守って欲しいわけじゃなかった。ただ隣にいたかっただけなのに。本音を隠して、どれだけ笑って、どれだけ嘘吐いて、それでも「五条弾」として押都様に認められたかった。「あ⋯ぁ、⋯っ⋯、押都、さま⋯」膝が落ちる。肩が激しく震える。嗚咽とともに喉が詰まり息が吸えない。胸が締めつけられ、息が入らない。「⋯ぅっ⋯は、あ⋯、ぁ⋯はっ⋯!」呼吸が早く、浅くなる。喉の奥がひゅっと音を立てる。吸っても吸っても酸素が足りない。目の前が滲んで、視界の端が黒く染まっていく。「やだ⋯や、やだぁ⋯」子供みたいな声が零れる。喉が焼けるほど苦しい。「ご、ごめん、なさい⋯っ、ゆるして⋯、⋯押都、さま、⋯!」泣き声なのか、うめきなのか、自分でも分からない。何かが壊れていく音がした。もう、何も聞こえない。水の底に沈んだように音が遠い。指先を動かそうとしても重くて動かない。助けてほしい。でも誰に。そう思った瞬間、力が抜けて、ぐったりと倒れ込んだ。
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