「…さて、今回はこのくらいか。特に問題がなければ俺は戻るがどうだ?」
眼前広がる大きな窓に打ち付ける大粒の雨。
「…一つ、」
「おっと待った。それは『コレ』に関係のあることかい?」
口を開こうとするヌヴィレットさんを遮り、卓上の今しがた説明した書類の上に指を立てる。
「…違う」
「はは、それじゃ応えるかどうかは俺次第ってことになるな」
「誤魔化そうとするな」
俺の手に重ねられる薄っすらと冷たい掌。
それをさらりとすり抜けてポケットへ。
…耐えられない。
不満そうな顔。隠そうともしない。受け取れないというのに。
「…これは、事実、だろうか」
事務所類を差し出すような仕草でこの部屋、この人には似つかわしく無い…俗に言うゴシップを扱うような雑誌のあるページを差し出される。
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