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    @wakaranuuuuuuuu

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    百合 ザイミサ 創作 無法地帯

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    @SALVA_934649様の
    「DEAR DEVIL~1000年の命~」
    と言う作品の派生二次創作です

    ラーナのツノのおはなし

    駄文、解釈違い 注意

    悪いのは「相変わらずユヒモコすげーな 飛ぶの」

    「そうだろ」


    褒められるのはそこまで好きではないが、気分が悪いという訳では無い

    今日も空界での授業の競走でぶっちぎりの1位を俺は取った その度このように歓声を浴びる


    羽が好きな女の子も寄ってくる

    …これはあまり、いや かなり好きではない
    外見だけで判断してるって事だから

    付き合ってだとか 好きだとか散々言われる
    飽き飽き


    羽が全てではないと俺は思ってる

    だって、




    「並んで〜」


    先生からの号令がかかる 集まらないと


    …話を聞けば残り時間は1つ下のクラスとの合同と言う事だ あいつ、いるかな


    何よりも大切な…




    「お兄さん!飛ぶの見てたよ すっごい速いね 」

    「あ、あぁ ありがとう」

    下級生の悪魔に話しかけられる 見られてたか

    「どうやったらそんなに飛べるの? やっぱり羽が大きいから?」


    「羽が小さくても速く飛べるやつはいるぞ そう思わない方がいいよ」

    できるだけ年下には優しい言い方を心がけているつもり、だが大丈夫だろうか


    「飛び方教えて!」

    わきゃわきゃ…


    「あ、うん 分かったから押すな」

    たまにこうゆう風にもみくちゃになる 俺より良い奴はもっと沢山いるのに

    ___________


    飛ぶ見本を見せていると、ふと かなり離れた所に1匹の悪魔が目に入る
    あ、あいつだ


    俺の妹 ラーナ

    どこか危なっかしい飛び方で必死に宙を舞っている

    妹は飛ぶのが苦手だ

    落ちそうになったら その度俺が飛んで手を取ってやる
    今日は割と調子がいいのか、それなりの高さを飛んでいる
    傍に行きたい所だが、こいつらの相手をしないといけない ごめんな すぐに行くから




    「ほんとに羽ん防みたいで落下魔のあいつの兄ちゃんなのか気になるくらい上手だね お兄さん」



    「…は?」


    「うわ、ごめんなさい」


    俺が特に言われたくない事
    妹との比較

    誰であってもこれは許せない


    「…二度と言うなよ」

    「はい…ごめんなさいお兄さん」

    素直に謝れる奴はまだマシだ




    ラーナの姿を再び探す
    …かなりの高さにいる事に気付く 大丈夫か?



