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    natane☆

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    お待たせしすぎた、フォロワさんへのおめでとう小噺。
    リクは「みんなでわちゃわちゃ」でしたがわちゃわちゃはできませんでした、、力不足すみません😭🙏

    【ある日の治安維持隊】


    ノーマルエンドを迎えて、暦では立春も過ぎた本日。
    二月十四日。
    乙女ゲームの攻略キャラとしては忘れてはならないイベントの日であり、隊員にも感謝の気持ちを込めてと菓子が渡される日でもある。
    日中の巡回中に壱葛、梦も声を掛けられて渡され、断り切れないものだけ受け取り、簪に至っては両手にいっぱいの袋を下げて帰って来たのだ。
    少なくない数の菓子を三者三様に片付け、茶を飲んで休憩しているところに元ヒロインが帰ってきた。
    特徴的な甘い匂いをさせた彼に三人ともピクリと反応したのをお互いに感じとった。
    チョコレートの匂いがする。
    もしや誰かにもらったのか?
    乙成のことだから、バイト先で感謝の意味でもらってくることもあり得る。
    それでも鈍感を極めたこの元ヒロインは、いまだに男女問わず、特に男を惹き付けているので、想いのこもった菓子を渡されているかもしれない。
    それとももしかしたら。
    自分に渡すチョコレートを、持っているのかもしれない。
    喋り続ける乙成の話を耳半分に考えていた三人が、乙成の背後に見えた人物に目を向けた。
    その視線に気付いた乙成が振り向く前に腕が伸びて後ろから抱きしめられた。
    「こんにちは、お嬢さん」
    「っ!おっさん、気配消して近付くなよ!」
    離れろ!と肩口に見える顔を押しのけているのだが、現來がそのまま乙成の首筋に鼻を寄せた。
    「「現來さん!」」「兄上!」
    近すぎる距離に声を上げた三人は気にせずに現來は数回鼻を鳴らして、乙成の顔を覗き込んだ。
    「お嬢さん、この甘い匂いは俺への贈り物かな?」
    2人を離そうと伸ばされた壱葛たちの手が止まる。
    「へ?あ!」
    現來の言葉に、乙成はごそごそと自分の手にある籠を漁り始めた。
    「まさか」と期待と不安に混じった視線を乙成に送る壱葛たちの目の前にどっしりと置かれたのはぼろぼろになったチョコレートたち。贈り物というには簡素な包みに形を成していないそれ。
    「店で余った割れチョコもらってきた!」
    どうやら店で使えないチョコレートの切れ端をもらってきたらしい。
    しばらくおやつに困らないと嬉しそうな乙成はさっそく袋の中のチョコレートを口に入れた。
    「うま~!でもでっかいんだよな、こういうのって」
    かけらになっているとはいえ形がバラバラで厚みがあるものもある。含んだのが大きすぎたのがもごもごとくちをうごかしながら苦笑する乙成に、梦が思い付きを提案した。
    「それなら、一度溶かして形を作り直す?」
    「え?」
    「その方が滑らかになって美味しくなるよ」
    「いいね、そしたらお嬢さんの手作りも食べられるし」
    「は?これは俺の」
    「作り直した方が美味くなるならそっちのが良いだろ」
    「いや、このままでいいし、溶かすのも大変だし」
    「砕くのは手伝ってやる」
    「え、これ作らないとダメな流れ?」
    『バレンタインイベント!上手にチョコレートを作ってアイテムゲット!』
    乙成は最近うんともすんとも言わなくなったスマホから、あのちょっとうざったい声が聞こえたような気がした。


