一触即発のキス「――どうして貴様がここにいるんだ?」
開口一番、物騒な台詞。ようやく帰ってきたかと思えばそれかね。突き刺さる冷ややかな瞳を笑顔で受け流した。
「だあってぇ、お呼ばれしたんだもん」
「僕が呼んだのはお前じゃなくてラムさんだ!」
「え~? でも招待状ここにあるよぉ?」
面堂の目の前で封筒をちらつかせると、面白いようにその目に怒りが宿った。手にしていた漫画を閉じて、小脇に抱える。臨戦態勢。
「ええい、大方お前が奪い取ったんだろう!」
「いやいや、俺の机に置いてあったし。面堂くんったら大胆ね!」
「違う違ぁう! 甘えた声を出すんじゃない、気色悪い!」
降りかかってくる刀をひょいとよけ、笑えるほどふかふかのソファで寝返りを繰り返す。面堂の攻撃をかわしながら、テーブルに置かれたクッキーを器用に頬張ると、ドアのあたりで面堂の部下たちが拍手を寄越した。あたるに言わせればあほの集まりだが、こうして手放しに褒められると悪い気はしない。声援に応えながら、ひょいひょいと攻撃をかわす。
1970