雪だるまに恋して【前編】 空は雲一つない快晴、ここ数日続いた吹雪がウソのように晴れ渡って、雪山のゲレンデはこれ以上ないほどのベストコンディションだ。早朝から動き始めたリフトに乗り、山頂までやってきた実弥の頬を、澄んだ冷たい空気がすり抜ける。大きく吸い込んで肺を満たすと、自然とイヤなことを頭の隅に追いやることができた。周囲の木立からキラキラと落ちてきた粉雪は、実弥の白い頬の上で溶けて、消えていく。
朝の陽光が新雪に反射して、眩しいほどの銀世界。実弥の銀髪は太陽の光に透けてふわりと輝いて見えた。全身は上下が黒、わずかにシルバーのラインの入ったウェア姿で雪上に立つ。
「せっかくのシーズン、こうでなくちゃなァ」
実弥はひとりそう呟いて、長めの前髪をかきあげてゴーグルをつけると、ブーツをスノーボードに手早く装着した。ポンとひと跳ねして斜面に飛び出すと、まだ人のほとんどいない山頂の上級コースを颯爽と滑り出した。
平日の午前はゲレンデが混雑するほどのことはないが、学生グループや若いカップルなどでそこそこ賑わっている。すでに何本か滑り、山頂から急斜面の上級コースを降りてきた実弥は、途中で中級コースに合流する前にスピードを落とした。ここからはゲレンデ中腹で座り込んでいるグループや、ゆっくりと滑る初心者や子どもたちもいるので、荒々しい滑降は厳禁だ。ゆったりと弧を描いてターンをし、尻をついているボーダー数人を避けていく。
森を抜けると急に視界が広がり、ゲレンデ幅の広いエリアの中ほどにいくつもの小さな山が連なりウェーブが作られている。実弥はそこで軽くジャンプをくり返してウォーミングアップをしてから、ゲレンデの端にあるキッカーと呼ばれるジャンプ台を目指した。
スノーボードをやってみたいと思う者なら誰でも、いつかはカッコよくジャンプしたいと思うものだろう。ここはスノーボードの専用パークではないが、いくつかのキッカーが用意されていて、中・上級者も楽しめる仕様になっている。
前方に人影なし、空いているタイミングを見逃さず、実弥はスピードを上げた。波の形にキッチリと成型されたキッカーに勢いよく滑り込んだかと思うと、彼のボードは宙を舞い、空中で派手なターンをかまして着雪した。
「おおーサブロク」
「すっげぇぇぇ、メチャ飛んだぁ」
周辺にいたボーダーの若者グループから称賛の声が上がる。さすかにこのゲレンデで360度のターンを決められる者は滅多にいない。
背後の声援に片手を上げて応え、そろそろ一番下のレストハウスへと降りようとしたその時だった。
「キャァ――」
実弥の滑る斜め前方で、スノーボードの女性が声を上げた。もう一人の女性もすぐそばで大きく横倒しに転んでしまい、その横を小さな子連れの家族が4人でゆっくりと滑り降りていく。すり抜けるルートが一瞬ふさがれたその状況に、まずは倒れてる女性を早く助け起こそうと向かった実弥だったが、次の瞬間、直滑降で勢いよく突っ込んでくる人影があった。
『チッ、スピードの殺し方もわからねェようなヤツかァ』
実弥は一目で、そのボーダーの男が慣れていないことを見抜いた。あまりにもスピードがつきすぎている上に、ブレーキのモーションに入れていないから、ここまで突っ込んでくる可能性が高い。
「しゃがんでから転べェ」
と叫んでジェスチャーで促した。
そのボーダーは粉雪を盛大に巻き上げて実弥のすぐ目の前を横切り、勢い余ってゲレンデから大きくコースアウトして、新雪の中へと突っ込んでいった。
「ふぅ、とにかくこっちだな。ケガしてねェか?」
実弥は立ち上がるのに大苦戦している女性二人に手を貸して無事を確認すると、
