ULTRA TORNADO戴天は会談の場であった商業地区のビルを出た途端目の前に広がる横殴りの雨に閉口する。虹顔市に台風が近づいてきていると、朝のニュースで言っていたことを思い出す。ちょうど連絡がきてこの後の商談はキャンセルになった。そもそも相手が会社から移動できなくなったという。
溜息をついて、社用車を呼ぼうにも、道路状況から絶望的。雨はこのまま酷くなってもよくなることはないのであれば近くにホテルでも取って移動するかと思案しはじめた時だった。
「戴天ッ」
声とともに手が引かれた。目の前を何かが飛んでいく。強風で煽られた看板か何かが横ぎったようだった。
「ぼんやりするな、危ない」
走ってきたのか息を荒げた宗雲が、戴天を怒鳴りつける。いや今更看板がぶつかったぐらいでどうにかなる体ではない。確かに他人に見られるのは厄介かもしれないが、そんなものと文句を言おうと顔をあげて、宗雲の目が真剣すぎて口をつぐんだ。ふ、と力を抜く。
1507