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    Ikaikaikaka

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    昔にTwitterで吐いた雨男ジャンパオロと晴男ティートのパロ妄想まとめ。ツイートそのまままとめてるので文は整ってない。

    ##パロネタ

    雨男晴男パロ ジャンティージャン雨が止まない町で暮らすジャンパオロくんと雨雲に嫌われた男ティートの話とか

    ある所にいつからか雨の降り止まない町があった。その町は常に雨雲に覆われ、朝も昼も夜も暗くどんよりと湿っており、作物は植えてもすぐに腐り漁もままないため、食料や生活用品の殆どを他の町からの仕入れに頼っていた。この町に溢れんばかりにあったのは降り続ける雨水だけで、人々は辟易していた。

    町には降り続ける雨水の排水や貯蔵を管理する雨の管理者と呼ばれる男が居た。男の名はジャンパオロ。彼は父子家庭で育ったが、数年前に父親を亡くしてからは一人で、町長らと共に町の為に働いていた。管理者の仕事は地味で終わりの見えないものも多かったが、彼は文句も零さず真面目に働いていた。

    毎日雨が振り続ける為排水は欠かさず行い、町で雨漏りがあれば隣町から仕入れた資材や道具を手配した。雨の記録を父親から継いだ帳簿に記し、雨水が常に新しいものであるように貯水タンクの中身を毎日入れ替えた。代わり映えのしない仕事は父から教わったもので、彼は幼い頃からそれを手伝っていた。

    父親の話によれば雨は丁度彼が産まれた頃に降り出したらしく、一度降り始めた雨はそれから数十年、降り止む事なく今も町を濡らしている。仕事上毎日入れ替えてはいる貯水タンクも、この雨に濡れた町でなんの意味があるのだろうかと思うこともあったが、ジャンパオロはその日も新しい雨水に入れ替えた。

    そんな日々が続いていたある日の朝、ジャンパオロは瞼の裏を赤く照らすような眩しさで目を覚ました。最初は誰かが家を照らしているのかと思ったがそうではなかった。窓から差し込む光は間違いなく自然光で、ふわりと暖かく部屋を照らすのは町の外でしか見ることのなかった太陽の光だった。

    彼が驚いて外に出ると、町の人々も皆外に出て空を眺めているようだった。ばちゃんと足元で水が跳ねるが、そこにあるのは大きな水溜まりだけで、もう雨は降っていなかった。産まれてから26年、ずっと降り続けていた雨は驚く程にあっさりと降り止んだようだった。

    人々は暫く呆気に取られていたが、次第に喜びの声を上げた。町民の中には雨が降り出してから体を壊し家から出られなかった老人もいた為、太陽を目にして涙を浮かべる姿も見受けられた。その中でふと、ジャンパオロは見慣れない男の姿を見つける。町民ではない。それは灰がかった金髪をした青年だった。

    青年は視線に気付くと振り向き、得意げに笑った。近寄って話を聞けば、彼がこの雨を降り止ませたと言う。にわかに信じられずにいれば、彼はくるりと踵を返し町と外の境界線へと歩き出す。「見てろよ」彼の片足が町の境界線を跨いだ瞬間、頬にぽつり、と水滴が落ちた。水滴は次第に数を増やしていく。

    その水滴が雨になる前に、ジャンパオロは思わず青年の腕を掴み彼を境界線の中へと引き入れた。途端に曇り始めていた空は晴れ、また太陽が顔を出す。思わず顔を見つめれば、青年は今度こそ信じるだろうと言わんばかりにまた得意げに笑って見せた。「な?言ったろ。俺がいりゃあ雨は止むんだよ」

    「太陽の…神様…?」腕を離すことも忘れたまま、ポツリと呟いたジャンパオロに青年は一度顔を顰めたが、あー、と何かを思案するようにして数度頭を搔くと気を取り直した様に笑って手を差し出した。「まぁそんなもんだ。カミサマに助けて貰ったらそりゃあ盛大にお礼をしなきゃなァ?」

