そして、これから #05「ここにサイン?」
はい、と頷く後見人氏と視線を交わし、書類の末尾に自分の名前を書き入れる。内容には最初から最後まで目を通し、問題ないことを確認済みだ。何年も前のあの日に教わったことは、今でもしっかり身についている。
「確かに。お預かりします」
書類――同意書をファイルに入れ、後見人氏は満足そうに頷いた。
それは家の売却に関する書類で、オレはたった今、ようやくあの大きな家を手放すことができた。手放すと言っても、もう何年もまともに帰っていないし、自分の家だという感覚も感慨もほとんどない。せいせいした、と言うのは違うけれど、重荷がなくなったような、すっきりしたような、ほっとした気持ちになっているのは確かだ。
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