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    jyo_AC

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    前回に引き続き捏造マシマシ
    夏の君、おまけを読んでからをおすすめします

    夏の君2「やぁーだーー!まりもいくのーーっ!」
    もう1時間くらいずっとこの調子だ
    麻里もふにゃふにゃしていた赤ちゃんからすっかりわがままばっかりの困った妹になってしまった
    今日はずっとこんな感じでお母さんとおばあちゃんの言葉に耳も貸さず僕と遊びに行くと言って聞かない
    「だから、僕友達と遊びに行く約束があるから麻里は連れていけないんだよ」
    「まりもお兄ちゃんと一緒がいいの!」
    困ったな……もうそろそろKKとの約束の時間なのに
    見かねたお母さんが「麻里、ちょっとお母さんのお手伝いしてくれる?」と声をかけてくれた
    「えー、まり、いまいそがしい」
    「お願い、麻里がお手伝いしてくれたら嬉しいなー」
    お母さんが僕の方をちらっと見て今のうちに行っておいでって小声で言ってくれたので麻里が僕に気づく前にそっと家を出た


    「ごめん!KK、遅れた!」
    「おう、暁人!……何か疲れた顔してんな」
    「まあね。ちょっと色々あって……」
    「そういえば麻里はいないのか?」
    「その麻里から逃げてきたんだよ」
    よほど僕がげっそりした顔で言っているのが面白いのかくつくつ笑いながら、かわいいかわいい妹から逃げてくるお兄ちゃんとはなぁなんてKKは言うけども
    「KKはまだふにゃふにゃしてたときの麻里しか知らないからそう言えるんだよ。今はもう元気いっぱいでわがままばっかり言うんだから」

    いつも通りの僕たちの集合場所。坂の上にある神社の御神木には今日も木霊たちが仲良く遊んでいる
    その中の一人が僕に気づいて走りよってきた
    いつか見たときみたいに足元でぴょんぴょんしている
    「あれ?君もしかして…」
    「お、分かるか?こいつあのときの木霊だよ」
    やっぱり!手を差し出すとまた僕の肩まで駆け上がってそこで落ち着いたようだった
    「何でここに?また迷子になったの?」
    「いや、こいつたまにここまで降りてくるんだよ。多分お前が来てないか見に来てるみたいだぜ」
    そうなの?と聞くと嬉しそうに跳ねている。懐いてくれたみたいで僕も嬉しいな

    そうしてKKと木霊とじゃれていたら、後ろから「もー!やっと見つけた!」と麻里が大きな声をあげた。その声にびっくりして、木霊はすごい勢いで逃げてしまった
    「ま、麻里?」
    「どうしてまりのこと置いていくの!一緒に遊ぶっていった!」
    「言ってないよ……」
    げんなりと答えるとKKのツボに入ったらしく、笑いを堪えようとして失敗した声が聞こえる。笑い事じゃないのに
    そこでようやくKKの存在に気づいたらしい。むうっとむくれて睨んでいる
    「まりとは遊んでくれないのに…ずるい!」
    「家でも遊んでるだろ?」
    「今お兄ちゃんと遊びたいの!」
    「俺は麻里が一緒でもいいぜ」
    「まりはやだ」
    「麻里。わがままばっかり言わない。……あれ?そういえば麻里一人?お母さんは?」
    そう言うと気まずそうに目線を逸した
    「…お家に置いてきた」
    「黙って出てきたってこと?はぁ、分かった。一緒に帰ろう」
    「やだ!お兄ちゃんと遊ぶんだもん!」
    「お母さんに言わないで出てきたのはダメ。ほら手繋いで」
    「や!帰らないもん!」
    思ったよりも強い力で手を振り払われて、よろけてしまい思わず膝をついてしまった。その拍子に首にかけていた勾玉が飛び出してしまった
    「あー!そのきれいなの、まりもそれほしい!」
    しまった、麻里には見せないようにしてたのに
    「だ、だめ!これは僕のだからっ」
    「何で?お兄ちゃんばっかりずるい!」
    だめだ、これは、これだけはいくら麻里が欲しがってもあげられない
    手で勾玉をぎゅっと握りこんで麻里に見せないようにしたらそれが気に入らなかったのか、どんどん目に涙をためて僕を睨んで
    「どーして、まりにいじわるするの?お兄ちゃんなんてきらい!」
    麻里がそう言った瞬間、つい反射的に言い返してしまった
    「僕だって麻里なんか嫌い!」
    「っ!お兄ちゃんのバカ、ばかぁ!!」
    ついに泣きだした麻里は一目散に森の奥に走っていってしまった

