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    yomotaka5

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    ひと段落して消防士になったアロとルクと近所の子供 1

    遡らずに一気に読みたいとのことでこちらにも投函
    せっかくだから甘ったるいおまけも添えて

    エリントンのエレメンタリースクール生、ジャックは悩んでいた。
    学校の課題にて「目標にしたい働く大人」が教師から提示されていたが、いかんせん父は海外出張。
    来週までに仕上げてこい。父の帰宅を待っていては1日で取材と作文を書き込むと言う苦行を強いられることになるうえ、いまいち将来像としてピンとこない。
    むしろなぜ目標が既に働くことで大人なんだろう。とちょっと思ったりしながら、ジャックは帰路の真っ最中だった。
    そのため、ちょうどいい人物を探していた時だった。
    刈り上げの頭に、ちょっと寝癖がぴょこりとしているあの頭が、ちょっと遠くに見えた。
    「あっ。ルークじゃん。」
    「ああ、ジャック。学校帰り?」
    「そんなとこ。ルークは今日はコート着てないから、お休み?」
    「まぁね。」
    帰り道、近所の顔馴染みの、警察官の「ルーク」に目が止まった。
    ルークは国際警察にも関わらず、この近辺のひったくりやら盗難など、地域巡査かと言わんばかりの世話焼きをする青年だった。
    昔同じような国家警察の父親がいて、それに憧れて警察官になった。みたいな話もしてくれたことがある。
    いかんせん、大人なのにどこか自分に近しい彼とは、公園の移動販売のドーナツ屋の前でよく出会うため、何度か話したことがあった。
    ジャックも彼もチョコドーナツが好き同士ウマがあうのだ。ルークの5倍がけはちょっといまいちなのだが。
    「困っている人を見たら放って置けないのがヒーローだから」
    と、いつも口癖のルーク。これは使えるぞ。と子供心にジャックは思った。
    「ねぇルーク、ちょっと僕こまってるんだけどさ。」
    「うん。なんだい?」
    抜けたお兄さんだなぁと思うことはあったが、一応国家警察。手近な大人。目標としても申し分なく、そして話しやすいし話してくれそうだ。
    現に今も、自分と話すために少し屈んでくれている。
    よし。ルークに話を聞いてみることにしょう。
    話をするとルークは「いいよ」とうなずいてくれた。公園のベンチでドーナツを二人でかじりながら、話をすることにした。
    どうやって国家警察になったとか、勉強は大変かとか、いろいろと聞かせてもらった。

    「ルークは今一人で住んでいるの?」
    「いや、最近パートナーがこっちに住むようになったから二人だよ。」
    「友達?ルームシェア?」
    「いや、一応パートナーだよ。」
    「ええ?!ルークにそんな相手がいたの?」
    「そ、そんなにびっくりすることかな…」
    朴念仁で鈍そうでどことなく自分と同類項だと思っていたお兄さんに、まさか。と思うとちょっと不思議な気分になった。
    一緒にニンジャジャンの話したり、チョコドーナツ食べたり、友達だと思っていたのに。のに。
    そう言う気持ちをオレンジジュースをすすりながら、ジャックはおさえた。
    「うーん、いちおうその、ずっと外国にいて、前はたまにくる程度で何にもなかったんだけど、
     僕の財布じゃ肉が詫びしいとかいって、こっちで働いてみたいって言ってきたから、エリントンでパートナー申請はしているんだ。」
    「遠距離恋愛ってやつだぁ」
    「まぁそういうことにしておいてくれよ」
    「へぇ。どんな人なの」
    「僕より背が高くて、強い人だよ」
    「うわー、尻に敷かれてそう。つか国家警察って給料安いの?」
    「うーんいろんな意味でそうだよって言えないしそうじゃないよとも言えない…」
    「戦ったらルーク負ける?」
    「負けるね。」
    「おっかね〜。」
    どんな人なんだろう。ルークもちょっと頼りないけどバスケで困りすぎない程度に身長もあるし。
    「いやぁ、ハンバーグ10kg食べる人だよ。勝てないって。」
    「….それは勝てないね。」
    「あ、いけない。今日僕がお休みだからハンバーグ作って待ってるって約束してたんだ。ありがとう思い出せたよ。あやうく怒られて追加で詫びステーキも作るところだった。じゃあね。メモは大丈夫?あとでメールとかで送ろうか?」
    「メモバッチリだから平気。はやく作りに行きなよ。ハンバーグ」
    「ありがとう。じゃあね。」

