また名前を呼びたい杏寿郎』
そう呼べたのは何年前の話だろう、私と杏寿郎は幼馴染みでも今は鬼殺隊を支える柱、今では煉獄さんが当たり前になってしまった
『杏寿郎…』
返ってこないことを承知で空中に懐かしいその名を呼ぶ、任務を伝えに来た鎹鴉の雫さえ、夕焼け空を背にすれば虚しく見えてくる
『…行こうか』
深呼吸をし刀を腰に差して羽織を羽織ればもう私は鬼殺隊の雪柱、夜の闇の中へ惡鬼滅殺に駆ける
『雪の呼吸 伍ノ型 太陰の粉雪』
粉雪がチラチラと舞う中鬼の頸が宙を舞う、刀身の返り血を払い鞘に収めると隊士達の方を向いた
『鬼はこれで最後ですが…怪我人はいますか?』
「いえ!雪柱様のお陰で誰も怪我してません!」
「後は隠の方を待つだけです!」
お世辞でも褒めてもらえたことは嬉しかった、多少機嫌も治った所で雫に次の任務を聞いた
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