夕暮れ神社でまた、会いましょう(前編) ようやく梅雨が明け、本格的な夏の訪れが目前に迫った今日この頃。窓の外を見上げれば、そこには吸い込まれそうな蒼穹が広がっている。ぽっかりと浮かぶ白雲のせいか、久々の晴れ空は随分と低く見えた。
放課後を告げる終齢を聞きながら、空は廊下を軽やかに進む。
面倒見の良い彼は、当然ながら友人が多い。声を掛けられる度に手を振ったり挨拶を交わしながら、それでも寄り道ひとつせず目的地へと向かう。
廊下の片側に延々と並んだ窓はどれも開いているのに、すでに若干蒸し暑い。
授業が終わった解放感をそのまま写したような喧騒を右から左へ聞き流しつつ、空は制服の襟元をぱたぱたと揺らした。じんわりと汗の滲んだ首元に少しでも風を送ろうと、ほとんど無意識にしたことだった。
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