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    ちこり

    お絵描き初心者🔰

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    ちこり

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    お題「1日手が離れなくなった日六」の小話

    新田視点→紫視点→日々人視点と変わります

    一日手が離れなくなった六太と日々人


    休日の買い物に出た新田の前を歩く見慣れたもじゃもじゃ頭。
    そして、隣を歩く同じくらいの背の高さのキャップを被った男は多分彼の弟だろう。相変わらず仲のいい兄弟だなと新田は思う。
    日本にいる弟との関係も多少は改善しているがああはいかない。
    日々人の手にはリードが握られており、足元には愛犬姿がチラチラ見える。二人で愛犬の散歩中なのだろう。
    いつか弟がアメリカに来たら、一緒に歩けるくらいにはなりたい。
    いや、でも猫には散歩は必要ないか、などと余計なことを考えている間に少し距離が離れてしまった。せめて挨拶くらいはと前を追いかけようとしたその時、南波兄弟の手に気が付く。
    六太の右手と日々人の左手が掌を合わせて握られている。
    あれは…所謂手を繋いでるというものではないだろうか。
    さすが南波兄弟。まだまだあの域に達するのは難しい。
    新田は畏敬の念を持って二人を見送った。

    ***

    たまたま休日に出歩いていたら、お気に入りの人物を見かけた。
    紫はもじゃもじゃ頭の後輩にご執心である。
    とは、言っても恋愛感情でとかではない。
    あくまでも悪戯の相手という意味でだ。
    恋愛感情なんて言った日には六太を偏愛的に執着する彼の弟に多分闇討ちされてしまう。
    その六太だが、休日というのに隣には当然のように弟が歩いていた。
    後ろにいる紫には気づいていない。
    ここは軽く『膝カックン』でも、と間合いを詰めた紫の眼に二人の繋がれた手がフォーカスされた。
    ……これは紛れもなくデートである、と紫は感じた。
    日々人の顔はニコニコで六太の顔はどことなく恥ずかしそうに見える。
    これを邪魔するのは馬に蹴られてなんとやらってやつだ。
    今度六太が一人の時に揶揄おう。
    もじゃもじゃ頭を破裂させそうな勢いで赤くなる六太を想像して、紫はひとりほくそ笑んだ。

    ***

    「知り合いに見られなくてよかった…」
    散歩から帰ってきて早々、安心したように六太が言う。
    日々人としては別に誰に見られても気にしないのだが、六太は恥ずかしかったのだろう。
    最愛の兄が人目を気にする性質なのはわかっていたが『アポの散歩には行かなければならない』と言って、渋る六太を連れ出したのも、手繋ぎデートを楽しんでみたかったという日々人のささやかな希望だった。
    (我儘でごめんね)
    日々人は口には出さずに六太の顔に頭を擦りつける。
    大型犬のようなその行動に六太は少し笑って「楽しかったか?」と尋ねてきた。
    「楽しかったよ」と即答すると「そっか、ならよかった」と返ってきた。
    二人で手を繋いだまま、何をするわけでもなくソファに座る。
    テレビもついていないし、アポも自分の寝床で昼寝に勤しんでいる。
    気疲れした六太はソファで眠そうにうとうとし始めた。
    手が離れているから、抱き上げてベッドに運ぶことはできない。
    それならと手を繋いだまま肩に六太の頭を寄りかからせる。
    日々人の肩を枕に大人しく眠りについた六太。
    その表情は穏やかでどことなく愛犬に似ている。
    幸せを感じながらしばらく顔を見ていたが、くっついている六太の体温は日々人にも眠気を齎す。
    休み明けに『紫に気をつけろ』とだけ言おうと決めて、日々人も六太の共に惰眠を貪ることにした。
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