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    honotumuri37111

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    大捏造しかないパトエミ
    おでこでお熱を測ってほしかったやつ

    #パトエミ
    patoemi

    手を伸ばせば届く距離 自分の心に気づいたあの時から、パトリックは自分に誓いを立てた。「この想いは絶対に表には出さない」と。けれど、想い人エミリコは手の届かない距離にいるわけじゃない。同じ棟の中で、等しい時を過ごしている。廊下でばったり会うなんてことも、それこそ日常茶飯事で……。
    「おはようございます、パトリック様!」
     色とりどりの花が一斉に咲き誇っているような笑顔が、パトリックの胸の鼓動を速める。いいや、ダメだ。ドギマギしているのを悟られてはいけない。
    「リッキーも、おはようございます!」
     エミリコは、今日も笑顔を輝かせている。きっと誰に対しても、分け隔てることなく……。パトリックはエミリコに微笑みかけられる中の一人にすぎないのだ。エミリコにとってのパトリックは、特別でもなんでもない一人のシャドーでしかない……わかっているさ、そんなことは。
    「あら? どうしたのパトリック。貴方、すすが溢れているわよ」
    「え?」
     近くにあった窓に、黒いモヤが掛かったパトリックの顔が写っている。しまった。すすに嘘はつけない。
    「パトリック様。もしかして、ご体調がよろしくないのですか……?」
     リッキーが不安げな目でパトリックを覗き込む。
    「……ああ、もしかしたら、そうなのかもしれないな」
     そうだ。体調不良ということで誤魔化そう。心のモヤがすすになって溢れても、感情の中身まではわからないから。
    「大変!お熱があったらどうしましょう!?」
     エミリコが大慌てでパタパタと駆け寄ってくる。待って、君にそんなに近づかれたら……!
    「パトリック様、少しだけ屈んでいただけますか?」
    「ん……」
     言われるがまま、頭をエミリコに寄せる。コツン、と額と額がぶつかる感覚がした。
    「ん〜、ほんの少し、熱っぽいかもです」
    「〜〜!!」
     頭がくらくらする。今すぐにでも彼女の手を取って、「君が好きなんだ」と言えたなら……。いや。そんなことはしない。絶対にできないけれど……。
    「ありがとう、エミリコ。そしてすまない。部屋で休むとするよ……」
    「お大事になさってくださいね」
    「お休みの準備は任せてください、パトリック様。さ、行きましょう」
     リッキーに介抱されながら、二人に見送られた。パトリックもこんな調子ではいけないな。リッキーのためにも、しっかりしなければ示しがつかない。「想いは表に出さない」と決めたのだから……辛くても、届かなくても、パトリックはそれを受け入れなくては。頭の中でそっと、エミリコの笑顔を思い浮かべる。心のモヤが、少し晴れた気がした。

    「大丈夫でしょうか、パトリック様……」
    「……結構重症かもしれないわね」
    「ええっ!? そんなぁ!」
    「なんて、ね。きっと夜通し考え事でもしてたんでしょう。休めばすぐに良くなるわ」
    「……そうですよね! そうだといいな……」
     ケイトは嘘をついた。休めばすぐに良くなるなんて、嘘。むしろ、日に日に悪化してもおかしくない。焦がれれば焦がれるほど、心の奥から灼かれていってしまう。
     恋の病は、そういうものでしょう?
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