回復の泉 誕生日話1朝から太陽が輝いていて、とても眩しい。
歩いてきた砂漠も、光を反射して、目を焼いていた。
だから、洞窟に入った瞬間視界は暗闇に包まれた。
瞬きを数回して、目が慣れるのをまつ。
いまではすっかりと慣れてしまった角度で横を少し見上げれば、陰で表情は見えないものの、こちらを見ている姿がある。
その影が半歩近づいたかと思うと、手を差し出された。
せっかくなので、その手をつないで歩みを進める。
歩きながらも、じっとその陰になっている横顔を見ていたら、照れたようにこちらに笑いかけてくる弟の顔がだんだんはっきりとしてきた。
あぁ、暗いから視線の先はわからないかなと思っていたが、マッシュの方がずいぶんと先に目が慣れていたようで、見つめていたのに気が付いていたようだ。
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