    僕たちの喧嘩に口を挟まないで見守っていたKKは、頭をガシガシ掻きながら
    「別に麻里にいじわるするつもりはないけどさ、お前がそれを麻里に渡さなくて……ちょっとほっとした」
    「うん、僕も…これだけは麻里が何て言っても渡せなくて、思わずあんなこと言っちゃった……」
    でもだからってあれは言い過ぎだ
    「ちゃんと、麻里に謝らなくちゃ」 
    「……ところで、麻里はどこまで行ったんだ?」
    「だから言ったでしょ、元気いっぱいなんだって」

    幸い、麻里を心配してくれた木霊がどこへ走っていったのか見てたらしい
    木霊に案内されて森の奥まで進んできたけど、妙に空気が重いような、何だか変な感じだ。KKもそれを感じたのか
    「気をつけろよ暁人。嫌な感じがする」
    さっきまで先導していた木霊が急に走り出した。慌てて追いかけるとその先の大きな木の根本、そこに倒れている麻里がいた
    「麻里!」
    怪我とかしてるのかもしれない。そう思って駆け寄ったけど、どうやら寝ているだけみたいだった。目は泣きはらして真っ赤になっていたけど、とりあえず無事でよかった…
    ほっ、と息をついた瞬間

    『見ィつケたァ』

    さっきまで僕たち以外誰もいなかったのに、すぐ後ろには首のない女の子がケタケタ笑っていた
    「クソっマレビトか!こんなところにまで出やがって!」
    「KK、あれ何?」
    「このあたりの嫌な感じの元凶だ。気をつけろよ、あっちは襲ってくる気マンマンだぜ」

    ゆっくり間合いを詰めてくるそいつは、KKに狙いを定めたようだ
    回し蹴りが飛んでくるのをKKは咄嗟に腕でガードしたものの、衝撃に耐えきれずに倒れてしまった
    「KK!」
    「チッ!せめてこいつの背後がとれれば…!」
    顔がないのにニヤニヤ笑っているのが分かるそいつは僕たち二人相手でもまるで意に介さないようにスキップをするように歩いている
    くそ、ムカつくな…
    何度かこっちから仕掛けるも、決定打のない僕たちじゃジリ貧なのは明らかで、一方的に攻撃されて立っているのもやっとの状態だ
    そんなボロボロになった僕たちに興味を失ったのか、そいつは麻里のほうに向かって歩いていく
    駄目だ…っ!麻里は今動けないのに!

    『このコ、ちョウだイ』

    「麻里に触るなぁ!!」
    「テメェの相手は俺等だろうが!!」
    僕たちが叫んだ瞬間、胸が一瞬熱くなったその時、そいつが雷に撃たれたかのように動きを止めた。
    まるで僕たち以外が遅くなったような感覚と、KKの感情や考えてることが伝わってくる
    咄嗟に僕はそれを麻里から遠ざけるように突き飛ばす。よろけたそいつは僕の方に注意が向いた。今ならKKが背後を取れる!
    その機を逃さずKKはポケットから何かをそれの背中に貼り付けて印を切ると、まるで空気に溶けるようにすぅっと消えていった
    「終わった…の?」
    「ああ、終わった…」
    はあー…と僕たちは息をつきその場にしゃがみこんだ
    「KK、さっき何したの?」
    これか?と、ポケットから出したのは御札?
    「じいちゃんから持たされてたんだ。マジで使うはめになるとは思わなかったけどな」
    本来は見つかってない状態じゃないと上手くいかないんだ、と教えてくれた