「ゆっくり降りなァ」
とだけ言ってコースサイドへ急いだ。ゲレンデの境界を示す金属のポールと、それに張られたロープのはるか向こう、常緑樹の林と新雪が積もったそこに、スノーボードが不自然に斜めに突き出ている。
実弥は自分のボードを手早く外して新雪に突き刺すと、その現場に駆け寄った。
「おい、大丈夫かァ」
「………うむ」
「ぜんぜん大丈夫そうじゃねェな」
顔から雪に埋まり、新雪にボードを取られて倒れこんでいるそのボーダーの男、黒い長髪がウェアの首から覗いているが、声は確かに男のものだ。
動こうとしても柔らかすぎる雪は思うように体重を支えてくれず、ますます体が雪に埋まりこむ。
「下手に動くんじゃねェ待ってろ、いまボードを外してやっからァ」
「………うむ」
「無理に動くと足や膝やっちまうから」
実弥は雪に埋もれたスノーボードを掻き出してバインディングのストラップを緩め、ブーツを抜く。男の膝からリーシュも外して、ボードから解放してやるとようやく、男は自分で踏ん張って雪から顔を上げた。
「す、すまない、助かった…その、ありがとう」
その男は小さな声で礼を言った。顔にも、黒々とした前髪にもウェアにも、全身が真っ白になるほどの粉雪まみれで、まるで雪だるまみたいだ。何度か瞬きをする間にも、長い睫毛についた雪が邪魔をしている。
グローブを外して手の甲で顔を拭ったその男は、ようやくまともに顔を上げた。
「本当に、助かった。これで誰も来てくれなかったら、身動きできずに凍え死ぬところだった」
「……ハハ、大げさァ」
黒く厚い前髪、その隙間から真っすぐに見つめてくる切れ長の目に、実弥はドキリとして一瞬引き込まれた。そして小さいがしっかりと静かに話すその声に、ようやく他愛のない返事をする。実弥はゴーグルを額に上げて、もう一度その顔を真正面から見つめた。すると今までゴーグルで見えなかった大きな傷が、顔の中央を横切っているのがあらわになる。
「アンタ、胸や頭を打ったりしたか?」
「いや、それは大丈夫だ」
「足首とか手首、動かせるか?どっか痛いところは?」
実弥はまず男の容態を確認した。
こちらから差し伸べた手をグッと力強い握力で握り返してくる。その強さは意外なほどで、一瞬でこの男が体や握力を鍛えていることがわかった。彼を引っ張り上げて起こしてやりながら、体格もいいなと思う。
「痛みはない、大丈夫そうだ」
そばに落ちていたサングラスを見つけて手渡しながら、男の肩や後ろ髪についた粉雪を払ってやる。
「あんだけ派手に突っ込んでケガしなかったなら、反射神経は良さそうだな。オレの声にも反応できてたみたいだし?」
そう言って男の顔を間近にのぞき込むと、その俳優かアイドルのように整った顔が少しだけ、柔らかく緩んだような気がした。
「あぁ、指示を出してくれたおかげで、なんとか人に突っ込むのを回避できた」
ボードを抱え、途中、腹の上まで埋まるほどの新雪をかき分けて、二人はゲレンデに戻った。ようやく固い雪面に立つと案外この男も上背があって、自分と似たような目線だということがわかった。
「アンタさぁ、持ってるボードもウェアもレンタルみたいだし、まだ初心者だろ?」
いつものクセで目を見開き、ギロリと睨みをきかせてしまう。
「あぁ、そうだが…」
「さっきみたいな時のために、ちゃんとスピード殺したり、多少はターンして回避できるようになってから登ってこねェと危ねェだろテメェ見たところ、ほぼ直滑降で降りて来やがったよなァ?」
実弥が大声で怒鳴りつけたにも関わらず、この男は眉一つ動かさない無表情で、少しも反省していないように見える。
「…ダメなのか」
