初書き🐮丸さん〜ちびゾを添えて〜おでんの訃報を半ば呆然と聞いていた牛丸は、ぐしゃりと矢文を握りしめた。なんとしてでも、今、この悪辣非道なオロチとカイドウを殺さなければならない。このまま何もせず生きていくことは、武士として死ぬことと同義である。頭はキンと冷え、湧き出る殺意だけが牛丸を支配していた。
「…………馬を出せ」
腹心へ言う。彼は何か言いたそうにしたのち、
「御意」
と厩へ走っていった。
鈴後の城下町を眺める。ずいぶんと煙突が立ち、もくもくと薄汚い煙を吐き出している。それらを睨みつけ、腰の刀に手をやった。
「ぅしまゅ?」
背後から聞こえた幼い声に、ハッと肩を揺らした。愛しい幼子が、最近覚えたばかりの掴まり立ちをしてこちらを見ている。
「うしぁるー!」
はいはいでこちらに近づいてくるその子を思わず抱きしめる。幼子はきょとん、と惚けたが、やがて嬉しそうにくふくふと笑った。
怒りのあまり我を忘れていた。おれには、護るべき者がいるではないか。もはやこの地で護るべき民も失った今、たった一人の血縁が。
「ゾロ」
幼子の名を、呼ぶ。すまない、これから、辛い道のりであるだろう。だが、行かなければ。
「ゾロ、よく聞け」
「ぅ?」
「おれは、これから戦をしに行く。もう二度と、ここへは帰って来れぬだろう。お前にはきっと沢山苦労をかけるだろう。」
相手がまだ言葉もわからない幼子だからこそ、すんなりと言葉が出てきた。
「だが強く生きろ。強く、まっすぐ。お前にはいつだっておれがついてる。」
ゾロは何かしらの雰囲気を感じ取ったのだろうか、眉根をよせて、うっ、うっ?と涙を溢し始めた。
「お前が戦えるようになる頃、もう一度大きな戦が起こる。………その時、同胞と共に戦え。それまで、なんとしてでも生き延びよ。いいな?」
「うっ、うぇ、ゃ、やぁ、やだぁ、うしぁる、やぁだ!!」
ぎゅうぎゅうとしがみついてくるゾロは、もしかしたら理解しているのかもしれない。これからの、ワノ国の行く末も。
「すまない、ゾロ」
「うぇぇええええええん!!!」
ゾロはその晩夜通し泣き続け、牛丸はずっと、ゾロをあやし続けた。
「………本当に、お一人で行かれるつもりですか」
家来の一人が、顔を歪めて言った。本来なら共に行こうとする家来たちを止めたのは牛丸だった。
「…………」
牛丸は何も言わず、馬に乗りかける。
「我々も黙ってはおられません!!ここで戦わずして何が武士でございましょう!」
「拙者たちは牛丸様の家臣です!家臣が主人と共に戦わないなど言語道断!」
「共に行かせてください、牛丸様!!」
「拙者も戦わせてください!!」
「お前たちは」
家来たちの声を遮ったのは、凛と通る声だった。牛丸は、優しい目で家来たちを見た。
「お前たちは、ゾロを護ってくれ」
そう言うと、家臣たちはハッと目を見開いた。
「ゾロを20年の未来まで、生かすのだ。……フフ、ゾロは大した剣豪になるぞ。未来の大剣豪を、お前たちで護るのだ。……頼む。」
牛丸は困ったように、だが嬉しそうに頬を緩め、頭を下げた。
家臣たちは大慌てで主人を止めにかかる。
「大名がおいそれと頭を下げないでください!!」
「わかった、わかりましたから!!」
「よし、言ったな」
ニヤリ、と打って変わって獰猛な笑みを浮かべて、牛丸は今度こそ馬に乗った。家臣たちは茫然と、その姿を見ていた。
「鈴後を、ゾロを、……ワノ国を、頼む」
そう言って、牛丸は振り返りもせず駆けていってしまった。
「牛丸様………」
次の瞬間、家臣たちはザッ!!と一斉に膝を付いた。
「「「「御武運を!!!!」」」」
牛丸がふらりと手を振る。彼の姿を見たのは、それが最期だった。
「行くぞ」
「ッ、どこに!」
「ゾロ様のところだ。」
「………!!」
「ゾロ様はまだ1才。おれたちが、ゾロ様をお護りして、育てねばならんのだ。」
「……そうだな」
「これから忙しくなりそうだ」
家臣たちは急いでひとりで泣いているであろうゾロの元へと向かう。何かしていていないと、生き残った罪悪感とこれからへの不安で押し潰されそうだった、というのもあった。
その後、ゾは原作より冷酷な男に育つ(鈴後を1人で守らなきゃいけなかったから)んだけど、ワ国に来たルたちと出会って振り回されながらだんだん心を開いていくのね
くいなちゃんがいないゾはゾじゃないかなぁと思ったので、多分くいなちゃんとも子供の時に出会うんじゃないかなワ国で
死んじゃうけど…
んで大海を知ってもっと強くなってくれ……ひとりぼっちで凍えた心を太陽(ル)で溶かしてくれ……サのご飯食べて、「こんな美味い飯はじめてだ」って安心して泣いてくれ…ワ国では毒しか食べれないもんね……幸せになって………