    そこからは早かった。ジャンパオロは元気よく返事を返したかと思うと、物品を要求する様に差し出された手をその手で握り町長の元へと連れて行った。青年は途中抗議の声を上げたが興奮状態のジャンパオロには届かず、気付けば町民の前へと引っ張りあげられ、町の救世主として歓声を浴びていた。

    町長は青年を太陽神の遣いとして町民に紹介した。町民達は口々に青年への感謝の言葉を述べると、青年にずっとこの町に滞在して欲しいと願った。どうやら青年が町の境界線を超えた瞬間を見ていた町民が他にもおり、青年が立ち去る事でまた雨が降り続ける生活に戻る事を危惧しているようだった。

    青年は酷く渋ったが、ジャンパオロや町長を初めとする町民達の勢いに負けついに首を縦に振った。町民達は晴れた空の下、歓声を上げ喜んだ。青年は寝泊まりなら宿で良いと断ったが、町長に押し切られる形で雨の管理者であるジャンパオロの家で世話になる事になった。この日から二人での生活が始まった。

    出だしはスムーズとは言えるものではなかったが、二人での生活は案外上手くいった。青年がこの町に来てから雨が降ることは無く、一ヶ月が過ぎた。雨の管理者の仕事が無くなったジャンパオロは町長から新たな仕事として青年の付きっきりの世話係として任命されていた為、常に青年の傍にいた。

    青年も最初こそジャンパオロに冷たく当たったが、朝から晩まで共に居るのだからお互いの事を知るのに時間はかからなかった。青年曰く、彼は遠い町の生まれで、故郷からこの町まで、様々な町や村を転々としてきたらしい。雨が多い地域を回って、数日滞在しては去ることを繰り返してきたと彼は言った。

    「引き留められなかったのですか?」「引き留められたよ。最初はな」ジャンパオロの問いに鼻で笑いながら青年は返す。疑問に思い聞き返す前にノックの音で会話が中断される。訪ねてきたのは副町長で、彼はジャンパオロを呼び出すと町長の所へ向かうように伝えた。自らは青年の元に残るようだった。

    副町長が共に来ず残る事に違和感は覚えはしたが、緊急事態の呼び出しとの一言でジャンパオロは一礼してから早足に家を出た。町長の家に着くと、町長を初めとした町の指導者達が一堂に会していた。その顔ぶれに何事かと聞けば、町長は険しい顔でジャンパオロに向き直った。

    「あれは太陽神の遣いなどではない」開口一番に聞いた言葉に思わず固まる。何を、と口を開く前に町長や権力者が矢継ぎ早に続ける。確かにあの男が来て雨が止んだ。しかし今度は雨が一切降らなくなった。ここ一ヶ月以上雨は降らず、それどころか日照りが強く育ちつつあった作物は枯れ川も干上がったと。

    その言葉にジャンパオロはここに来るまでの町の様子を思い出す。青年が来てから殆どを彼と室内で過ごしていた為久しぶりに見る景色ではあったが、確かに言われてみれば地面の所々にヒビが走り、この間まで順調に緑に覆われていた畑も見当たらなかった様な。困惑するジャンパオロに町長は更に続ける。

    語られたのは遠い町の話だった。その町では百年に一度、ある一族から呪われた子供が産まれる。その子供は何の因果か雨雲を一切寄せ付けず、産まれた場所に日照りと飢えをもたらし破滅に導くと言われている。幼少期のうちはその呪いの範囲も小さいが、成長するにつれて広がる。いずれ町を干上がらせる。

    しかしその呪いを上手く利用し、災いを退けるだけでなく転機とする術が存在するのだとも。町長はゆっくりと立ち上がり、空を見上げる。それに続き権力者達も空を見上げる。
    狼狽えるジャンパオロを前に、町長は視線を空に向けたまま迷いのない声で続けた。

    「呪われた子供を殺しその遺体を地に埋めてしまえば、呪いは弱まり日照りを抑えたまま雨の恵みも得ることができるらしい」

    気付けばジャンパオロは弾かれる様にそこを飛び出していた。もう手遅れだとでも言わんばかりに自分を見やった権力者達には目もくれず、一目散に青年の待つ家へと走る。途中、ひび割れた地面に足がかかり、乾いた砂埃を立てて倒れ込む。しかしすぐに立ち上がり、また走り出す。

