ある雨の日と彼の枷ピリッ
小人の針に刺されたような幻の痛みに思わず手首を押さえて目が覚めた。
やっとうとうとしかけたところだったのに。
弱々しく息をつく。
宮殿の窓は、相変わらずの豪雨でやかましく鳴っている。そう、雨だ。雨の日は、痛む。
押さえられた右手が、ぴくっと痙攣する。まるで、目を逸らすなと嘲笑うみたいに。もうおれの体ではないのだと、突きつけられるようだった。
つきり。
痛む。
左手の覆いをこわごわ外す。右手首の内側に、ドフラミンゴの焼印が引き攣れた姿で嗤っている。
これは、おれの枷。おれの意思で嵌めた、おれを縛る枷だ。
ドフラミンゴに幽閉されて、体も心も弱りきって、そこに垂らされた糸。それは、恩人の命がドフラミンゴの元にあるという希望だった。おれは縋りついた。彼を殺させないためなら、自分の体だって心だって明け渡してみせた。そうしてもう何年も、おれは暴虐の王の寝室にいる。
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