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    jyo_AC

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    夏の君のおまけです 本編後にどうぞ

    夏の君 おまけいつも通りに、集合場所になった神社に向かう途中。道の真ん中に行き倒れたマリモ…じゃなかった木霊がいた
    ちょっと遠くから様子をみたけど全然動かない。近寄ってちょんって指先でつついてみたけどぴくりともしない
    え、死んでる?妖怪って死ぬの?いやいやまさか……

    気絶してるのかな…あ、そうだ!おばあちゃんから熱中症には気をつけるんだよって水筒を渡されてたんだった
    おばあちゃんの淹れてくれるお茶はちょっと僕には苦いので中身はただのお水だけど丁度よかったかもしれない。お水飲ませれば元気になるかな?

    そこで気づいた。……木霊の口ってどこだ?
    KKは喋るって言ってたけどぱっと見た感じ口みたいなところはない。うーんと悩んだ結果、お水をかけることにした
    するとお水が冷たかったのか、びゃっ!と跳び上がったあと何だか嬉しそうにくるくる回っていたけどそこでやっと僕の存在に気づいたのかピタッと動きが止まった
    まるで猫の睨みあいのような妙な緊張感が漂っている。でも思いきって声をかけることにした
    「あの……」
    まだ警戒はとけないみたいだ
    「えっとね、僕の友達で君の言葉がわかる子がいるんだけどね」
    凍ってしまったみたいにぴくりとも動かない
    「よかったら一緒に来ない?君、こんな所で倒れてたから心配なんだ」
    しばらくすると困ったみたいにうろうろと動きだした。どうも悩んでるみたい
    「ね、おいで?」
    手を差し出して様子を見てると悩んだ末に僕の手にぴょんっと跳び乗った、と思ったら勢いよく肩まで駆け上がってきた
    「そこに落ち着いたんだね」
    よし、それじゃ神社に向かおう


    神社にはすでにKKが僕を待っていた
    「おっせーぞ暁人!……って何だそりゃ」
    僕の肩に乗った木霊を見て怪訝な顔をしている
    「道端で行き倒れててさ。KKならこの子の言葉わかるでしょ?」
    「行き倒れ……ああ、昨日風がつよかったからな」
    「風が関係あるの?」
    「こいつら軽いからな。よく風に飛ばされて迷子になるやつが出てくるんだよ」
    確かに、昨日の夜は窓を誰かが叩いてるみたいに風がつよかった。おかげでちょっと寝不足だ
    「迷子って……君はどこから来たのかな?」
    木霊の頭の上に?が見える気がする。自分でもよくわからないらしい
    「まあ、こいつのことは他の木霊に聞いたらいいだろ」
    KKはそういうと神社の木に向かって「おい、降りてこいチビ達!」と大きな声で呼んだ
    するとどこからか、わらわらと木霊達が降りてきた
    「お前等のなかでこいつを知ってるやつはいるか?」
    木霊達は僕の肩にいる子を眺めていたが、どうも知っている子はいないようだった
    でも一人だけ、KKのところで何か訴えているような子がいた
    「ん、山の上の方に同じ葉っぱをしたやつを見たことがある?多分そこの木霊だ、って」
    「木霊の葉っぱって住むところで違うの?」
    「知らねぇ」
    KKがそういうと呼んできた木霊がKKの周りを取り囲んでわあわあ言ってる

    「あ?お前は我らの区別がつかないのか?こんなにはっきりしているのに?これだから人間はだめだ、だぁ?無茶言うな!」
    僕の肩に乗ってる子も何となく、ホントにわからない?みたいに見上げている
    「…ごめんね、僕もわからないかな」
    そう言うと何だかしょんぼりしてしまった
    もう一度、ごめんねって謝ってから指先でこしょこしょ撫でてたらちょっと機嫌がよくなったらしい。よかった

    「しょうがねぇな、お前こいつの居場所まで案内しろ」
    ようやく木霊達の文句から解放されたKKがちょっとぐったりしながらさっきの子に案内を頼んでいた

    木霊が進む険しい山道をなんとか登った先にはすごく大きな木があった
    案内してくれた木霊が木に向かって何か呼びかけるとたくさんの木霊が出てきて、そのうちの何人かが僕の肩にいる子を見て喜んでいるみたいだった
    こっちも嬉しそうに跳びはねてるからやっぱりこのあたりの子だったらしい
    「戻ってこれてよかったね。さあ、みんなのところに帰ろう」

    地面に降ろしてあげた木霊は一目散に元の仲間のところに走っていった、かと思ったら途中で僕のところに戻ってきた
    「どうしたの?戻らないの?」
    木霊は足元でぴょんぴょんしている
    「手ぇ出せ、ってよ」
    KKが通訳してくれた通りに手を差し出すとぴょんと木霊が手のひらに乗ってすぐに降りてった
    「これって…」
    勾玉だ。あのときKKがくれたやつと同じきれいな勾玉
    「僕にくれるの?」
    またぴょんと跳ねて今度こそ仲間のところへ走っていってしまった

    「よかったな」
    「…ねえ、KKよかったらこれ貰ってくれない?」
    「はあ?お前が貰ったやつだろ、それ」
    「僕にはこれがあるから」
    首から下げていた紐を手繰ってKKからもらった勾玉を見せた
    「だからこれは僕からKKに」貰ってくれると嬉しい
    「いいのか?ん、じゃあ貰っとく」
    ぶっきらぼうに言いながらも大事そうにポケットにしまってくれた

    「それ、持っててくれたんだな」
    「うん、おばあちゃんにね、なくさないように持ってたいんだけどどうしたらいいかなって言ったら紐つけてくれた」
    おばあちゃんはいろんな色の紐を出してくれたけどKKみたいなカッコいい黒い紐に結んでもらった 
    「へえ、いいな。俺もそうして貰おうかな」
    「うん!おばあちゃんに言ったらやってくれると思う!KKは何色がいい?」
    「俺もお前と同じのがいいな」
    「ホント?だったら僕たちお揃いだ!」
    KKとお揃いを持てるのが嬉しくて楽しみでくふくふ笑って
    早く帰ろうって待ちきれなくてKKの手を掴んで一緒に山を降りた


    山の上まで大冒険をした僕たちが家につく頃にはもうお外は真っ暗で
    夕方までにお家に帰る約束を守れなくて二人ともしっかり怒られてしまったけど、その後KKにも僕と同じお揃いが首から下がってた
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