    「いいにおい…」
    「あ、おかえり、翅月」
    くんくんと鼻を鳴らしながら食堂に入ってきた翅月を乙成が笑って出迎えた。
    「おとちゃん、これ、ちょこれーと?」
    乙成は、食卓の上に並べられた見覚えのある匂いと色をした様々な形をした菓子を指さした翅月に大きく頷く。
    「おー、今、みんな来るからちょっと待っててな」
    ちょこんと席についた翅月に乙成が茶を差し出す。
    「かぐやたちは、元気だった?」
    「うん」
    最近は昼間に起きるようになっていた翅月は、夜に活動するかぐや達の様子を見に昨晩より家に帰っていたのだ。冬は空気が澄んでいる分、月の光が地上に届きやすい。名目上は「かぐや達の様子を確認する」となっているが、たまには家族と過ごすのも大切だろうと言い聞かせて月に一~二日は帰すようにしている。
    「あ、翅月さん帰ってたんだね。おかえりなさい」
    食堂に戻ってきた梦が翅月に気付いて声をかけるとその後ろから続く、壱葛、簪、現來が翅月に声をかけた。
    「すごい甘い匂いだな」
    作業をしていた所為で、余計に強くなったチョコレートの匂いに甘いものが得意でない壱葛が苦笑する。
    「いーから座れ!」
    乙成に言われて席に付いた面々に、乙成は一つずつチョコレートの山から選んだものを小皿に乗せて差し出した。
    壱葛には弧を描いた三日月型、簪には花型、梦には星形、現來には長方形、翅月には矢印の形。
    「それぞれに合わせてくれたんだな」
    「…いや、そのまんまかよ」
    「僕の服の柄…!ありがとう!」
    それぞれのイメージを形作ったのだとわかる者は納得して、表情は様々ではあるが嬉しそうに見つめた。
    「さね坊たちの形は何となくわかるんだけれど、俺と翅月くんの形はどういう事なんだい?」
    「おっさんのは、背中の薬箱!杖も考えたけどそしたら小さくなるじゃん?」
    「あぁ、なるほど」
    乙成の説明に「それで少し分厚いのか」と現來は箱型になったチョコレートをつまんでじっくりと眺めた。
    「おとちゃん、ぼくのは?」
    矢印のような形。しかし矢印にしては四角の部分が大きくて少しバランスが悪い。
    「翅月のは、家の形」
    乙成の言葉に翅月だけでなく、他の四人も目を開いた。
    「翅月の家はかぐやたちのいるところなんだろうけど、ここも家だって思ってほしくて」
    「ここも?」
    「うん。俺たちと暮らすここも、翅月にとって安心できる家だといいなって」
    「ていうか、向こうの家よりここにいる方が多いから、そんなもんだろ」
    その言葉にみなが頷いた。当の簪は、肘をついて翅月と視線が合うことはなかったけれど。
    「そういえば、翅月くん」
    まだ目を丸くしたままの翅月に現來が笑みを浮かべて告げる。
    「帰ってきたときに言ったことにちゃんと返事をしていないね」
    「…へんじ?」
    「家に帰ってきたら、言う言葉だよ」
    翅月がきょろ、と視線を動かすと皆が自分を優しく見ていることに気が付いた。
    「…ただいま?」
    「「「「「おかえり」」」」」
    揃った5人の言葉に大きな目が潤んでくる。
    返ってくる音がこんなに嬉しいなんてと胸の温かさを感じながら、翅月はもう一度小さく同じ言葉を呟いた。
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    natane☆

    DONEお待たせしすぎた、フォロワさんへのおめでとう小噺。
    リクは「みんなでわちゃわちゃ」でしたがわちゃわちゃはできませんでした、、力不足すみません😭🙏
    【ある日の治安維持隊】


    ノーマルエンドを迎えて、暦では立春も過ぎた本日。
    二月十四日。
    乙女ゲームの攻略キャラとしては忘れてはならないイベントの日であり、隊員にも感謝の気持ちを込めてと菓子が渡される日でもある。
    日中の巡回中に壱葛、梦も声を掛けられて渡され、断り切れないものだけ受け取り、簪に至っては両手にいっぱいの袋を下げて帰って来たのだ。
    少なくない数の菓子を三者三様に片付け、茶を飲んで休憩しているところに元ヒロインが帰ってきた。
    特徴的な甘い匂いをさせた彼に三人ともピクリと反応したのをお互いに感じとった。
    チョコレートの匂いがする。
    もしや誰かにもらったのか?
    乙成のことだから、バイト先で感謝の意味でもらってくることもあり得る。
    それでも鈍感を極めたこの元ヒロインは、いまだに男女問わず、特に男を惹き付けているので、想いのこもった菓子を渡されているかもしれない。
    それとももしかしたら。
    自分に渡すチョコレートを、持っているのかもしれない。
    喋り続ける乙成の話を耳半分に考えていた三人が、乙成の背後に見えた人物に目を向けた。
    その視線に気付いた乙成が振り向く前に腕が伸びて後ろから抱き 2561

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