    多少心配になったが、俺はそのまま下級生の相手を続ける


    その刹那




    『きゃー!!!!ラーナちゃん!!』


    知らない女悪魔の悲鳴が響く
    …ラーナ?ラーナがどうした


    姿を探す どこだ どこにいる どこに___

    あっ


    とんでもないスピードで急降下する1つの影を見つける

    直感で分かった ラーナだ
    やばい まずい このままだと


    俺は相手をしていた子らを放り出し、羽をめいいっぱい張り その影を追う









    速く













    早く













    はやく











    はや_____
















    そう思った瞬間に耳に入る衝突音









    伸ばした手は寸前で届かなかった









    気を取られ、ブレーキをかけ忘れフルスピードのまま俺も地面に右手から衝突する


    バキッ、と自分の骨が折れる音が響く


    でも、痛くない


    折れて数秒後には自身の治癒能力が働き、折れたことを認識した瞬間には治ってしまっている







    急いで体を起こしあいつが落下した方向を見る



    長い黒髪が顔を隠すように乱れ、顔が確認できない

    その地面には俺と同じ2本の小さなツノが無惨にも地面に転がり、灰となり消えていった

    そして、落下したあいつは動かない



    「ラーナ!大丈夫!?ラーナ!!」


    上半身を抱えて顔を見る


    半開きで光を失った目 まるで生気を感じさせない目


    ツノが、折れた それも周りの皮膚を巻き込んで



    通常悪魔のツノが折れることは珍しくも危なくもなんともない事だ 俺の骨の様にすぐ再生する




    …だが、ラーナなら話は別だ

    こいつは悪魔とは思えない程治癒能力が低い

    小さな切り傷が治るのにだって数分かかる

    そんなラーナのツノが折れるなんて、もっての外

    治るのに一体どれだけの時間がかかるか


    頭がパニックで回らない
    どうしたらいい 俺はどうしたら
    俺に治癒できるような能力は無い



    『そんな焦んなよ ツノが折れただけだよ』



    ……は?名前も知らない奴が何言いやがる


    『こ、こえぇよ、そんな顔するの辞めろよ』


    俺は威嚇のような顔でもしていたのだろうか
    怖がられた



    頭が回らない中、俺は自分でも分からない行動に出た


    「…ッ」


    自分の手首を青い尾の先で切り、出てきた血をラーナの傷口に垂らそうとした その真っ赤な血は一瞬で蒸発し虚空へ消えていく


    俺の強い血ならこいつを治せるかもしれない
    助けられるかもしれない
    半ば正気を失いかけながら俺はザシュ、ザシュと何度も手首に傷を付ける

    そして、自分の大きな翡翠色の羽をギュッと頭に巻き付け、体を抱きしめる


    羽に触れるだけでは何も効果が無いのは知っている だが、無意識にそうしていた


    「ダメ、ダメだ、死なせない 死なせない 死なせ…」

    少しだけ体が大きくなる様な感覚が襲ってきた時、




    「ラーナちゃんのお兄ちゃん?何してるの!?」


    「…!」


    騒ぎを聞いて駆けつけたラーナのクラスの担任がやってくる 俺は聞こえないかのように抱きしめ続ける


    「離れなさい!先生が連れていくから」



    離れたくない 離したくない 失いたくない
    何より大切な、、







    …あれ


    なんか意識が





    何故か強烈な眠気に襲われ、俺はそのまま気を失ってしまった







    ________



    目を覚ましたのはふかふかのベッドの上

    …何故、俺はここにいる?


    睡眠の能力でも持つ先生に眠らされ、保健室に連れてこられたのだろうか 俺が動こうとしないから


    …は


    あいつ


    「ラーナは!?」


    思い出し飛び起きる
    あいつは何処だ どうなった ツノは 傷は…

    匂いをスンと一嗅ぎする 隣から あいつの気配を感じ、ベッドを飛び降り、カーテンで仕切られた隣のスペースに飛び込む


    そこには
    頭に包帯を巻かれて大人しく眠っているラーナの姿があった

    ツノは、やっぱり再生してないか…本人の治癒能力が無さ過ぎる

    でも俺は、ラーナ生きているというだけで心から安堵した


    「ユヒモコ君起きた?」


    保健室の先生に話しかけられる


    「…はい」


    「ごめんね強制的に眠らせちゃって どうしてもあなたが動かないものだから」



    やっぱり、か
    でも、動きたくなかった
    離れたら こいつが死ぬかもしれないと思ったから



    「妹は…大丈夫なんですか」

    「ツノがね、何故か再生しないのよ あなたとそっくりで綺麗なツノが生えてたでしょう?

    そこ以外は大丈夫よ 血も止まったし安心して」


    「ありがとうございます」


    俺だったらきっと、すぐに再生するのにな ツノ

    何故同じ血を分けた兄妹なのにこんなに差があるんだろう





    「…ん〜」


    「あ、ラーナ!」


    「頭が…痛いの…」


    「俺、分かるか?」


    「あ、ヲスカナお兄ちゃん」

    目を覚ましてくれた 俺は安堵し涙が出そうになった でも、そうゆう訳にはいかない


    「大丈夫か?」

    「…私、また落ちちゃった いつもより調子良くて とても高くまで上がれて、スピードも出せたの そしたら急に またあの嫌な感じが来て……ごめんね お兄ちゃんにまた迷惑かけちゃった ごめんね…」


    ラーナは泣きながら謝り続ける

    「お前は何も悪くない 迷惑なんてかけてない 悪いのは 」




    悪いのは







    …間に合わなかった俺だ





    俺の力が 速さがもっとあればこいつは…






    「?」


    「…とにかく お前は悪くない だから泣かないでくれ 兄ちゃんからのお願いだからさ」




    妹を助けれないどころか泣かせる兄なんて……兄失格だ
    何やってんだ


    俺はラーナの額に自身の額を擦り合わせる


    彼女のふんわりとしたいい匂いが、俺を慰めるかのように鼻腔を通り抜ける





    ラーナのツノが完全に再生したのは

    これから1ヶ月も経った頃だった


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