    「それより麻里は無事か?」
    「あ、うん。まだぐっすり眠ってる」
    「そうか……いや、ちょっと待て。あれだけ俺等が大騒ぎしてたのにまだ寝てるのか?」
    そう言われてもう一度麻里を見る。寝ていると思ったけど呼吸が早くて、額に手を当てるとすごく熱い!
    「っKK!麻里、熱出してる!」
    「家にいくぞ!じいちゃんに診てもらわねぇと!」
    僕たちはおじいちゃんの家まで急いだ。

    僕たちを出迎えたおじいちゃんは血相を変えた僕たちとぐったりした麻里を見て大体を察してくれたようだった。すぐに布団の上に麻里を降ろして、手で印を切るとほんの少し麻里の顔色が良くなったように見えた。
    「穢れにあてられて熱が出たんだな。今、残滓を祓ったからこれで少しは良くなるだろう。…さて、次はお前達の話だな」
    そういうと救急箱を持ってきて僕たちを手当しながら話を聞いた

    僕とKKの話を聞いたおじいちゃんは手で顔を覆いながら、ふー……と長く深いため息をついたあとスッと立ち上がり、流れるように無駄のない動きで僕とKKの頭に容赦なくげんこつを落とした
    「ぅぐっ…!!」
    「っ……たああ!!」
    ものすごく痛い!痛すぎてしばらく目がチカチカするし頭もまだ上げられない
    ちら、と横目でKKを見ると僕と同じように頭に手を当てて蹲っている
    「あれを見ても相手にするな、見つけたらすぐに俺に知らせるようにお前には言っていただろう」
    「んな余裕なかったんだよ!いきなり真後ろにいたんだから」
    KKが吠えるように反論する
    「まあ、これは身を守る術を教えなかった俺の責任でもあるか…」
    おじいちゃんは、はー…とか、あー…と唸りながらしばらく考えこんで、もう一度重いため息をついてから
    「よし、残りの夏休みはマレビトに対抗する為の勉強会をする。暁人くんも参加するように」
    KKが「マジでか!」と嬉しそうに返事をすると、「あくまで対処の仕方だ。俺がいないところで戦おうとしない、もし見つかっても逃げることを優先すること。この二つを絶対に守ることが条件だ」と釘を差した

    「あと、暁人くん。お母さんが麻里ちゃんがいなくなったって心配してたぞ。さっきお家には連絡しといたからそろそろ送っていこう。車を出してくる」
    それから、おじいちゃんの車の後部座席に麻里と並んで座った
    少し呼吸の早い、隣で眠る麻里の手を握る。顔色は良くなったけどまだ熱はあるみたいだ
    今になってようやく怖くなってきた。僕はお兄ちゃんなのに、守るんだって言ったのに、僕のせいで危ない目に合わせてしまった
    あの時、もし間に合わなかったら麻里がいなくなってたかもしれなかったんだ
    気づかない内に手に力が入ってしまったらしい。眠ってた麻里が起きてしまった
    「お兄ちゃん……」
    「麻里!……ごめん、僕のせいで…こんな……」
    「ううん。まりが、わがまま言ったからだもん。ごめんね、お兄ちゃん…」
    まだ熱で体が怠いみたいでまたすぐ眠ってしまった
    家につくとお母さんとおばあちゃんがすごく心配したんだって僕と麻里を抱きしめてくれた
    麻里はともかく、どうして僕が傷だらけなのかはおじいちゃんが麻里を探すために森に入って転んだみたいだと説明してくれたおかげで何とか誤魔化せた


    次の日。麻里の熱は下がり、すっかり元気になったみたいだった
    念のため一日ずっと様子を見て、麻里が無理しない程度に遊んだらすっかりご機嫌で、僕にべったり甘えている
    「お兄ちゃん!まり、ゼリー食べたい!」
    「はいはい、ご飯ちゃんと食べたらな」
    「はーい」
    こんなにご機嫌でニコニコしてる顔を曇らせるのは心が痛むけど、ちゃんと言わないと
    「あのね、僕明日から勉強しなくちゃいけなくて、また麻里を一人にしちゃうんだけど、どうしてもやらなくちゃいけないことなんだ」
    「うん…」
    「でもお家に帰ってきたら麻里と遊ぶから、それまで我慢できる?」
    「……うん。ちょっと寂しいけど、まり我慢する。でもなるべく早く帰ってきてね」
    「うん、約束。指切りする?」
    「もう!まりだってもう子供じゃないんだからね!」
    「ふふっ、なにそれ」


