ポロロッカ目線のあの嵐の夜。ポロロッカが一族を裏切りアディオを欺き続けてもう6年が経とうとしていた。あの日、海軍の追跡を振り切る為に仲間を安全な場所に避難させようと提案し、アディオを納得させた。それが政府の役人に仲間を渡し処刑させるための策略だとは誰も気づかなかった。
裏切りは苦痛だった。仲間に嘘をつく度、実行する度にポロロッカは自分が自分でなくなっていくような感覚に襲われた。後悔に苛まれる事もあった。しかし娘を救うためなら、生かすためなら何でもすると決めた。仲間を裏切る選択をしたのも、この現状も、全て自分自身が選んだことなのだ。後悔なんてしてはいけない、苦しんで泣く資格などない、おれは悪魔だと、そう言い聞かせながら、アディオを弱らせるための毒を調達する。
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