ミルキーウェイで星の瞬く夜について◆
以蔵が見おろすケージのなかには小さな生き物がみっついた。
白い帽子に白い軍服、ケージの高さいっぱいまで伸びてゆらゆらと揺れているセーラー服、そして黒のインバネスコートに橙の襟巻きというそれらの姿は、多少の誤差はあるものの、いずれも大変よく覚えのあるものである。
それぞれが見た目の通り、龍馬とお竜、以蔵の霊基の一部からうまれた雛形のような存在で、ある日突然カルデアに現れて以降、特に害はないだろうと判断されてからは、基本的に三匹まとめて龍馬の部屋で世話をされている。
けれどもこの日、それらのいるケージが置かれているのは龍馬の部屋ではなかった。
ミニチュアの家具で小部屋の体裁が整えられたケージのなかは、二時間ドラマのクライマックスもかくやという悲壮感でいっぱいだ。
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