「武器を交換したい?」
モクマは、相棒の突拍子もない申し出に、素直に首を傾げた。
「この先何があるかわかりませんから」
チェズレイはしたり顔で続ける。万が一の事態に備え、鎖鎌の使い方を知っておきたい。だが、とモクマは戸惑いを口にする。あれを振り回すには、チェズレイはいささか膂力不足ではないだろうか。
逗留しているホテルは流石のハイクラスで、かつ続き部屋タイプを借りているため、武器を振り回すだけの広さがある。とりあえず、モクマは鎖鎌をチェズレイに渡した。すると、チェズレイは愛用の仕込み杖を渡してきた。
「……大丈夫なの、手放して」
真っ先に、それが心配だった。一人の時はもちろん、モクマと二人の時間でも、決して手放さない仕込み杖。転ばないように歩くのに、それが必須なのではないのかと。
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