告白 冷たく澄んだ空気が頬に刺さる。目を開ければ、カーテンの隙間から弱々しく青白い陽の光が覗いていた。温い毛布を引き剥がす作業は誰だって苦痛だろうけど、俺も例に漏れず苦手だった。洗面台で顔を洗って、制服に着替える。この制服を着るのもあと一ヶ月だ。
リビングに向かうと、父が既にテレビでニュースを流しながら新聞を読んでいた。
「おはよう」
キッチンに向かい、既に沸かしてあるお湯で珈琲を淹れる。温かい湯気と一緒に珈琲の香りが鼻を刺激して、少しだけ虚ろだった目が冴える。何となく流れているニュースを流し見しながら、登校時間を待った。
「おはよう、羽風先輩。」
学校に着くと、背後から既に聞き馴染んだ声がした。男だったら、誰でも一緒だけど。この声だけは、俺にとって特別なものに変わっていた。
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