「他のヤツとぶつかったら大事故だろーがァ」
「…すまない」
やはり顔には反省の色が表現されていない。
「ったく、スピード出すぎるのは怖くねェの?」
「それは、別に」
ポツポツとしか返事を返さない男に実弥は猛烈にイラついた。
「本当に世話になった。ではこれで失礼する」
「おィ失礼すんなァ」
実弥はボードを着けろとジェスチャーで示した。あんまり威嚇してもマズイので、慌てて眉間のシワを緩める。
「歳、いくつ?こんな平日に来てんだから、学生か?」
「歳は21、大学3年だ」
「お、偶然、同い年だな。オレは浪人してっから2年だけどォ」
ボードのストラップを締めながら顔を見合わせる。
「ちょっとだけ、教えてやろっか?」
「いいのか?実は一人で、少し心細かったんだ」
キンと冷たい印象だった男の顔がぱぁと明るくなり、なんとも眉目秀麗な笑顔を作ったことに実弥はたじろいだ。ドクンと心臓が高鳴ったのを、はっきりと自覚する。同性である男性に微笑まれたという事実に、こんなにも動揺したのは初めてだ。つまり、
『どストライク、ってのはこういうの言うんだなァ…』
自分の反応に自分で驚いて、実弥は少しだけ視線を外した。
「ちょうどもう、あがろうと思ってたからかまわねェよ」
座ってモタモタとボードを着けた義勇に手を貸して、立ち上がったところで改めて二人は顔を見合わせた。
「あ、の…名前、は」
「実弥」
「え?」
風が強く吹きつける。
「さ・ね・み!女の名前によく間違われっけど」
「そうか、俺は義勇だ、冨岡義勇。よろしく、さねみ君」
「ラフにいこうぜ、ギユー」
「あぁ」
義勇がサングラスをかけたので、その涼しげな目元が見えなくなるのが残念だと思った。
「ゆっくりやって見せるから、オレのマネしてみな。まずは減速なァ」
実弥がゆっくりと動いて見せ、ピタリと雪上で静止する。それを一度見ただけで、義勇は正確になぞって見せた。
「次はこれなァ。膝は柔らかく、気持ち重心下げてェ」
体重移動のやり方や注意点などのポイントを説明しながら、実弥は実際にやって見せた。義勇はというと、言葉で説明されている時には無表情なので、理解しているのか否かまったく判断がつかない。しかし実弥の動き方を見ていざ真似をするとなれば、体はすんなりと動いているので、運動神経は良さそうだ。
「義勇、お前飲み込みが早いから教えがいがあるな。基本はこのくらいでいいだろう。さっきの要領で、つま先とかかとでゆっくりアクセルを踏むイメージな。急なアクセル・ブレーキすっとコケるから、かならずフラットを挟むの忘れんな」
「承知した」
「ハハ、なんだそれ。まだ固てェんだよなぁ。タメなんだからゆるくていいだろ」
義勇はどうやら生真面目な性格のようで、丁寧すぎる受け答えをする。反応を見ていれば、別に実弥と距離を置きたくてよそよそしくしているわけではなく、単に性格というか、口癖なのだろう。そんな義勇の反応を実弥はとても好ましいと思った。
「あとな、斜面に背中向けて下るとき」
突然「握手しよ」と言って実弥は斜面の上から、すぐ下にいる義勇に向かって手を伸ばした。届くか届かないかのところでスイと腕を少し上げて、意地悪のようなことをする。
「義勇、オレの手ェ触れ。そう、今のつま先に体重かかる感じと、ヘソが前にグッと出てる感覚を覚えとけ。それだけでダセェ滑り方にならねェから」
「こうか…さねみ、もう一度」
義勇の手と実弥の手が、グローブ越しに触れ合う。それだけでまた少し、距離が縮まったような気がした。
「このまま滑るぞ。少し先を行くから、顔は上げて目線はオレの頭」
「承ち…わかった」
「その調子ィ」
