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    飴宿り

    @AMEame_94

    ロナドラ
    ぽいぴくにフォロワー限でぽいぽいしてるのはちょっとづつ書き足したり大量に直す可能性があるからなので、そのうち支部に上がりますので!

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    飴宿り

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    ソファと棺桶6 展示物
    アイドルパロ

    ##ロナドラ単発

    抱かれたい男ナンバーワンに愛されています「なんで俺なんだ!」


     とあるアイドル事務所の会議室で、一人の男が響き渡るほどの大声を上げて咆哮した。
    「うっさ」
     その隣で、大声に反応してバサリと塵になる男が一人。しかし男はすぐにナスナスと音を立てて蘇った。
    「ロナルドさん、名誉な事じゃないですか」
    「で、でも…めちゃくちゃ恥ずかしいんですけど…」
    「ちょうどいいだろう、君はどちらかというとセクシー路線なんだから。しっかし、ゴリラがだかいちに輝くとはねぇ、愉快なこともあるもんだ」
    「殺す」
     ドム、と腰の入った拳が振るわれたことにより、男は再度塵と化したのだった。



     オータム芸能事務所からアイドルユニットである「DINT」がデビューしたのは、今から1年ほど前の事だった。
     人間と吸血鬼という異色の組み合わせはデビュー前からかなりの話題を呼んでいた。デビュー日まで一切情報が出ず、声だけの自己紹介動画が動画サイトにアップされただけ。それが逆に人々の関心を寄せた。
     そして新横浜の駅前で行われたデビューイベントには多くの人が詰めかけ、一時警察まで動員される騒ぎとなったのだった。
     イベント会場へ現れた二人組のアイドル。
     人間の名前はロナルド。イメージカラーは赤で、銀色の髪と透き通る真夏の空を思わせる青い瞳。男らしいキリっとしたタイプの正統派イケメンだった。その恐ろしく整った顔立ちに、多くの女性が一瞬で恋に落ちてしまった。
     吸血鬼の名前はドラルク。イメージカラーは紫で、病的なまでに痩せた体躯と青白い肌。三白眼気味の瞳は一見すると目つきが悪く感じるが、本人がころころと表情を変える事などからあまり悪い印象は覚えない。美しい所作、どこまでも紳士的なその姿。笑うと見える鋭い牙もセクシーに感じた。
     すべてが対照的な二人。二人がこうしてコンビを組むことになったのには紆余曲折様々な事があったが、ファンからしたら関係のないことだ。
     DINTは瞬く間に人気アイドルへと上り詰めた。デビューシングルは一位を獲得し、様々な音楽番組に引っ張りだことなった。
     歌唱力はまあ、二人ともそれほど高くはないけれど、低く甘いロナルドの声と透き通る色気のあるドラルクの声は相性が抜群で、半年後に出したセカンドシングルも一位を獲得したのだった。
     その頃からバラエティにも出るようになり、かなりのお人よしでだまされやすいし弄ると良い反応が返ってくるロナルドと、ロナルドの事をからかうことに人生かけているような態度をとるドラルクの姿に、今までこうして人柄を見ることができていなかったファンは更にハマっていった。
     デビューして一年が経とうという現在、二人は名実共に人気アイドルの仲間入りを果たしたのだった。



     毎年この時期にとある女性誌で様々なランキングを発表する特集が組まれるのだが、その特集号が今週末発売となり、関係者よりオータム芸能事務所にも見本が送られてきた。
     いくつかのランキングにDINTの二人がランクインしているのだが、ひときわ目立つ賞にロナルドがランクインを果たしたのだった。