    家に帰って課題をまとめる。ルークが如何せんいっぱい話してくれたおかげで、ルークが言ってくれたことだけで8割ほど紙が埋まった。ちょっと感想をつければもう完成だ。
    テレビをつけると、地域のニュース。近所で火事の速報が流れている。
    さっきルークと別れて、ルークが帰って行った方向だ。
    ちょっと、嫌な予感がしたと思ったら、カバンからナツメグが転がって出てきた。
    こんなものに見覚えはない。これドーナツを渡してくれた時に入っちゃったやつで多分ルークのものだ。
    ルークの家はわかる。ダッシュで行って速攻で帰ってくれば20分かな。よし、できたついでにルークに見てもらおう。ハンバーグもう焼けちゃったかな。
    途中に火事の家もあるっぽいし、ちょっと見に行こう。
    ジャックはそう思い、家を後にした。外に出て大通りに出ると、煙が見えた。

    途中の家事は、思ったよりも大きかった。野次馬もいっぱいだが、もう警察も消防車もきている。
    女の子の大きな泣き声がする。この家に住んでいる女の子だろう。
    怖かったかもしれないが、命あってこそだ。助かってよかったな。
    そう思って家の前を通り過ぎようとしたところだった。
    「わたしを助けてくれたおまわりさんが中にまだいるの」

    嫌な予感がした。
    彼ならありうる。お人好しで、優しくて、つまらない宿題にも答えてくれる、そんな彼、ルークなら。
    「隙間を見つけてここなら通れるからって。」
    そう、繰り返し泣きつづける彼女を、母親がぎゅっと抱きしめている。
    どうかルークじゃありませんように。という気持ちが半分。
    いや絶対ルークだろうという気持ちも半分だった。
    消防士のお兄さんが「大丈夫、大丈夫だから」と女の子に呼びかける。
    「今うちの最強大型新人行ったし。」

    そういうや否や。二階の窓から、大きな影がずるりと現れた。
    そりゃあそうだ、大人の男の人二人だもの。
    大きな大きな消防士の男が、ルークをおんぶしていた。
    炎の後ろで2階なのに、男は人間離れした足取りで飛び降り、あろうことかルークを背負ったまま着地した。
    映画のワンシーンみたいで。その男はワイルドパンサーみたいにカッコ良かったんだけど。
    ルークのけろりとした顔も印象的だった。
    その時、もしかして。もしかして。と思った。
    「ちょっと。ちゃんとハシゴ車とか使って!....ウィリアムさん苦笑いしてるわよ。ごめんなさいね。ウィリアムさん」
    仲間の女性の消防士さんが怒り出す。
    「いえ、こういうこと、過去に何回もありましたから…」
    苦笑いしつつも、ルークは無事そうだ。
    落ち着いた顔に、「もしかして」の期待はどんどん上がっていく。
    「アーロン。僕も一応警察官だし、これくらい自力で出れるから、」
    「足捻って子供逃して閉じ込められたノロマなドギーが何言ってんだよ。」
    どうやら、ルークと消防士の男は知り合いみたいだ。
    「あとちょっとで鎮火できそうだね」
    「そうだな。オラ。うるせぇから救急車で見てもらえ」
    「うるせぇじゃないだろ。一応見てもらうよ」
    「お前は休みの日も人助けで火事に首なんかつっこまねーで家でハンバーグでも焼いてろ。終わったら帰る。」
    「はーー、わかったよ。待ってるから」
    茫然と立ちつくしたジャックは、救急車に入っていくルークと、消防士の顔が一瞬だけ重なるのを見逃さなかった。
    あ、なんだ。ルークのパートナーってこの人か。
    超かっこいいじゃん。そう思った。
    そう思って茫然と立っていたら、救急車から出てきたルークに見つけられた。
    「やあ、ジャック」
    「ルーク、大丈夫?」
    「平気だよ。一応警察官だからね。ちょっとだけ煙すってひねっただで済んだよ。」
    「よかった。僕の鞄に、多分これルークのでしょ。」
    そうだ。そういえばと用事を思い出して渡した。
    「ああ、よかった。入れ忘れてた。ちょうど良かったよ」
    「ねえルーク」
    「なんだい」
    「ルークのパートナーって、あの消防士のお兄さんでしょ」
    「あ、わかった?」
    「わかった!」
    「ははは、元気に答えるなぁ…」
    「今度、いや、明日か明後日、できれば来週の水曜までがいいけど…いや、ううん、いつでもいいから、取材させて」
    「ジャックだったら大丈夫かもしれないけど、一応聞いてみるね」
    「ありがとう。あと、ファンになりました。って言っておいて。」
    「OK、伝えておくよ。」
    「あと、チューすんのみてたよ!帰ったらいっぱいチューしてあげてねって言っておいて!バイバイ!」
    そう言うと、ジャックはくるりととんぼ返りした。
    遅くなったことを母親に咎められたが、「憧れの大人が見つかった」ことにとても気分が良かった。
    さっきはルークに話してもらってメモを取ったが、聞きたいことがいっぱいだ。