一番ふもとまで降りてきた実弥はゴーグルを額に上げて、後に続いてきた義勇の滑りを眺めた。時間にして約1時間。たったそれだけで義勇の動きは初心者の域をとうに超えたと思えるほど、体の使い方が上達した。体幹はしっかりしているし、エッジを使うコツをつかみ始めたようだ。スピードに対する恐怖心がないのは驚いたが、それも功を奏したと言えるだろう。
「さねみ」
義勇もサングラスを外し、少し息を弾ませながら実弥の元に追いついてきた。実弥はチラリと腕時計を確認してから、お疲れ、と声をかけて迎えた。
「お前、あっという間に上達しやがったなァ。これで初心者と初級のレッスンはすべて修了、てトコだ」
「そ、それで…合格か?」
「あぁ、合格ゥ。あんなにみっちりやったんだ、なんなら金取るとこだぜ」
実弥は笑ってそう言ったが、義勇はやはり生真面目な顔で、うんうんと頷いた。
「今日は助けてもらった上に、いろいろと教えてもらってすまない。ぜひさねみにお礼がしたい。この後、昼食とビールでもどうだろうか」
少し遠慮がちに、それでも勇気を振り絞った様子で義勇は切り出した。
「残念、今日は午後から仕事ォ」
「そうだったのか…忙しいのに、俺に時間を割かせてしまってすまなかった…本当に」
義勇の目が、じっと実弥を見つめてくる。青みがかった深い瞳の奥から、何かを強く訴えかけてくる。見る者を魅了して離さない何かが、義勇の中にあるような気がする。
『いやいや、ゲレンデマジックとかいうやつだ、何割増しに見えちまうっていうアレだなたぶん』
実弥は冷静になろうと頭を軽くブンと振った。名残惜しくないと言えばウソになる。こんなゲレンデでの出会いなんてひと時の夢。次にいつ会えるかなんて絶望的な確率は、考えないほうがマシだ。そう思って、じゃあな、と背を向けようとしたのだが。
ふと思い立って実弥は義勇のほうへ向き直った。
「お前さ、今日帰る?」
「いや、近くの別荘に滞在してるんだ。もしよかったら、また会えないか。お礼をしなくては俺の気が済まない」
「あっソォ。なら時間あるんだな。義勇がもし、もっとスノボが上手くなりたいんなら、午後からでもスクールに申し込んでみな」
「スクール?」
「そ、あっちの売店横に受付カウンターあるから。ただし、お前の場合は覚え方が普通じゃねェから、高くつくけど個人レッスンがいいと思うぜ」
そう言うと実弥は、胸ポケットから一枚のカードを取り出して義勇に手渡した。
「もし受ける気になったらこれ見せて、オレからの紹介って言えよ。そしたらオレにバックがあるからさ」
「さねみは、ここの関係者なのか?」
「冬季限定のバイトだ」
「じゃあ明日も、ここに来るから。会えないか?」
「どーだろうな、じゃあなァ」
今度こそ、手をヒラリと振って実弥はその場を後にした。向かうのは従業員専用のロッジだ。
義勇はとぼとぼと、重い足取りでレストハウスへと引き上げた。このゲレンデに来た時には一人だった。今も当然、一人なのだが。義勇は先ほどまでの実弥との濃密な時間を思い出して胸がジンと熱くなるのを感じていた。そしてこんなにも独りが寂しいと、そんな自分の気持ちに気づいてしまったことがやるせない。
まぶたの裏側に焼き付けたさねみのほどけるような笑顔を、忘れまいと思う。そして何としても、もう一度会う約束を取り付けなくては。そう決意して、また落胆する。電話番号どころか何の連絡先も聞き出せないまま別れてしまった。自分の不甲斐なさが身に染みる。交友関係にはとにかく不器用で、いざという時に何をしたらいいのか、義勇はまったくもって経験値が低かった。
レストランの隅、壁際のカウンター席で一人オムライスを食べながら、義勇はため息をついた。
