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    sakana_umaizo

    @sakana_umaizo

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    sakana_umaizo

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    裏垢で昔呟いてた文が私の性癖に優しかった(ツイートだったのを見やすいように調整しました)

    ##ジュナカル

    生きてるもちカルさんがマスコット人形のもちジュナにせっせとご飯を運ぶ話ある日、小学生の立香は野生のもちカルさんが自分のおやつを盗むところを目撃してしまう。もち科の中でも悪さはしないと言われていたもちカルさんが盗みを働いたことにショックを受け、思わずもちカルさんを「こら!」と叱り付けると、
    もちカルさんはびっくりして飛び上がり、もたもたと窓にぶつかりながら逃げていった。

    立香は急いで外へ飛び出した。もちろん一度玄関を通り、靴を履いての遠回りをしてから追いかけたが所詮はもち。窓から落ちてひっくり返ってしまい、やっとの思いで起き上がりクッキーを咥えたもちカルさんが立香の部屋のまだすぐそばで必死に小さい手足を動かして逃げていた。猫に見つかったら恰好のオモチャである。

    もちカルさんのあとを亀の歩みでついて行ってみると、やがて草が伸びっぱなしの小さな空き地の、石の陰になっている辺りへ消えていった。ペットボトルやお菓子の袋など、少しゴミが多い場所だった。そおっと石の陰を覗いてみると、何やらこんもりと小さな山ができていて、ちょっと変な匂いもする。
    小さな山はどうやら食べ物のようだった。小さな木の実から食べ残しのような古くなったパン屑、小さい葉っぱに貯めた水、そして立香のおやつだったココアクッキー。いつから貯め始めたのか、悪くなっている食べ物もあるようだ。
    当のもちカルさんはというと自分は食べ物には目もくれず、なにやら奥にいる仲間の体を豆粒よりも小さな舌でぺろぺろと毛繕いしている。この個体のために食べ物を集めているのだろうか。
    立香は屈み込んでもう少しだけ近づいて覗き込み、ハッとする。もちカルさんがせっせと世話をしているのはよく番になっているもちジュナのようだが、もちを模して作られた人形だったのだ。
    もちはペットとしても人気だが、ペット禁止の家庭ではよくこの人形が代わりに贈られたりしている。確かに、見た目はかなりよくできているので、ぱっと見は立香にもどちらかわからなかった。
    もちカルさんは動けない人形のもちジュナを病気か怪我で動けなくなってしまった同胞だと勘違いし、甲斐甲斐しく世話をしている(つもりの)ようだ。けれど……
    「もちカルさん、これは人形なんだよ」
    立香は指でもちジュナの軽い体をつつき、コロンと転がした。もちジュナは無反応だ。もちカルさんは突然の人間にびっくりするも大事な仲間を転がされて(もち界で仲間を上向きに転がすのは失礼な行為)怒ったのか、毛を逆立ててヂー、ヂー、と抗議する。すぐに噛み付いたりしないあたりはまだ他のもちに比べれば温厚な方だろう。
    ごめんごめん、とひっくり返ったもちジュナを元に戻してやると、「?、?」ともちジュナと立香の手を交互に見て、もう満足したのかまた毛繕いに戻ってしまった。
    もちは基本的に知能指数がそこまで高くない。このもちカルさんにいくら人間の言葉で諭そうとこの番が同じ生き物でないということを理解させるのは難しい。幼い立香はどうすることもできず、その日は帰路についた。

    それから暫く、日持ちするお菓子を一つ土産に持ってもちカルさんの様子を見に行くようになった立香。
    もちカルさんは相変わらずせっせと葉っぱについた小さな水滴を集めてもちジュナの前に差し出してみたり、地面に落ちた金木犀を背中の綿毛で運び、花の匂いを嗅がせようとコロコロ舞ってみせたりしていた。
    やはりもちジュナは動かない。
    「本物のもちジュナくんに会えたらいいのにね」
    立香は金平糖をひと粒もちジュナの近くに置いてやると、すっかり慣れたもちカルさんは嬉しそうに立香の指にふわふわの綿毛を擦り付けた。

    ある日、立香が自室で宿題をしていると、窓をこつ…こつ…と一定のリズムで小さく叩く音がする。窓に目をやると見覚えのあるシルエット。あのもちカルさんだ。
    立香が窓を開けると口に小石をくわえたもちカルさんが窓に突進(といっても勢いはない)し損ねて蹴躓いたところだった。
    もちカルさんはなんだか泥だらけで、いつもはふわふわのピンクの綿毛も所々千切れている。
    モ"ヂー‼︎
    もちカルさんは鳴きながらちょこまかと動いたあと、ピョンと窓から飛び降りた。
    ただならぬ様子に立香は宿題を一旦閉じて外履きに履き替えると、まだ窓の近くにいたもちカルさんを拾い上げてもちジュナのいる空き地に走ってやった。きっときてほしいとしたらあそこだろう。もちカルさんも手の中で大人しく身を任せている。
    空き地には立香が走ればたった1分で到着した。

    いつもの石を目印に近づいてみるも、つい先週までの様子とは違うことにすぐに気がついた。あれだけ散らかっていたゴミが、全くないのである。
    「ああ……!」
    そういえば今月はクリーンデーがあった。立香も別の地域だが、軍手をし、ゴミ袋を持って街をきれいにしたばかりである。
    そうか、ここもきっとあらかた掃除されてしまったのだ。もちカルさんが一生懸命蓄えた食べ物も、お花も、モチジュナの人形も。
    巣に帰ってきたもちカルさんは訳もわからず辺りを探し回っていたのかもしれない。数日の間、ボロボロになるまで歩き回って、どうしようもなく立香に助けを求めに来たのだ。
    綺麗になった巣から不安げにこちらを見ているもちカルさん。
    「でも、私にもどうしようもできないんだよ……」
    もちカルさんは疑問符を浮かべている。立香は首をゆっくりと横に振った。こちらはもちカルさんにも通じたようだ。それ以上はもうひと声も鳴かず、ただ冷たいだけの石に寄り添った。
    「うちに、くる?」
    意味が通じているのかはわからない。けれどもちカルさんは石から離れようとせず、先ほどの立香を真似するように上半身ごと横に小さく振れるだけだった。
    立香はごめんね、と小さく呟いて、悲しそうなもちカルさんを何度も振り返りながらまた自分の家に帰っていった。



    つづかない
    ジュナもちを拾った立香の友達がいたり都合よく生きてるもちジュナが放浪してきたりやっぱり立香の家に住み着いたりいくらでもハッピーエンドに持っていけるけど私はいつか帰ってくると信じてまた食べ物を集めるけど自分はなにも食べずに衰弱していくもちカルさんを想定していました。
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