花開くまであと幾年 ……ここは、いったいどこだろう。いつかどこかで見たような、しかしシャドーハウスにはあるわけのない景色。暖かな日差しに小鳥が歌い、そよ風が額を撫で、通り抜けていく。見渡す限りに咲き誇る赤や黄色の花々は色鮮やかで、ちょうど花のさかりのようだ。
「わあ、きれいなお花でいっぱいですね、パトリック様!」
エミリコがくるくると小躍りしながら、花畑を駆け回っている。
「花は逃げていかないんだから、もう少しゆっくり見てもいいんじゃないか?」
「あ、確かにそうですね。ごめんなさい、少しはしゃぎすぎちゃいました」
照れ笑いを浮かべるエミリコは、ひだまりがヒトの形をしているようにきらきらとしていた。
「わあっ、あちらには、別のお花が咲いてますね」
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