空閑汐♂デイリー【Memories】11「だから、言ったでしょう。危ないことなんてやめてって!」
絶対安静。軌道ステーションに用意された医務室のベッドから動くなと医者に厳命された空閑は、辟易しながら眉を寄せた。空閑の浮かべた表情に、ベッドの横に立つ女は更に声高に自身の主張だけを叫んで。
軌道ステーションの占拠を目論んだテロリストと一戦やらかし――その結果こうしてベッドから動く事すら許されない身分になってしまった空閑は、その生命だけはこの世に取り留める事に成功していた。
事件があったのは一週間前、空閑の意識が回復したのは四日前、そして眠り続ける空閑の隣に付き添い続けていたという汐見を訓練場へ行くように言い聞かせたのが三日前だった。
不幸な事故だった――けれど、汐見がこうならなくて良かったとも思う。あの場所に行こうと誘ったのは、空閑だったから。
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