    「抱かれたい男ランキング」

     文字通りのランキングだ。
     女性読者が98%を占めるこの手の女性雑誌にはありがちなちょっとエッチな内容だ。ここ数年は、ワイルド系を売りにしていた俳優がランクインしていたのだが、そこにデビュー1年のアイドルが食い込むのは大番狂わせという言葉がふさわしかった。
     しかも、第一位。快挙である。
    「なぜ若造がランクインしてこの私がランクインしていないのだ!」
    「いや、テメェに抱かれてぇなんて思う女いないだろ。抱き着いただけで砂になるし、少し動いただけで砂になるし」
    「失礼な。この私もかつては引く手あまただったのだよ!」
    「へー」
     棒読みで耳をほじるロナルドに、ドラルクは机越しに拳をふるう。反作用で手先を塵にする残念な結果になったのだが。
    「お二人ともオフなのに呼び出して申し訳ありませんでした。そちらはお二人に差し上げますので」
    「いえ、わざわざありがとうございます」
     二人のマネージャーであるフクマはそれでは、と愛用のバトルアックスを片手に会議室を出ていく。
     二人きりなった部屋。ドラルクは女性誌の該当ページをまじまじと見降ろした。
    「ふーむ。アンケートの回答も載っているな」
     でかでかと乗せられたロナルドの写真。ギラギラとした目でこちらをまっすぐ見据え、自らの胸元をぐい、と掴んで確かに煽情的だ。衣装からして、二か月ほど前の歌番組中に撮影された写真だろう。
    「なになに?『腰振りテクすごそう』だって」
    「声に出して読むな!」
     顔を真っ赤にしてわー!と叫ぶロナルドを無視して、ドラルクはニヤニヤと笑う。
    「この女性は君がクソザコ腰振りだと知ったらどう思うだろうねぇ?」
    「うるせー!」
    「あとはー…なになに?『ちょっと言葉責めとかしながらがっつかれたい!』だって。言葉責め!君が?
    あっはっは!」
     ドラルクは爆笑しすぎて、一度塵になってしまった。その内容には、ロナルドも思い当たる節があったのだろう、ぐぬぬと拳を握りしめ、悔しそうにしていた。
    「ほら、気持ちいいだろ?その…このあたりがなんか凄い、エッチだし。この間そんな風にわやわやしたことしか言えてなかった若造に、言葉責めだなんて!きっとこの回答をした女性も真実を知ったらそれこそ噴飯ものだよ」
    「う、うう~」
     ロナルドは顔を真っ赤にしながらひたすらにドラルクを睨みつけている。しかしそんなに睨まれようとも、ドラルクには全く効果がないようだ。
    「ふむふむ。『純粋にちんちんおっきそう』『奥まで届いちゃいそう』『出す量めちゃくちゃ多そう』この辺りは、まさに、想像通りというか」
    「そ、そんな事まで書いてあんのか!?」
     匿名での回答だから、みんな赤裸々な感想を述べている。まさか自分が不特定多数の女性からそんな風に性的な目で見られているとは考えてもいなかったらロナルドは、愕然としてあうあうと口を開け閉めしてしまった。
     ドラルクは、にやりと笑って指先でコンコンと雑誌をたたく。
    「君はセクシーな振り付けも多いし、やはり何と言っても顔が良いからね!男性が煽情的な服装をした女性で劣情を抱くように、女性もセクシーな男性に対しては劣情を抱くものだ。まあ、もっとも…」
     ぱさりと雑誌を机の上に投げ捨てたドラルクは、椅子から立ち上がると、ちょうど机を挟んで向かいに座っていたロナルドの方へと歩み寄る。そして、その膝の上へ座り込むと、ロナルドの頬をその細い指先で撫で上げた。
    「……何万もの君のファンが抱かれたいと思う男は、この私しか抱かないのだけれどね。後にも、先にも」
    「ウ、オァ」
     そう、ロナルドとドラルクは密かな恋人同士だった。文字通り、ロナルドの初めてを奪い取り、それからはそのまっとうだったはずの性癖をドンドンとゆがめ続けている。
     たわわなおっぱいが好きだったはずなのに、あばらが浮かぶほどの胸元に欲情させ、青白い肌にも、牙にも、おおよそドラルクしか持っていないものを彼の性癖に塗り替えていく。
     ああ、でも、もとよりエッチなお姉さんによしよしされたいという性癖は、今も継続中だろうけれど。
     200歳近く年下の男の子を、日々、ドラルクは慈しみ可愛がり自分無しでは生きられないようにとしているのだから。
     ロナルドの手が、ドラルクの腰に回る。まるで日光かと錯覚するほどに熱い視線を送られて、ドラルクはふ、とささやかな微笑みをこぼす。可愛い年下の恋人。その唇へ吸い寄せられるかのように自らのものを重ねたのだった。
     触れるだけのキスから、次第に深くなり、静かな会議室には水音が響く。
     名残惜しそうに離れた唇の間には、つう、と粘液の糸が伝うほどだった。
    「…さて、ロナルド君。今日は君も私もオフだね」
    「おう」
    「そんでもって、明日は入りが遅い」
    「…おう」
    「ならば、早急に我々の家に帰り、これをどうにかするというのはどうだろう?」
     そうしてドラルクはいたずら気な表情を浮かべて、先ほどから尻に感じるふくらみを刺激するように、腰を前後にゆらゆらと揺らめかせた。
    「あっあっ」
    「さあ、どうだい?」
    「っ、んの野郎、…家に帰ったら、覚悟しろよ」
    「わぁ怖い怖い。抱かれたい男一位の実力、楽しみにしていないとな」
     真っ赤な顔で睨まれても可愛いだけだから、そのしわの寄った眉間に軽いキスを落としてやった。

     ドラルクは早急に家に向かうロナルドの背中を見つめながら、これから大きくて奥まで届いて量も多い彼を味わえるのが楽しみで仕方なかった。
     全国のロナルド君ファンの諸君、すまないね。
     君達が抱かれたいとこいねがっている男は、私しか抱かないのだよ。
     そんな優越感と独占欲を満たされながら、ご機嫌に鼻歌を歌いながら、ドラルクも家路を急いだのだった。

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