    それから、残りの夏休みはおじいちゃんによるマレビトを相手に立ち回る為の勉強会になった
    それに伴って、僕はおじいちゃんのことを先生と呼ぶようになった。先生と呼ぶと「俺が先生と呼ばれるとはなぁ」と照れくさそうに笑っていて、その笑い方はKKとそっくりだ

    先生はワイヤーを使ったり、霊視のやり方を教えてくれた。エーテルを使って攻撃や防御の仕方も教えてくれたけど僕には少し難しくて土エーテルで防御をするのが精一杯だった
    KKは器用に風と炎エーテルを使いこなしている。先生の扱うエーテルも綺麗だったけどKKが扱うエーテルはより輝いてみえる
    「綺麗…」
    「お前だってすぐに使えるようになるよ。そうだ、暁人。手を貸してみろ」
    KKは僕の両手をとって掌を重ねるようにしてエーテルを流した
    「俺のエーテルの流れが分かるか?そのまま指先に集中するようにもっていくんだ」
    「ん、やってみる」
    目を閉じて、KKが流してくれたエーテルを一箇所に集めて形になるようにイメージする……これは炎?
    ゆっくり目を開くと誕生日ケーキの上のろうそくよりも小さな炎がぽっと灯っている
    「できた……」
    「お前の炎だって綺麗じゃねぇか」
    「KKが手伝ってくれたからだよ……あ、消えちゃった…」
    気を抜いたせいか炎はあっという間に消えてしまった。それでも、一瞬だったけれどエーテルの流れはちょっと分かった気がする
    はぁ……と一息ついた。KKの力を借りたとはいえエーテルを扱うのはすごく疲れてしまった。ピンピンしてるKKが信じられない
    息を整えるのに胸に手を当てると、こつんと首から下げた勾玉の感触がある
    そうだ、あの時はバタバタしてたからすっかり聞くタイミングがなかったけどKKに聞きたいことがあったんだ
    「あのさKK、ちょっとこれ見てほしいんだけど」
    僕は勾玉をKKに見せた。綺麗に光っていたそれは色を失ったようにくすんでしまった
    「あの後、家に帰ってから気づいたときにはこうなってて…」
    「お前のもか」
    そう言って僕と同じように首元を手繰ると勾玉を見せてくれた。KKのもくすんでいる
    「あの時、あいつが急に動きを止めて動かなくなったとき覚えてるか?何だか胸のあたりが熱くなって光った気がしたんだ」
    「うん、僕も覚えてる。あれって勾玉の力だったのかな」
    「どうだろうな。それにしてはお前の考えとか気持ちが伝わってきたのは何なんだって話になるし…」
    うーんと、僕たちだけで考えても全然分からないので先生に相談することにした

    「なるほど……共鳴、というやつかな。波長が合う同士だからか、もしくは勾玉によって引き起こされたか…」
    「やっぱり勾玉が関係あるんですか?」
    「お前達はただの勾玉と思ってたみたいだが、それは妖怪達にとっては力が凝縮したものでな。本来であれば手放すことはないんだ。例えば、相手に力を示すとか信頼を得るということがあれば別だが」
    思い当たることがある僕たちは顔を見合わせる
    「光を失ったということはその力を使ったからだろうな。今のそれは正真正銘ただの勾玉だよ」
    淡く綺麗に光っていた勾玉は今はもうくすんだ色になってしまった。でも、砕けたりしなくてよかった。色を失ってもこれは変わらず僕の大事な宝物だから
    「あれからその力は使えてないんだったか。エーテルと違って何か条件があるのかもしれないな。なので、いざというときに共鳴を頼りに戦おうとはしないこと」
    しっかりまた釘をさされてしまった
    そういえば、KKと共鳴したときにお互いの感情や考えが伝わってきた
    その時は僕の頭は麻里を助けることでいっぱいだったけどKKから伝わってきたのは麻里と僕のことだった
    『俺の暁人をよくも痛めつけてくれたな』って強い感情がビリビリするくらい伝わってきた
    僕のことを心配してくれるのは嬉しいような、僕だっていざってときはKKを守ることはできるのにって悔しいような
    うう、顔が熱くなってきた。あんまり深く考えないようにしよう

