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    白流 龍

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    ヌヴィリオ、タル鍾SS置き場

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    白流 龍

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    #ディルガイワンドロワンライ お題:アルバム
    いつも「僕が守るから」って、言ってくれたから好きだったんだ。

    #ディルガイワンライ
    dirGaiWanRai
    ##ディルガイ

    「も…ふざっ…けるなよ…」
    「付き合わせて悪かったよ」
    息が乱れるベッドの上で、腕で顔を隠したガイアは悪態をついた。
    「今日も気持ち良かったよ。ガイア」
    「やめろよそういうの!恥ずかしく…っない、のかよ…」
    自分がつけたキスマークをなぞるように軽いキスを落としていくと、付けられた時を思い出すのか、単に恥ずかしいからなのか、身を捩って拒否を示す。そんな姿が愛おしい。
    「何か飲み物を持ってこようか。…アップルサイダーでも?」
    「ア…そ、れでいい」
    飲みたいものを当てられた事とそれを隠そうとしている事についクスクスと笑ってしまう。それが勘に障ったのかしっしと犬のように払い除けられてしまった。

    氷をいれたグラスを2つ、サイドテーブルに置く。
    そしてガイアの右腕を掴み引き寄せ抱き起こす。
    「はぁ…毎度毎度無尽蔵かよ。ちょっ」
    「それにしては随分と可愛くおねだりしていたんじゃないか?それがなければこんなにならなかったと思うが?」
    腰をさすりながら耳元でそう言うと、ガイアは赤く小さくなってしまった。なにかもそもそと喋っているが聞き取れない。
    その反応に満足して視線を移すと、テーブルの上にこの前行った金リンゴでの写真が飾られていた。
    立ち上がり、それを手に取る。
    僕、ガイア、蛍、パイモン、ジン…までは辛うじて見えるが後は黒煙で見えなくなっている。皆左側を向いて驚いた顔だ。
    「あぁそれな、クレーが飾れって煩くて。良い写真だろう?」
    くっくっと笑うその表情は楽しそうだ。確かに僕も写真を貰った。…加えて、これはガイアには内緒だがパイモンが面白半分で撮った僕たち二人の後ろ姿の写真も貰った。…ガイアがしゃがんで貝殻を拾っている後ろで僕がバレないように笑っている写真だ。
    両方ともワイナリーに置いてあるアルバムに挟めた。
    …そういえば、

    「この前久々に昔のアルバムを開いたんだが写真が1枚失くなっていたんだ。知らないか?」
    返事がない。振り向くとガイアは明後日の方を向いている。
    「俺が知るわけないだろう?さぁほら明日も早い。寝よう寝よう。」
    「待て待て」
    布団に潜り込もうとするガイアを一旦制止はしてみるものの、この部屋のどこかにあるのだろうと怪しげなところを探って見回してみる。
    こいつの事だ、きっとすぐ見えるところにあるに違いない。
    部屋の中をゆっくり歩いていると、布団の中から顔だけ出てきた。
    「あるわけないだろう。…もう一回シてから寝るか?」
    「いやいい」
    布団に隙間を開けて誘いいれようとしたようだがそんな手には乗らない。
    そんなつもりはなかったが思ったよりもガイアが打ちひしがれてしまったようだ。
    部屋を軽く回ってみると、ある場所でガイアがぴくりと動くのがわかる。
    暫くそれで遊んだ後に核心だと思う物に手を触れる。…絵本?
    「ちょちょちょ」
    ベッドから落ちそうになってまで駆け寄り奪われる。
    確かそれは、よく二人で読んでいたもの。
    「…それ、君お化けが出るから怖いっていつも嫌がっていたやつじゃないか?いつの間に持ち出したんだ?」
    「っ…この前蛍達とワイナリーに行っただろう?その時に…その、俺がいた部屋に、行って…なんとなく…いいだろもうあの部屋使ってなさそうだったし誰も読まないだろ?」
    罰が悪そうだ。持ち出したことに…と言うよりも自分がそこに住んでいた事に対する罪悪感のようなものか。
    …こちらとしては一部屋減っているから迷惑なんだけどな。
    「あの部屋は君のだよ。…アデリンが毎日掃除をしてる。」
    いつでも帰ってこれるように。
    「え…あっわっ」
    心底驚いたようだ。
    手の力が抜け、本の隙間から…何かが落ちる。
    慌てて拾おうとするが僕の方が早い。
    「う…悪かったよ。お、れだってたまには昔を思い出したい時だってあるさ…」
    「まだなにも言ってないぞ。」
    「ぐぅ…」
    それは、少し色褪せた写真。楽しそうに拾った貝殻を二人でこちらに見せている。
    「で?これは僕の部屋にあったはずだが?勝手に持ち出したのか。」
    と、先ほどの回答に繋がる質問をする。
    ガイアの勢いが止まる。弁明に使っていた両腕は力なく降ろされ、視線も落ちる。
    全く。いつまでそうしているつもりなんだ君は。
    「…その…無いから。俺には…そういう、思い出のモノが…」
    言いながら、恥ずかしくなったのか右手で顔を覆ってしまった。片手は後ろの机に付き、腰を掛けるようにもたれる。

    手元に置きたい程なら、素直に言えばいい。
    そして、
    「うちに来ればいい。…これから、作ればいい。」
    右手で隠される顔は、隠れていない部分まで真っ赤で。隙間から見える瞳は、困惑と恥ずかしさから綺麗に揺らめいて、色はまるでアイオライトのよう。
    大丈夫だ。もう迷わないで。僕を信じて。…君を信じて。
    「あっちょ…っ」
    あいている左手を掬って、甲にキスを落とす。
    「だからお前…よくそんな…」
    「なんなら今から作ろうか?」
    「…っ」
    後ろに机があるのをいいことに、逃げ場を消して、右腕を引き剥がし、顎を持ち上げ、キスをする。
    一つ一つの動作を焼き付けるように。
    あの頃と変わらない愛情を、君へ。
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