蓮花塢かぼちゃ事変秋とくればカボチャである。
カボチャの用途は広い。
焼いてもよし。煮てもよし。汁物にするもよし。焼き菓子にも冷たい菓子にも出来る。
金凌が妙な本を読んできたらしく、どこか遠い国の異教徒たちが行うらしい秋祭りの話を、目を輝かせて江澄に語ったのは少し前のことだった。
なんでも、秋の収穫と先祖の霊が帰ってくるのを祝い、カボチャを飾ったり食べたり、子供たちにお菓子を配ったりするのだという。なぜカボチャと先祖の霊とお菓子配りがつながるのかはよくわからないが、まあ大体、祭というのはそういうものだ。楽しい行事であれば末永く続き、起源が何であったかはどうでもよくなる。
そして、カボチャ尽くしの食卓というのも面白そうだと、江澄自身も少し思ってしまったのもあって、その祭に合わせて小さな宴をすることにした。
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