    夏休みもそろそろ終わる。僕たちが東京に帰る日がきてしまった。見送りにはKKと先生が来てくれた
    「向こうにはマレビトが多いだろうが、なるべく見つからないようにするんだよ」
    「気をつけます」
    「そういえば暁人くん、君が住んでるのは東京だったね?」
    「はい、そうですけど…」
    「なら、渋谷にある上尾神社の宮司を訪ねるといい。きっと君の力になってくれる」
    「わかりました。行ってみます」

    「また来年、だな」
    「うん、また来年」
    「俺が近くにいれたらよかったんだけどな」
    「そうだね。KKと同じ学校だったら楽しいだろうな」
    「そういう意味じゃねぇよ」
    はぁ、とため息をつかれてしまった
    「ぼやっとしてマレビトに隙見せんなよ」
    「痛っ!」
    バシっとKKにデコピンされた。何なんだよもう

    KKと話こんでいると、どん!と後ろからぶつかるように抱きつかれた。振り向くと僕の腰のあたりに腕をまわして、しがみつく麻里がいた。先に車に乗っていたのに待ちきれなくて呼びにきたのか。でも何だか表情が険しい。その目線を辿ると…KKを睨みつけてる?
    「まりのだもん」
    「麻里?」
    「まりの、お兄ちゃんなんだもん」
    ぎゅううと音がしそうなくらいしがみつかれてる。ちょっと痛い
    痛みに耐えかねて麻里に離れるように言おうとしたところで
    「そうだな、お兄ちゃんの暁人は麻里のだろうな。だけどそれ以外は俺のだ」
    「っ!あげないもん!」
    「いたたたっ!麻里、ちょっと離して!KKも何言ってんの!」
    更に抱きつく力が増した麻里にとうとう我慢できなくて大きな声を出してしまった


    渋谷の上尾神社。先生が言っていたのはここで合っているはず
    境内を進むと、境内をホウキで掃除している人がいた。あの人が先生の言ってた人かな
    「こんにちは、宮司さんはいらっしゃいますか?」
    「宮司は私だが、何かご用かな?」
    「あの、  さんからあなたを訪ねるようにと」
    「ああ、あいつが言ってたのは君だったか。話は聞いているよ伊月君」
    さて、立ち話もなんだからと、社務所に案内してくれた
    「とはいえ、残念だが私にはエーテルを扱うことはできなくてな。代わりに、あいつ等に対抗する術を教えることになる」

    「弓と札。特に、弓は相手に気づかれない距離から攻撃することに優れている。ただ、接近戦に弱いのと街中で持ち歩きにくいというところが難点だが」
    宮司さんが棚からアタッシュケースみたいな箱を取り出し、その中に入っていたものを組み立てていくと弓の形になった
    持ち手の近くにスコープのようなものがついている。初めて見る形状に何だか魅入ってしまった
    「こういう弓はあまり見ないだろう?特注品でね。君が弓を扱えるようになったら譲ろう」
    「え、でもそれは宮司さんの……」
    「実をいうと、老眼が進んでいてな。最近じゃなかなかこいつを使う機会がなくなってしまったんだ。とはいえ、しまいっぱなしというのも勿体ない。君が使えるようになってくれれば嬉しいよ」
    「そういうことなら。頑張ります!」
    宮司さんはうん、と頷き「期待してるよ」と言ってくれた


    今度、KKに会うときは僕にも背中を預けて貰えるようになりたい
    足手まといになんてならないように僕に出来ることを頑張ろう
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