~置き土産~ 我々は半年ほど前に別次元の宇宙に飛ばされ元の世界に帰れる宇宙の歪みをようやく発見した。その間に、この世界の住人と我が船長は接触しそれなりに友好的な関係を構築し大きな争いもなく平和でもうすぐ歪みのある座標に到着予定という時に訪問者が一人この部屋に訪れた。
「時間はあるか?」
そう言って操縦室のコンピュータールームに、この船の船長であるこの男は同じ時期に製造された兄弟で自分の弟にあたる存在だ。
同業者同士の集まりや母星や縄張りの惑星に到着するまでの間は滅多に部屋から出ることがないこの弟は頻繁に船員の誰かを部屋に呼びコミュニケーションをとっており、わざわざこの部屋まで来るとは珍しいこともあるものだと思った。
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