観用少年と呪術師観用少年。一日3度のミルクに、時折与える砂糖菓子で美しさを保っている観用少年。職人の手によって丹精込めて作られた少年達は皆美しい者ばかり。普段は眠っているけれど、気に入った相手にだけその瞳の色を見せてくれる。しかし近年、その美しさ故に正式な手順を踏まない売買取引や転売、悪用等々が蔓延り、店主は頭を悩ませていた。
そんなある夜、此処、バーチャル横浜の片隅にある観用少年専門店に青年がやってくる。名を、北見遊征と言った。呪術師をしていると言った直ぐ後、ある二体の観用少年を引き取りたい、と続けた。店主には心当たりがある。その美しさに惹かれて引き取ると、主人に不幸が訪れる、何度も買われては戻って来る二体。
“蛇苺”と“紫芍薬”と呼ばれる観用少年だ。
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