    おまけ
    アーロンが帰ってきた後、お腹いっぱいになるまで焼き立てのハンバーグを焼いてあげて、めいいっぱい食べる姿を見ていると、作りがいがあったなぁと思う。
    がっつり働き、めいいっぱい栄養をとってきたアーロンとのんびりと抱き合って、たっぷり愛し合って、今隣の彼は幸せそうにすうすうと寝息を立てている。
    こっちにきて働きたいと言い出した時、
    「僕と同じ警察なんてどうだ?そうして一緒に特命な係を受けるのは?!」といったら「その相棒はお断りだ!俺がどっかに飛ばされる!」とか、訳のわからないことを言っていたけど…。
    僕が今いる地域に、この家に帰ってくるために、この地域の消防士の仕事を選んでくれたんだよな。まぁ、フィジカルの点では申し分ないし、人命も火も盗める天職だとは思うけれど。
    ご飯を食べながら、同僚のジェニファーさんに小言を言われたとか、マックにまた合コンに誘われたとか、そんな他愛もないことを聞くのが楽しい。
    やや乱暴な部分はあるが、アーロンはなんだかんだ仲間を大切にし、命を守る。そんなスタンスは変わらない。
    今まで彼の人生の登場人物は「生きる」「死ぬ」だったけれど、「こいつ嫌い」「あいつ気に入らない」って、文句ばかりではあるけれど、表情が増えてきたように思える。
    思えばそんなことを言い出したのを聞いたのはチェズレイ に対してが初めてだったようにも思える。
    たまにうちに来ていた時は、性生活に関しても、久々の食事の飢えを埋めるように、寂しさにすがるように、貪るように愛されてくたくたになって、それが幸せな感覚があったけれど。
    今じゃすっかり居着いて、安定供給も得られると、最近はちゃんとお互いのペースで楽しめるようになってきて、たまに僕が主導権を握れるようにもなってきた。
    まぁ、歳を取ったり、慣れてきたのもあるのかもしれないが。気持ちいい、幸せと意識をはっきりと持った状態でキスをしたり、気持ち良さを感じたり、安心できる元で肌を重ねられる。
    今までの環境で育つ暇もなかった部分が、日に日にアーロンに芽吹いている気がする。
    「ちょっと、目のクマ、薄くなったかな」
    アーロンのまぶたにチュ、とキスを落とす。思えば、彼がこんなふうに寝るようになったのも、大きな進歩の1つかもしれない。
    いっぱい食べて、よく寝て。しっかり愛し愛されて。
    「大きくなれよ。相棒。もう十分おっきくなったけどさ」
    相棒の成長に、これからも期待したい。
    「年下の彼氏は育てるのが楽しい」って。こういうことだったりするのかもしれない。

    おまけ2
    設定(アロの扱い)
    EDから数年後 の場合
    アメリカではボランティアの消防士もいる模様。お金はある人で〜ってことで怪盗業でそこそこ懐はあるので、エリントンの炎盗みをしている。
    もしくは、ルクの財布が心許ない と 言う名の一緒に堂々と住みたい流れから、エリントンで一緒に住むと同時に消防士として勤務を始める。

    パロの場合
    多分、EPに出てくる他のゲリラだった子供たちの皆さんと一緒に消防士していそう。
    アラナさんは孤児院の姉。現在保育士
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    yomotaka5

