「ええっ」
と悲鳴にも似た声を上げたのは、今年十四になる娘だった。俺は咄嗟にどうしたのと反応してしまい、心底嫌そうな目線を向けられてしまった。娘は絶賛思春期なのだ。
「何って、もう、最悪なんだけど」
一応返事はしてくれた。最悪、ショック、と続ける娘が、溜息をついてスマホの画面を見せてくれる(レアケースだ)。
「好きなモデルの子に熱愛のニュース……」
画面上に表示されているのは、隠し撮りなのだろう、粗い白黒の写真だった。長身で整った顔立ちの青年と、華奢な女性が並んで写っている。二人とも笑顔だ。これが娘が好きなモデルかあとぼけっと眺めて、再び声を上げてしまった。
「え……!!?」
結構な大声だったので娘が迷惑そうに顔を顰め、非難するように何!? と苛立った声で言う。
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