ラチェわた百合.
ラチェわた 百合
綺麗で優しくて頭が良くて…何でも出来ちゃう魔法使いみたいな人。
小さい頃からずっと憧れていたおねぇちゃん。
いつかわたしも、おねぇちゃんみたいな素敵な女性になれるのかな。
ラチェおね×わたしちゃん
小さい頃からずっと大好きだったラチェットおねぇちゃん。
その憧れは日を追うごとに強くなり、幾重にも重なった花弁のように膨らんだ感情は、抑えられずにわたしの真ん中に咲いてしまった。
わたしはおねぇちゃんが大好きだから、与えてくれる優しさの意味を履き違えてしまう。
それでも、ラチェットおねぇちゃん以外の人なんて考えられなくて……。
わたしちゃんは小さい頃からずっと、大好きなおばであるラチェットにアタックを続けていた。
“ありがとう、私も大好きだよ”
「ラチェットおねぇちゃん好き!付き合って!」という度にのらりくらりとかわされ、決まり文句の後に頭を撫でられる。
恋人も居なくて、好きな人も居ないならわたしと付き合ってくれてもいいのに…。
ラチェットおねぇちゃんのために、わたしの隣はいつでも空けてあるんだから…。
「おねーちゃん…大好き…」
お酒のまわりが今日はやたらに早い。
週末はラチェットの家でご飯を食べるというのも、毎週末わたしちゃんが押し掛けるのでいつのまにか習慣になってしまった。
酔いも手伝い、ラチェットに身を寄せる。
ふわふわした素材と、安心する匂い。
おねぇちゃんはこんなに近くにいるのに、伝わらない気持ち…。そう思うと胸が締め付けられる。
「甘えたになっちゃったね〜」
大きくて温かい手が私の頭を撫で、そのまま背中へと降りる。
何度かそれが繰り返されると、わたしちゃんの瞼はだんだん重くなる。
「いいこいいこ…」
遠くで聞こえる声に「また子ども扱いして!」と言いたかったのに、微睡の中で唇はむにゃむにゃと動いただけだった。
そのうち静かに寝息を立てはじめたわたしちゃんの鼻に唇を落とし、「おやすみ」と小さく呟く。
顔にかかる髪を払い、無防備に晒された首筋に鼻を埋めて思い切り深呼吸する。高い体温から香る甘い匂いを肺いっぱいに吸い込む。
酒のおかげで起きないわたしちゃんをいいことに、何度も何度も。
舌を這わせるすんでで理性を取り戻し、取り乱した呼吸を整える。
「わたしちゃん…」
本当は今すぐ全部奪って私のものにしたいけど。
そんな私を知って、憧れのお姉さん像が崩れたら、その上怖がられたしまったら……
立ち直れない。
年頃の女の子が歳上に憧れるのは、よくある事だと知っている。だからこそ、だ。
私は彼女に憧れていてもらわなければならない。幻滅する様な、汚い部分は見せたらいけないのだ。
そう誓い、今まで接してきたけど……
以前にも増してスキンシップとストレートな感情表現に、限界を感じる自分がいる。
わたしちゃんの寝顔を見ながら、私だけのものに出来たらどんなにいいか、そう考えては何度も眠れない夜を過ごした。
今夜もきっと眠れない気がする。
マイスターまだ起きてたっけ……ビデオ通話にしてこの状況見せつけてやる!とやけくそにメッセージを打つ。
明日も休みだから、許してくれるよね。コップに残ったお酒を一気に煽って、送信ボタンに指を乗せた。