風邪を引いた九を冰哥が看病する話仕事が終わり、帰宅すると玄関に見慣れない靴が一足あった
誰か来ているのか?
あまりこの家に人を呼びたがらないはずなのに珍しいこともある
リビングにも居ないので、部屋に向かう
「師尊?入りますよ」
ノックもそこそこに入ると、恋人の双子の弟がいた
「あ、冰哥、おかえり。」
「何かあったんですか」
「阿九の体調が悪かったから看病に」
ベッドには寒いのか、布団にくるまっている後ろ姿が見える
キッチンに向かうと、パックのお粥のパッケージが捨てられていた
自分以外の作ったものを食べたかと思うと少し腹立たしかった
その夜、熱が上がったらしい師尊の氷枕を変えたとき、ふとその首筋に手が触れる
急な温度の変化に首をすくめる沈九
普段は冷たく感じる肌が今は燃えるように熱い
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