百夜通い刀剣男士には本丸別個体差と言うものが存在する。元は一振の刀の分霊でも、顕現する審神者により違いが生じてるのだ。それは、その刀を顕現する審神者の『心』やその刀に対する『思い』に左右される。
例えばこんな事が過去にあったと聞く。その本丸の山姥切国広は『山姥の呪い』にかかりとても醜い姿で顕現したらしい。その原因は顕現した審神者が『山姥切国広こそが山姥を切った刀だ』と思っていたからだ。
史実はどうあれ、その『思い』を込められ顕現した山姥切国広は『山姥の呪い』にかかった状態で顕現してしまったらしい。
そんな事がおきるのだから、これは仕方ない事なのかもしれないとこの本丸の山姥切国広は思った。
その晩、山姥切国広が近侍を務め審神者が鍛刀した刀は三日月宗近である。天下五剣が一振、名刀中の名刀であり、顕現も難いその刀をこの本丸の審神者は待ち焦がれていた。
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