二月のある日 少しだけ周りの人々の空気がどこか浮き足立っているような、二月。
大学の構内で親友の姿を見つけてエリヒはゼノン、と彼の名前を呼んで駆け寄った。それからゼノンが持っているものに気付いて、エリヒはあ、と声をあげた。
「チョコレートもらったんだ」
「ああ」
「俺も知ってる人?」
「いや…俺も知らなかった。多分同学年だとは思うんだが」
ゼノンの手にはピンクを基調にした可愛らしいラッピングの箱が収まっていた。ゼノンにチョコレートをあげたのはどんな子だったんだろう。見てみたかったし話してみたかった。友達になれそうな気がする。
「なんだよそんなに見つめて。お前もしかしてゼロか?」
「いや、たくさん貰っちゃって」
「…………自慢か」
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