桜「おぬしは行かんのか。みんな外で楽しくやっておるぞ」
「これ置いて行けます?」
「なかなか絶景だな」
「誰かさんがあとしまつを全部押し付けていったせいですね」
「一人で抱え込んだのは自分だろう。人のせいにするでない」
「……あなたは行かないんですか、外」
「行くよ。行くとも。桜は今日が満開だからな。まさかここまで立派な木があるとは思わなかった。あれの下で飲む酒は絶品だろうな」
「そんなにすごいんですか、桜」
「おお、興味が出たか?」
「興味というか、気になっただけです。そこらじゅうを放浪しているあなたがそこまで言うなら、すごいのかもと」
「いちいち言い方に棘があるのう……」
「わざとです」
「会わない間に性格悪くなったのでは?」
「誰のせいでしょうね」
「ほう、わしのせいだと。そこまでおぬしの人生に関われるとは、光栄の至」
「あなたの方が性格悪いでしょう、どう考えても。と、いうか」
「うん?」
「さっさと誘ってくれませんか?」
「……見に行くか? 桜」
「喜んで」