檸檬④ Ⅰ. SIDE:M
ⅳ. 拗ねる娘と綾す父
「準備は順調か、お前達」
「おや無惨様! おお、やはり無惨様は何を着ていらしても見目潤しいですねぇ。お似合いでございます」
「えっ! 無惨様もう来てるの? 俺も見た…へブシッ!」
「こォら、ジッとしてよ。紅がはみ出ちゃうじゃない! それに唾が飛んだわよ、汚いわねぇ」
「ご、ごめん」
部屋に入って真っ先に駆け寄ってきたのは童磨だった。仕事が終わって暇を持て余していたらしい。彼と話途中だった妓夫太郎も後ろについてきていてペコリと会釈をした。「素敵です、無惨様」と一言添えてきたので、「そうか」と言って一つ微笑んでやれば照れ臭そうに痩けた頬を指で掻いた。
「どうだ、炭治郎は。人前に出せるようになったか」
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