――凪みてぇだな。
馬鹿みたいだって笑うだろうか。けど、一度そう思ってしまえば、頭から離れない。共通するとこなんて、白くてふわふわしてるぐらいなのに。
「凪、ちょっとここで待ってて」
気付けば来た道を戻っていた。せっかく繋いでいた手も離して。ずっと人混みの中にいるの凪は嫌だろうし、仕方ないことなんだと自分に言い聞かせる。とはいえ長くは待たせたくねぇ。だいたいの出店の位置は覚えたし、と早足で向かう。
*
「はいこれ」
「綿あめ」
「そ」
差し出した綿あめと凪を交互に見る。白くてふわふわ――うん、やっぱり凪みてぇだ。
「ありがと。玲王はいいの?」
「これはお前にって思ったし」
「ふーん」
自分の分を買う、という考えが頭からすっかり抜けていた。俺結構浮かれてんのかな。
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