「これが唯一の手掛かりか」
先ほどさねみに手渡されたカードを取り出してみると、「アカデミー受講料 紹介割引30%オフ」と書かれているカードの裏に、赤いハンコが押してある。
「ふしかわ…三文字だがなんて読むんだ?」
とにかく午後のスノーボードスクールに申し込んでみようと決めた。いくらかでも彼へのバックがあるというなら、少しでも協力しなくては。それに、先ほど教えてもらった基本の技術を、さらに高めてみたいという欲も出てきたことだし。
「はい、こちらスノーボードのスクール受付カウンターです。スキーの方はこちらです」
「WEB予約がお済の方は、予約画面のバーコードご用意ください」
昼食時ということもあり、受付カウンターも混んでいる。もしかしなくても、完全に出遅れてしまったのではないだろうか。義勇はそんな焦りを感じながら列に並んだ。
「あの、午後のスクールに」
「学生さんですか?学生証で5%割引になります。グループレッスンの空きは二時から…」
「これを。さねみさんからこれをもらって、名前を出すように言われたんだが」
義勇がカードをカウンターに出すと、裏を見たスタッフの表情が明らかに変わるのが分かった。
「個人レッスンのお申込みでしたか、失礼しました。ではこちらの受講料から30%オフとさせていただきます」
「…その、さねみさんはスタッフだと聞いた。どちらの担当か教えてもらえないか」
「申し訳ありません、スタッフの担当部署などはお客様にお教えできませんが。ご予約は午後1時30分からの個人レッスンでよろしいですか?」
流れるようなスタッフの案内と、後ろに並んだ人の列に圧倒されて、義勇は何の情報も得られぬままに受講費を払い、ゼッケンと注意書きが書かれた紙を受け取った。
『スキー&スノーボードアカデミー』と書かれた看板が、ゲレンデの入り口近くのロッジに掲げられている。指定された集合時間にロッジ前に現れた義勇は、だいぶ古いデザインのレンタルウェアに真っ白なゼッケンをつけて、まるで林間学校の中学生のような恰好で並んでいた。
グループレッスンを受けに来た他の学生や子どもたちも次第に集まってくる中で、義勇だけがなんとも浮かない顔をしていた。
「何の手掛かりも…得られないとは不甲斐ない…」
定刻になり、黒地のウェアに鮮やかなライトグリーンのベストを着たインストラクターたちが続々とロッジから出てきて、レベル別にグループを率いて点呼をし始めた。義勇が頭をたれて足元を見つめていると
「スノーボードで個人レッスンをお申込みの、冨岡さん?」
聞き覚えのある声にパッと顔を上げると、そこには透けるような銀髪に額に傷のある男が、ライトグリーンのベスト姿で立っていた。
「さねみ…」
「驚いたかァ?本日担当させていただきます、インストラクターの不死川です。冨岡さんはすでに初級のレッスンまで終えているってことで、午後は中級コースから行ってみますか」
「固い…てお前に返してやろう」
「しょーがねェだろォ、こっちは仕事ォ…」
「どおりで、あんなに教え方が上手いわけだな。まさか本職だとは思わなかった…」
「本業は学生、こっちがバイトなのは本当だって」
お互いに顔を見合わせて、思わず笑顔をこぼす。ほんの数秒前までどん底だった義勇の表情があからさまに変化したのを、実弥のほうは見逃さなかった。
「あの、今晩…」
「はィ冨岡さん、準備運動が済んだらリフト行きますー」
「……承知した」
『あ・と・に・し・ろ』
大きな三白眼を極限にまで釣り上げた実弥に口パクでそう静止され、義勇ははやる気持ちを押しとどめるのだった。