握る「「うおーー!!!」」
その意気を発散させるかのように、チップ・ザナフと御津闇慈の同調した熱い喚声が辺りに響く。
「うおー……」
そして、こだまするにはあまりにも貧弱な歓呼を上げた名残雪。
だが、それは奮戦後に残る恥辱の嘆きとは一風異なることを、名残雪本人も自覚していた。
「……」
和装の青年二人に押し負けたのは己の力量不足と理解するが、それでも名残雪の中で猜疑は残る。
「半信半疑って所かい?」
仮面の下の表情。いや、心中を察したのか、絶扇を綴じた闇慈が、未だ地に膝をつけている名残雪に手を差し出す。上手からの手が意味するのは、勝者の余裕や情けでもないのは明らか。だが、名残雪は拳を握り、手を取るのを躊躇った。
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