エルリワンライ「オフ」ふ、と意識が浮上する。背中に朝の気配を感じながら、緩やかな眠りの浅瀬を揺蕩う。
窓の外では遠く、鳥の声が聞こえる。
腕の中にいる恋人をそっと抱え直し、鼻先を柔らかな髪に埋める。仄かに香るシャンプーは、エルヴィンが好んで使用しているそれだ。
胸に広がる多幸感のまま、恋人の旋毛に唇を落とそうとした瞬間、ベッドサイドのスマートフォンが起床のアラームを鳴らし出す。
「オイ、エルヴィン。朝だ、起きろ」
無情にも、アラームの音を聞いた瞬間、恋人はさっさと起床し、エルヴィンの腕の中から抜け出して行ってしまった。
二人は同じ企業に勤める営業部長と次長だ。
エルヴィンがリヴァイを口説き落とす形で部下に引き入れた。
また、会社所有マンションの隣人同士でもある。
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