3着物の女性は「五条凪(なぎ)」という。
五条家当主の元へ嫁いで来た五条家の遠縁という話だった。
その当主は当主としての仕事が色々あるらしく、殆ど本家に帰る事はないとの事だった。
ある日彼女は寂しそうにそう教えてくれたが、「短い期間に実と赤ちゃん、家族が2人も増えるなんて私はラッキーだわ」と笑った。
彼女が私の元を訪れた二日後だったと思うが、私は和室から出され、彼女の居室で彼女と生活する事になった。
広い洋室で、ベビー用品がたくさん置いてある陽当たりの良い部屋だった。
その日から彼女と食事をし、お風呂に入り、用意してもらった私のベッドを彼女のベッドに並べて眠った。
今思えば大きなお腹で6歳児の面倒を見るのは大変だったと思うが、彼女はできる限り人の手を借りず私の世話をした。
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