    破らんばかりの勢いで扉を開けた時には、ジャンパオロの息は完全に上がっていた。しかし部屋に響くのは彼自身の呼吸音だけで、そこには青年の姿も副町長の姿もなかった。ただ、そこで何かがあったのだと分かるほどの血痕が、床を赤く濡らしていた。

    「ティート…さん…」青年が他の奴らには内緒だと言って教えてくれた名前を呼ぶ。しかしジャンパオロのか細い声はすぐに静かな部屋の床へと落ちていく。床の鮮やかな赤色だけが嫌に目に付いて、ふらふらとした足取りで外へと出た。いつの間にか暗くなっていた空の下を歩けば、生温い雫が頬を伝った。

    ポツリと、急に降り出した雨が頬を濡らした雫を洗い流す。雨の中青年の姿を当てもなく探し歩けば、いつの間にか彼と出会った境界線まで歩いてきていた。「…ッ」ジャンパオロは思わず息を飲む。境界線のこちら側、町の中に、土を掘り起こした跡があった。濡れてはいるが、所々土が赤く染まっている。

    「そんな…そんな…!」水音を立てて地面に膝を落としたジャンパオロは何かが埋められているであろう場所に恐る恐る手を触れ叫ぶように嗚咽を漏らした。その声に応えるかのように、段々と激しくなった雨音が鼓膜を揺らし身を打つ。自分の声すら分からなくなるような豪雨の中、彼は泣き続けた。

    「何してんだお前」

    不意に音が止んだ。先程まで鼓膜を揺らしていた雨音は今は一切聞こえない。地面の水溜まりを歪める波紋も、身を打つ水滴の痛みもない。ただ、綺麗な青だけが、見下ろした水溜まりに映っている。ジャンパオロがゆっくりと顔を上げれば、そこには怪訝な顔で立つ青年の姿があった。

    青年が手を差し伸べ立ち上がらせようとすると、そのまま飛びつく形で押し倒されゴンッと鈍い音が響く。青年は後頭部の痛みに怒声を上げようと口を開いたが、抱き着いたまま何度も良かったと繰り返し泣きじゃくるジャンパオロに怒る気も失せたのか、一つため息を吐いてその頭をくしゃりと撫でた。

    ジャンパオロがある程度落ち着いたのを見ると、青年は事の顛末を話した。ジャンパオロが家を出た後、副町長がおもむろに襲いかかって来たがどうにか反撃して逃げたこと。その際に歯が一つ取れたから埋めたこと。今の今まで町長達に少し仕返しをしてきたこと。ジャンパオロはその説明に少し首を傾げる。

    「アイツらは俺を殺して埋めようとしたみてえだけどよ、本来埋めるのは一部なんだよ。目とか腕とか。モノによって効力が変わるらしいけど。歯でもちょっとは効果あんだろ」ジャンパオロの視線に気付いたのか、聞かれる前に付け足した青年は、背中についた泥を払い落とし立ち上がると境界線の前に立つ。

    背を向けた青年に思わず「あ、」と声を漏らしたジャンパオロの方を振り向くと、青年は青空を背負い得意げに笑う。そして最初に出会った時のように手を差し出すと、力強い声で問いかけた。

    「なぁジャンパオロ。俺と来るか?」

    気付けばジャンパオロは勢いのままにその手を取っていた。青年ーーーティートは満足そうに笑うとその手を強く引く。二人の体が完全に境界線の外に出れば、町の方に少しの雨雲がかかるのが見えた。しかしその雲間からは太陽も見えている。この分なら問題はないだろう。この町の止まない雨は止んだのだ。

    「改めてよろしくな。ジャンパオロ!」
    「はい!ティートさん!」

    何はともあれ、二人は共に旅をすることになる。これからどんな出来事が待っているのか。誰と出会うのか。とりあえず、ジャンパオロが雨雲を寄せ付ける体質だと判明し、二人が晴男と雨男と噂されるようになるのはまだ、先のお話。
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