Mellow loneliness 8 ◇
「お願い……。
今夜はテレビじゃなくて、僕を見て」
零次にそう、迫るように懇願したケンジの睫毛が震えていた。
零次をソファの背もたれに留めるのは、本気を出せばすぐにでもほどけてしまいそうな拘束だ。
もどかしさを訴えて零次と対峙する瞳の中に、見逃すことのできない劣情の火が灯っている。どうかその手で触れて欲しい……と、まっ赤な火が声にならない声でゆらゆらと揺らめいているように見えた。
当然、零次の身体にも欲情の火は灯っている。無意識とはいえ散々煽られたせいで、火と呼ぶよりも轟々と燃え盛る炎の熱量に近い。
男性的な小さな臀部をしたケンジだが、大腿部に密着する肉感はしっかりと柔らかい。おまけに心地よい熱まで発するものだから、挑発的な危うい刺激だけで気が遠くなってしまいそうだ。
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