[17/30] 30話後、次元を超えるエースとアリス 愛くるしい姿をしたライオン達は、一足先にハンニバルの元へと飛んで行ってしまった。癒しを求めていた理由を尋ねられ、アリスはまだ整理のついていない心境のまま、時計を直した店員の一件をぽつりぽつりと語り出す。
この国で目が覚めたばかりの彼女が、役持ちの住人にしたことと全く同じ。ルールに則って、なにもかもを忘れたリセット。
「……忘れる方も哀しいと思っていたけど、忘れられることの方がずっと堪えるわね」
背中から当たる夕陽で、足下に長い影が落ちる。横顔には、苦々しい笑みが浮かんでいた。
「そうかな? 君は忘れることの方が耐え難いタイプだと思うけど」
隣を歩いていたエースにそう告げられ、アリスは思わず脚を止める。
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