都合の良い愛の話(リハビリ)徐々に煮える湯の中で、緩やかに死を待っているような日々だった。
ライルが死んだ、と聞いたのはライルに別れを告げられた翌日の事。
別に、記念日の事を忘れていた訳じゃなかった。ただ、日付を1日間違えて覚えていただけだ。……流石にマズいと思ったし、サイテーなことしちゃったなって反省もした。
どうやって謝ろうとか、どうしたら話せるかとか、どうやってスキを伝えようかとか、考えて……考えて、考えて、どんだけ拒否されても沢山通おうって、今まで沢山ライルに貰った以上に沢山スキを贈ろうって、そう思ってた。
……まあ、今思えばそれもすげー甘い考えだって分かるけど……でも、ほんとに。ほんとにオレはね、ライルが好きなの。ライルがオレのこと好きじゃなくなっても離せないくらいに、大好きで……
……だから、これからもずっと、ライルがオレのことどう思ってたって一緒だって、そう思ってたのに。
ライル、使われてない倉庫の中でさぁ、棚の下敷きになって死んじゃったの。
オレの見てないところで、オレの知らないところで、ひとりぼっちで、もう二度と会えないところにいっちゃった。
……その時、オレも一緒に死んじゃったみたいでさぁ。なーんも、覚えてないの。ライルのお葬式も、周りの奴らの言ってたことも、全部。
ただオレは、ずっと、ライルが死んじゃった倉庫の中で……ライルが死んじゃったところで寝転がって、ライルにどうやって謝ろうかなって考えてた。ライルと仲直りしたらどこに行こうかなって、そればっかで……アハ、アズールとかにさぁ「ライルは水族館と遊園地だったらどっちが好きかなぁ」って聞いたらスゲー顔すんの。ジェイドもさぁオレがライルに渡したくて買ったクッキー見て、見たことない顔してた。ちょーウケるの。
でね、皆気まずそーに「ライルさんはもう居ない」って言ってくんの。分かってんのにわざわざ言ってくんのちょう趣味悪くね?
オレが一番分かってんのにね。