    DOODLEひと段落して消防士になったアロとルクと近所の子供 1

    遡らずに一気に読みたいとのことでこちらにも投函
    せっかくだから甘ったるいおまけも添えて
    エリントンのエレメンタリースクール生、ジャックは悩んでいた。
    学校の課題にて「目標にしたい働く大人」が教師から提示されていたが、いかんせん父は海外出張。
    来週までに仕上げてこい。父の帰宅を待っていては1日で取材と作文を書き込むと言う苦行を強いられることになるうえ、いまいち将来像としてピンとこない。
    むしろなぜ目標が既に働くことで大人なんだろう。とちょっと思ったりしながら、ジャックは帰路の真っ最中だった。
    そのため、ちょうどいい人物を探していた時だった。
    刈り上げの頭に、ちょっと寝癖がぴょこりとしているあの頭が、ちょっと遠くに見えた。
    「あっ。ルークじゃん。」
    「ああ、ジャック。学校帰り?」
    「そんなとこ。ルークは今日はコート着てないから、お休み?」
    「まぁね。」
    帰り道、近所の顔馴染みの、警察官の「ルーク」に目が止まった。
    ルークは国際警察にも関わらず、この近辺のひったくりやら盗難など、地域巡査かと言わんばかりの世話焼きをする青年だった。
    昔同じような国家警察の父親がいて、それに憧れて警察官になった。みたいな話もしてくれたことがある。
    いかんせん、大人なのにどこか自分に近しい彼とは、公 4894

    yomotaka5

    DOODLE理工学部応用物理学科助教アロとバイトの法学部2年ルクの高度マニアックパロです
    だいたいモクマ さんくらいと20歳くらいでほんのりどうぞ
    アーロン・バーンズ助教
    専門 応用物理、医療工学

    学内パンフレットの彼の紹介文。冒頭の時点で、僕はそっとパンフレットのページを変えた。
    自分が彼の授業を取る可能性が限りなく低いため、今回採用されたことが分かった気がした。
    ルークはエリントン大学の2年。法学部法律学科。バスケットボールサークル「マイマイム」に所属している、ごく健康的な大学生である。
    とはいっても、ハイスクールの際に父親を亡くし、父の残した遺産と奨学金、それから持ち前の努力と粘り強さでエリントン大学法学部の切符を勝ち取り、なんとかまぁ大学生をしている。
    後期は犯罪心理の成績は割とよかった。レポートはA+で、担当の先生より添削と優秀の旨とお礼メールが届いた。しかし、簿記会計がギリギリC。やばかったなぁ。家のお金の話とか、ためにはなったけど。
    将来は父親と同じ国家警察の職につくことも踏まえ、その勉強も始めていた。父が残してくれた遺産や持ち家等で学費はなんとかなるが、遊ぶ金等でこれらを使うのには申し訳ない。
    アルバイト等については、1年時にオープンキャンパスのスタッフ。年度末に友達と引っ越しの日雇いをやったり、小学生にバスケッ 3841

    recommended works

    fuki_yagen

    PROGRESS7/30の新刊の冒頭です。前に準備号として出した部分だけなのでイベント前にはまた別にサンプルが出せたらいいなと思うけどわかんない…時間があるかによる…。
    取り敢えず応援してくれるとうれしいです。
    つるみか準備号だった部分 とんとんと床暖房の張り巡らされた温かな階段を素足で踏んで降りてくると、のんびりとした鼻歌が聞こえた。いい匂いが漂う、というほどではないが、玉ねぎやスパイスの香りがする。
     鶴丸は階段を降りきり、リビングと一続きになった対面式キッチンをひょいを覗いた。ボウルの中に手を入れて、恋刀が何かを捏ねている。
    「何作ってるんだい? 肉種?」
    「ハンバーグだぞ。大侵寇のあとしばらく出陣も止められて暇だっただろう。あのとき燭台切にな、教えてもらった」
    「きみ、和食ならいくつかレパートリーがあるだろう。わざわざ洋食を? そんなに好んでいたか?」
    「美味いものならなんでも好きだ。それにな、」
     三日月は調理用の使い捨て手袋をぴちりと嵌めた手をテレビドラマで見た執刀医のように示してなんだか得意げな顔をした。さらさらと落ちてくる長い横髪は、乱にもらったという可愛らしい髪留めで止めてある。淡い水色のリボンの形をした、きっと乱とお揃いなのだろうな、と察せられる代物だ。
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